箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2020年12月6日(日)打首獄門同好会 新型コロナウイルスが憎いツアー ZeppFukuoka

※(ご注意)この記事には打首獄門同好会の『新型コロナウイルスが憎いツアー』の内容が大いに含まれます。

 

 

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ずぼらなわたしが3ヶ月ぶりに髪を切り、カラーを入れた。ショートウルフの襟足をざっくり染めてしまうという所業は、すでにインナーカラーとは呼べないのではないかと思いながらも、それでもいいのだと久しぶりの高揚感に浮足立つ。

 

2020年の年の瀬。早いものだ。今年の夏は暑かったのか、そんなことすらもう思い出せない。味気のない季節を過ごしてしまった。

最後のライブが2月16日。ちゃんと考えれば、たった10ヶ月しか経っていない。しかし体感でいうともう何年も過ぎてしまったのではないかと思うくらいに長い日々であった。

世界はまだ何も解決していないし、未知なるウイルスに翻弄されているままである。そんな中で、打首さんのツアー発表があったのは9月のこと。

 

 

 

ミニアルバム発売とともにツアーをやるという発表があったときは、ついに!!ついに!!!と喜び勇んだものであるが、正直なところ年内にやるということに驚いた。

当たり前だが11月と1月は、2ヶ月の違いしかない。しかし2021年1月と銘打てば事実以上に先のような気がしてくる。東京オリンピック開催予定の年であったからか『2020』という年号がやけに印象的で、それに引っ張られるかのように何となく2020年を乗り切れば…みたいな感覚が生まれてしまうのも無理はないのではと思うのだ。

そこを敢えて『2020年内』にやってのける打首獄門同好会、好き。ミニアルバムタイトルである『2020』を引っ提げて行うライブにふさわしい。

 

しかしチケットは争奪戦であることは容易に想像できる。

動員可能人数はキャパの50%

前回のワンマンツアーと同じ会場で、そちらは全てソールドアウトだったのだ。そう考えると単純に倍率は2倍となるわけだが現実はもっと厳しい。

今回はスタンディングではなく、全席指定…つまり椅子席なのだ。

 

ZeppFukuokaで計算するならば、スタンディング1,526人のところ椅子席は669。

その半分なので334席が今回会場に入られる選ばれし者ということになる。前回の21.88%の人しか入れないのだ。とんでもない競争率である。(計算には自信がない)

 

もちろん色んな理由から参加を断念する人もいるだろうと思う。それを鑑みても余裕でチケットが手に入るとは気楽に言えない状況だ。

そしてシステムがややこしい。新型コロナウイルス感染拡大防止という観点から、様々な策を講じるのは当然ながら、もしもの際にこの場所に集まる人たちを特定するためには、同時に転売ヤーも滅さなければならない。

e+のIDひとつにつき申し込みは1公演のみ。そして1回に申し込めるのは2枚まで。同行予定者もIDを作成し、申し込みよりも前に双方許可制の同行者登録が必要となる。

そして当日は顔写真付き身分証明書が必須となり、チケットは電子チケットのみ、という徹底ぶりだ。

しかしどうやらこの方法、打首さんオリジナルというわけではなく、今後はこういった方法がスタンダードになっていくのかもしれない。

我が家のように家族3人で行きたいという場合はなかなか大変である。わたしと夫は別々に申し込むこととしたのだが、先行で当たったのは夫だけであった。なんということだ。家族の中で一番楽しみにしているわたしが単体でチケットの申し込みをすればよかったと嘆いていても始まらない。

 

ダメ元で申し込みをした公式リセールという制度にのっかって、見事残り2枚をゲットすることに成功したのだ。

リセールはどのくらいの倍率だったのかちっとも分からないのだが、もしも1枚も出品されなければ倍率も何もない。

そして出品さえあれば毎日抽選するらしく、一度その公演に申し込むと外れても出品があるたび自動エントリーするという仕組みだった。とてつもなく便利なのだが、毎日落選メールがくるのは少し心が痛むものだ。しかし1回目の抽選(出品枚数は4枚)で当選メールが来たときは、あまりに行きたい気持ちが強すぎるがあまりに見た幻ではないかと首を激しく動かして何度も見てしまった。

 

そうして無事に手に入れたリセールチケット。e+よりも操作が不慣れだったので当日会場の中に入るまで、ずーーーーーーっとドキドキしっぱなしであった。なんでも電子化が便利だと思っているが、ライブのチケットだけは紙チケットでこれからもお願いしたいところだ。

人生で2回目の電子チケット。1回目は去年のアシュラの札幌ワンマンで、慣れない電子チケットだったので入口であわあわしているわたしの入場画面をもぎってくれたのは、何を隠そうマイメン岩井氏である。

情報が盛られたことにより、電子チケットでの入場よりも、マイメンが映像で見るよりもモテそうなオーラ―を出していたことの方が記憶に残ってしまっているのであった。

 

 

高い倍率(予想)公式リセールで運よくチケットを手に入れたわたしだったが、身分証明書問題も残っている。

打首さん公式の注意事項は穴が空くほど読んだ。もしも何かを見逃していて、気づいたときにはすでに準備が間に合わない、であったり、準備不足で入れませんでした。などということは絶対に避けたいからだ。

 

何度読んでも『小学生以下の身分証明書』についての記載がなされていない。車生活が当たり前の地方民にとって『顔写真付き身分証明書』のハードルは全く高くないのだが、小学生となると話は別だ。

スマホしか使えない(というのがe+公式見解のようだ)電子チケットなので、ガラケーしかもっていない18歳以下については個別対応とするのでE‐Mailにて問い合わせをと書かれているのだが、身分証明書について相談していいものかどうかは記載がない。

 

わたしが今回やったことといえば、まずは先行チケット申し込みから数日後にマイナンバーカードを申請。そしてチケットが取れた段階で、公式へメールで問い合わせだった。

何度もやり取りをする時間はないだろうと、ある程度対策を考えてメールを送ったのだが、なんだか盛沢山な内容になってしまい、この対応に手を取られるスタッフさんに申し訳なく思った。しかし送った翌日とても丁寧なお返事が届き、その文面を眺めながら本当に個別対応なんだなと感じる。

 

当日は関係者入口にてスタッフの方と直接やり取りをしたのだが、問い合わせをした人もそこまで多くなかったのか「ああ、メールもらってた…」とつぶやいた声をとらえて「お手数をおかけしました」とお伝えできたので良かったんじゃないかなと思っています。

 

ライブハウスはどんな場所よりしっかりと感染対策をしているのではないかと思う。本来は街中のようなわずかな縁の集まりでしかないというのに、1人1人を確認することが可能なばっかりに、キャパ半分で全員検温、顔写真付き身分証明書で本人確認、椅子席でマスクしたまま声を出すな。などといった不便を強いられるのだ。

 

 

さてあっという間に当日だった。

 

 

朝いちばんに会長からのツイートを確認して、さてさてと気合を入れる。

なんせ席が判明するのが2日前というタイトなスケジュール。発券日がライブ当日の直前となることに慣れてきた。ただどうしてもチケットの整理券番号(席番)が判明してからが醍醐味みたいなところがあって、カレンダーの日付は近づいてきているというのに、今一つ実感が持てないというのも事実だった。

しかも感染拡大防止のために、時間帯を分けた入場となるため早く行って物販に並びながらリハの音漏れを聴くなどという雅な過ごし方は不可能である。ライブとはその日の朝から始まるものだと言っていたわたしが、この日は午前中に2回も洗濯をしてしまった。息子に至っては習い事の朝練にまで参加していたのである。

 

買ったけれど着る機会に恵まれなかった獄パンを引っ張り出す。ピンクに紫で『獄』の文字が入ったハーフパンツは今年の夏アイテムだ。全身獄はくどいかな、Tシャツはどれがいいだろう、パーカーどれを着て行こうかな…など、こういった内容で悩めることすら貴重なのだ。

 

結局ピンクの獄パンツに池袋Admの手を洗おうTシャツにした。上着は獄パーカーと、アシュラのトラックジャケットを羽織る。時々Twitterの炎上狙いのツイートに、年齢を基にしたファッション判定を勝手にしているようなものがあるけれど、うるせーばーかばーかと言ってしまうかのように、全身が趣味の物で構成されていて心が躍る。

 

自宅から会場までは一般道でも行けなくはないが、高速道路がお手軽価格程度でいけるほどの距離である。ZeppFukuokaはMARK IS 福岡ももちという商業施設内にあり、ここは先日通り魔的殺人事件があった場所である。

前回打首さんの獄至十五ファイナルワンマンツアーで来たときは、Zeppの入り口が分からず商業施設内をひたすらグルグルしてしまったけれども、今回はすっと入口を見つけることが出来た。ドームから階段を降りて行けばすぐにたどり着けるのである。

 

先行物販は時間的に間に合わず、今回は見送ることにした。

しかし密を避けるために予め決められた時間を目指して到着したため、あっという間に入場整列の時間となる。誰にも会えないままなのかと思ったら、フォロワーさんからDMをもらって少しだけ挨拶することが出来た。久々のライブに喜びを分かち合う。

 

本来ならば並ばなければならないのだが、小学生の入場にはありがたいことに個別対応をしてくれるということだったので、メールの指示にあったように関係者入口へと足を運んだ。

通常の入り口の横に設置されているその場所にたどり着くと、すでに手続きをしている人がいて、ドキドキしながら順番を待つ。

わたしたちの前にいた人とスタッフのやり取りが聞こえてしまったのだが、どうやら入場に必要とされていた顔写真付きの身分証明書を持っていないようだ。

 

今回のライブは入場に際して様々な注意事項があった。それは打首さん側がどうやったら開催が可能なのかという点について、安全面や与える影響についてもしっかりと考えてくれた結果だろうと思う。

ライブを敢行するにあたって、感染拡大防止の穴があってはならない。

参加者の健康面もあるだろう。そればかりかクラスターが発生することにより感染を拡大させてしまえば主催側が非難される可能性もある。そうなれば何とか工夫をしながら活動をしている音楽関係者、音楽業界全体に対しても影響を与えてしまうかもしれないのだ。

さらには、そのライブに参加していたという観客だって、日常生活の中で肩身の狭い思いをしてしまう。そんな風に迷って悩んで、でも行きたくて参加したという我々お客のことだってきっと考えてくれているはずだ。

 

そのために事前に考えて発表した対策は例外を作るわけにはいかない。感染対策を完璧にやっていましたときっぱり言い切れる形にしておかなければならないのだ。そのうえで万が一クラスターが出てしまったとしたら、それはもはや仕方のないことである。

 

必ず準備をと言われたものがそろわないと入場できない。もちろん様々な事情で顔写真付きの身分証明書を持っていないという人もいるだろう。厚労省のアプリのインストールが難しい人もいるだろう。それならば残念だが今回は行かないという選択をするしかない。

チケットがないのに入れてくれと言っても入れないのと同じことだと思う。

顔写真付き身分証明書の件は、マイナンバーカード以外に原付免許もしくは小型特殊免許など1日で取得できる免許もあるので、次からのために検討していただきたいものである。

togetter.com

こんな風にギリギリでもあきらめないつよいきもち…!

アプリは…もう機種変したらどうだろうか。

 

我が家の場合は結果的に小学生息子の身分証明書は健康保険証で事なきを得たが、いざという時のためにマイナンバーカードの申請を行ったし、もし古いiPhoneではチケットアプリが動作しない等の不具合によって電子チケットがうまく使えないなどの困りごとが発生しそうだったら、スマホを買おうと思っていた。

公式には念のための問い合わせもしっかりした。だって心配だったから。めちゃくちゃ楽しみにしているライブだというのに入口で「入れません」と言われたら悲しくて悲しくて泣いてしまうと思ったので、だから考えられる懸念事項は全てつぶしてライブに臨んだのだ。

 

入口で電子チケットをもぎってもらいドリンクコインをもらう。今回のチケット代は5,900円。この中にドリンク代も含まれているのだから本来のチケット代は5,300円。チケット代が安すぎませんかね?

こんなに人の少ない入場は初めてだなーと思いながらドリンクを交換する。新型コロナの影響を受け始めてしばらくしてからすっかりお酒を飲まない生活を続けていたのだが、おもむろにビールを注文した。今日飲まずしていつ飲むというのだ。

 

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階段を降りて1階のフロアへ。椅子がずらりと並べられていて、背もたれに番号が書かれた紙が貼られている。座面にはフライヤー…と思わせた何かとうまい棒。密にならないよう離れて座るために一つ飛ばしで置かれている。

ステージに目を向けるといつものように大きなスクリーン。上手側にはVJ卓、スタンドマイクが2本と、後ろにドラムセット。打首さんのステージが整っている。BGMは知っている曲も知らない曲もどちらも流れるが、知らないのはわたしの知識が足りないせいで、きっと色んなライブに行く人にとっては「あ、この曲」という感じのラインナップなのではないだろうか。バクシンやアシュラが流れた時には、わたしの耳も反応することが出来た。

 

3人家族のうちの2人で先に入場し、あと1人のメンバーである夫はわたしたちよりも後になって入場だったので、もし彼の何らかに不具合があっては入れないなどはないだろうかと少し不安だった。スマチケはスマートフォン専用ということでタブレットについて公式に記載がないのだが、要するにe+のアプリの動作環境としてスマホを推奨しているということのようだ。夫はASUSタブレット端末を使って無事インストールすることが出来た。

必須準備事項が多ければ多いほどに、滞りなく用意できているのか不安になるものだ。しかししばらくして無事入れたことを確認し、改めて開演までの時を待つ。

 

フライヤーではなく座席に置いてあったのは「きのこ たけのこ」のペーパークラフトキット&割りばしだ。切り離して割りばしを挟むように貼り付けて折り曲げて作る簡単キットなのだが、木の棒ではなく割りばしを用いているところなど、急ごしらえなハンドメイド感があって良い。

きのこ、たけのこ、うまい棒。このラインナップだけでセトリネタバレとなっているのが非常に面白いところだ。ステージのスクリーンでペーパークラフトの作り方が流れる。物販の説明など他のお知らせ事項と入れ替わりなので、不器用なわたしは作り方が出てきて、見ながら作り始めて、また別の画面から戻るのを待って続きを作って…と思ったより時間がかかってしまった。もちろんわたしが特別不器用なだけで普通の人はパッと見てパッと作れるくらいの簡単仕様だ。

 

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ビールをちびちびと飲みながら座ってステージを見上げる。思ったより高い。Zeppのステージを座ったまま見上げるだなんて、自分が好んでいくライブではまず想定されていなかった。なんとも不思議な光景である。

 

今回のライブではいわゆるライブキッズといった服装の人がとても少なかったように思う。ディッキを履いている人はほぼおらず、ここで履かずしていつ履くんだ、ということで獄パンを履いてきたという感じかな。コートの人もたくさんいたし、いつものライブよりも地味な印象だ。

ただ、Tシャツは着ている人が多かったので、ずらりと座った人の背中のほとんどが「獄」となっていて、背もたれからはみ出した獄が綺麗に並んでいる光景は面白いなと思った。

 

ビールを飲み干し、トイレに行ってから戻ってくる。開場から開演までは1時間。打首さんのワンマンライブは始まるまでの間も何らか工夫をしていることが多いのだが、ペーパークラフトを作ってしまうと少し時間を余してしまった。

一体今日のライブはどんなものになるのだろう。

立つと座るはできるが、声を出すことはできない。小さな声での会話はOK…など細かく「できること」と「できないこと」が何度もスクリーンで案内される。

 

「スクワットしかできないね」と息子と小声で会話を交わす。なんだよスクワットしかできないって…と会話のおかしさにふたりで笑ってしまった。

 

そして18時。さすがに時間も押すことなくピッタリに始まった。会場が静かになったと思ったら影ナレが始まった。

普通にお越しくださりありがとうございますといった挨拶から、どうやらこれから会場を楽しませる映像を流してくれるらしい。

わたしは全然予測をしないタイプなので、思ってなかった展開にワクワクした。影ナレいわく「立ち上がるほどの映像ではないのでぜひ座ってお楽しみください」とのことだ。このゆるさがとても良い。

 

これ、どんな内容だったか書きたいのだけど、めちゃくちゃ書きたいのだけど、たぶん1月11日に公開になる動画ってこれだと思うのね。

ライブに行けなかったけどどんなのだったか知りたいという気持ちでここを読んでくれている人に、ぜひ新鮮な気持ちで見てもらいたいので、動画が公開されてから存分に呟くので今回は割愛。

 

 

イントロダクション的なものかと思っていたら、そんな甘いものじゃなく盛りだくさんで驚いた。見終わった頃には「あー楽しかった。良いイベントだった」と思って満足して帰ろうかと思ってしまうほどだった。いやいやこれからが本番だよ、ライブだよ。と思い直したのだけど、おそらく会場中のみんなそんな感じだったと思う。

 

しかしフロアが暗くなり、いつものSEが流れる。バックドロップシンデレラの『池袋のマニア化を防がNIGHT』。ステージの上にメンバーが現れた。久しぶりだ。本当に久しぶりだ。

今まで自分の都合でライブに長く行けなかったことはたくさんあるけれど、こんな風に世の中からライブというものが奪われる日が来るとは思わなかった。大きな音と圧。声を出せない苦しさよりも身体に直接音がささる。

VRライブハウスで号泣したわたしは、きっと復帰1発目のライブは絶対に泣くだろうと思っていた。しかし始まる前の映像が強すぎる。面白すぎて楽しすぎて、やっぱり涙は出なかった。たくさんの規制がある中でどうやったら楽しめるのかを考えて考えて、最初から最後までエンターテイメントとしてしっかり段取られているのが打首さんのライブだ。

目の前に何ら隔てるものなくいる。生の良さはその空間を体感するということだ。配信ではどうしても補うことが出来ない部分。規制が多くできないことだらけの空間で、ずっとずっと足りなかった部分が埋まっている。

 

最初はもうこの曲新型コロナウイルスが憎い】

2月のワンマンツアーファイナルのZeppTokyoが無料配信ライブになったそのオープニング用に会長が作った曲。バンドになってあす香さんとJunkoさんの歌のパートも入っているけど、大まかにはその時の良さを残した曲だ。

Twitterにアップしていた1分ソングもそうなのだけど、バンドマンってわたしたちが鼻歌を歌うような気軽さで曲を作れたりする感じなのかなと思っていて(もちろんオープニングに使うとかツイートに載せるとなればある程度整えていくだろうけど)、だからキーって会長が1人で歌うのに合わせてある?

だって、アルバムに入ってる打首シスターズの声がもう出てないくらい低いから心配してたの。これオクターブ高いのじゃダメだったんかなって。そしたらやっぱりライブではオクターブ上で歌ってたから安心した。

 

【足の筋肉の衰えヤバイ】

この曲は何といっても映像が、笑っちゃう。Zeppのステージ後ろの大画面であの顔だもん。最近はもうあの顔のイラストが本当に会長に見えてくるから不思議。髪の毛が書かれてる方が違和感があって、ただの丸顔にジト目のあいつはもう会長だ。

『貧弱ゥ貧弱ゥ』の入ってくるタイミングが難しいので、手を挙げるのがわりと難しい曲だと思う。

 

衰えた足を鍛えなければならない。制約が多い中許されていることがある。

とくれば

【筋肉マイフレンド】だ。

この曲のイントロめちゃくちゃカッコいいよね。Junkoさんとあす香さん、ほんとカッコいい。会長のライトハンドも好き。地味にすごい技みたいなのって分かりにくくて玄人向けだから、わたしはこういう分かりやすいプレイが好きだ。前回聴いた時はまだ音源化されていなくて、分からないままスクワットまでさせられてもうあっという間に1曲過ぎて行ったって感じだったけど、あれからMVも公開されて何回も何回も聴いた。

MVで言うと亞一人くんが出てきてジム入会するあたりからプロテインを飲むところくらいまでのベースがめっちゃ好き。カッコいい。少しハードな曲調もとてもいいし、そしてこの曲は歌詞もいい。

『繰り返してばかりの日々で、忘れかけてた自分の成長してく姿を。己と向き合った時間が、力が心までも支えるんだ』

この歌詞めちゃくちゃいいと思うんだよね。まあ筋トレの話なんだけど。自分の歌詞にはダブルミーニングがないって会長は以前オーケンとの対談で言ってたけど、きっと事実なんだと思うんだけど、筋肉の歌ならここまでベタな応援ソングが書けるんだなって思った。

スクワットはカオス。これはもうカオス以外の表現方法がないんだな。椅子にお尻があたって上手く沈み込めないから足を少し開き気味で挑戦した、と息子は言っていた。

 

【島国DNA】

まぐろが飛ばないなんて初めてだ。武道館で『まぐろコンテスト』なんてやったのを思い出しながら寂しい気持ちになった。

でも三三七拍子があるじゃないか。ということで、一緒に三三七拍子で拍をとりながらとなった。ライブで初めて聴く今回の曲はまだ慣れていないのでいいのだが、これまでライブで聴きまくった曲についてはやっぱりうっかりすると声が出そうになる。普段から口パク歌いで楽しんでいるとこは全く問題ないのだが「魚魚」とか「貝貝」に至ってはなかなか息苦しい。

これはやはり今までの楽しみ方が染みついているからだと思うのだが、そう考えるとダイブやモッシュを楽しみの真ん中に置いていた人たちなんかはホントつらいだろうなと思った。なんせ飛び跳ねたりもほとんどできない感じなので、フラストレーションがたまるだろうと思う。

 

ここでMCが入った。

数曲演ってみてお互いに感じている違和感を言葉にしてくれるというのは少し安心する。

一言一句覚えているわけではないのだが、次のような感じだった。

 

今の状況ではできないことが多い、たとえば今の曲だって本当ならまぐろが泳いでいるはずだったし、まぐろを投げたら人と一緒に戻ってくるみたいなことになるはずだった。感染拡大防止のためには規制が多くあって今は非常に不自由を強いられている。

しかし我々には奪われなかったものがある。ドラムセットには何の覆いもなく、ベースやギターのアンプにも何もない。Zeppの音響もいつもと変わらない最高の音をセッティングしてきた。

奇しくもこの状況下で、音だけは何の制限もない。音楽で表現をしたくて、昔から必死で楽器を練習してきた我々には今、本来である音の表現には何の制限もない。ここでその音楽で、ここにいる人たちを楽しませることが出来なければ名が廃る。

 

ここで一番泣きそうになった。なんだよ大澤敦史、カッコいい事言いやがって。ちくしょう。

おそらくは積み上げてきたものがあるからこそはっきりと言葉に出せる。有言実行の大切さを腹に据えている人の言葉の重みを感じた。

 

そして始まる曲が【牛乳推奨月間】

この落差がいいんだ。こんなにカッコいいタイミングで始まる牛乳を推奨した歌が他にあるなら教えてほしい。最高にカッコいいよ。こっちからカルアミルクを贈りたい気分だ。

 

飲んで飲んで飲んで飲んでの高い方は絶対にヘドバンなんだけど、いやもうヘドバンしていいのかどうかが分からなくて、たぶん折り畳みになると激しくなりそうでダメだと思ったのでちょっと動かす感じになってしまったので余計に首を痛めやすいという結果に。

 

【ニンニクは正義】

この曲めちゃくちゃ楽しみにしていて、なんたってメタルだから。わたしはほんとメタルが好きなんだよね。だってギターソロがあるから。

速弾きギターソロが好きなんですよ。でも会長は重めな曲調が好きなんだと思うのだけど、ザ・メタルみたいな速弾きよりも『ああ無性』みたいな方が得意なのかもしれないなーとか思ったりもする。

 

今回、あす香さんがすごく上手くなってたと思ったんだけど、わたしは耳が赤ちゃんなので何がどうとか専門的なことは分からなくて残念だ。音がしまってて、タイトでさ、個人練習のツイートも見かけるから単純に練習量が増えたのかもしれないけど、筋トレの成果もあるのかもしれない。

曲の入りの音がジャストで綺麗に合っていて、どの曲もほんとに気持ち良かった。

 

ニンニクをマシマシするのは【私を二郎に連れてって】

ニューアルバムのツアーだからもちろんなんだけど、新しいアルバムの曲が多い中で、馴染みの曲が出てくると嬉しくなる。少し前にはいつも同じセトリだ―レア曲聴きたいーみたいな事を思ったりしたのに、今や定番がすごく懐かしいんだよ。

 

そしてステージから人が消え、何の曲だ、次はなんだと思っていたらVTR。

「今回のコロナ禍で感染者が著しく低い場所がある」ということで、全国の感染者数のランキングを引っ張ってきて紹介。九州圏内と東京大阪北海道といった感染者が多い地域しか数を把握していなかったけど、四国は感染者が少ないことを初めて知った。やはり陸路が橋のみというのは強いのかな。いやでもそれだったら九州も同じようなものだからやはり祈りの力なのか。

 

八十八の神々に祈りをささげている地域と言えば、もう次の曲は分かってしまう。菅笠をかぶったメンバーが出てこなくても分かってしまう。しかしここはイマジンオーザピーポーでこの会場を四国にしてしまうあの曲

【88】

わたし、この曲をライブで聴くのは武道館以来だと思う。夫は今まで聴いたことがなくて、ずっと聴きたい聴きたいと言っていたので、今回聴けて非常に満足そうだった。

 

この曲はとにかくJunkoさんのベースがカッコいいのだ。歌詞は基本お寺の名前だが、とにかく曲がカッコいい。

わたしは息子がまだ赤ちゃんだった頃に香川に住んでいて、どこに行ってもうどんうどんな生活をしていたし、歩いて行ける場所に八十三番札所である『一宮寺』があって、毎週日曜日に催されている朝市に行って持ち帰りのうどんを買って帰るという生活をしていたので、妙に親近感がある。

この曲の映像は武道館前に亞一人くんと一緒に回った四国フェスから作られていて、うっかり映像の方を見てしまう。「ありがたいなぁ…」という会長の声を聞きながら、いやほんとにありがてえよ、と思うのであった。

 

曲が終わり、ステージの上には風乃海くんが1人立っている。メンバーは白装束を脱がなければならないということで彼に与えられた時間だ。

風乃海くんは若い元気なイケメンというイメージだけだったのだけど、10獄放送局RSRの北海道横断自転車の旅を見て印象が変わった。若い元気なイケメンというのは変わらないのだけど、思ったより仕事ができる。気遣いも度胸もある若者だと思う。あの旅の映像は彼の株を上げたと思うし、亞一人くんは株を下げたり上げたりしていて相変わらず面白いなと思った。

 

『そろそろコール&レスポンスしませんか』みたいな問いかけをVJ卓で操ってどーんとスクリーンに出して。「ええ!?コール&レスポンス?どうやって?声を出せないのに?」と思ったら、「ハミング」は大丈夫なのだそう。医療的に確認もしたそうで、ハミングでやり取りしましょうとのこと。

 

そんなコール&レスポンスが大切な次の曲は【New Gingeration】。スタッフの人たちがステージの両端にピンク色の物体をなにやらごそごそとセットアップ。

あす香さんのリードでハミングコール&レスポンスが始まった。

これねえ、めっちゃ難しい。何が難しいってレスポンスだからちゃんと届けたいのに、ハミングって音量小せえの。だからってマスクを通り越して「何か」が出てしまうほどの大きさは無理だから、気持ちばかり焦っちゃう。でもやっぱりやり取りができるのは嬉しいものだ。

 

会長とJunkoさんの新生姜ヘッドをかぶっていてもストラップかけられるぜコント、は健在で、前回の福岡ではお客さんに手伝ってもらっていたけれど、今回は新生姜ヘッドを外してベースを担いでまたヘッドをかぶるという当たり前の動きで解決してて面白かった。いやいや普通それ。

 

曲の間も「新しょぉおおおおおおおお」って伸ばすところなんかも、こちらはハミングで応対。ソロの時にいつか最前列で新生姜ヘッドを触りたいと思っていたが、今後のライブで果たしてそんな日が訪れるのだろうか。寂しいな。柔らかい…のかなあのピンク。

 

 

そしてここでついにやってきた換気タイムだ。

ZeppFukuokaは換気システムが作動しており、国が定めた換気をしなければならない基準値を常に下回っているそうなのだ。ライブハウス優秀じゃないか。でもそりゃそうだよね。システムがないとライブ中に酸欠続出してもおかしくないもの。

とはいえ、ちゃんと換気タイムも設けていこうということでスケジュールを組んでいるため、5分間の換気タイムとなった。

 

あとから会長も言っていたけれど、ライブの楽しさを保ったまま、換気という安全を保つための行動も行うにはどうしたらいいのかというところをものすごく考えてある。

換気はできて空気は綺麗になるのに、気持ちは盛り下がるというのは避けたい。そりゃそうだ。ライブという一連の時間をマネジメントするバンドとしてはそう考えるのが当然だと思う。今できることの中で最大限楽しめる方法を考えてくれているのだ。

 

最初の仕掛けによって、換気タイムという普通であれば盛り下がる5分間を最高のエンタメにしてくれた打首さん、やっぱり大好きだ。5分が一瞬で終わったし、ほんと腹がよじれるかと思うくらい笑った。

息子は配信ライブは見ないので、本当にライブ自体が久しぶりだったのだけど、最近はやっぱり新型コロナウイルスのこともあって、頻繁に熱を測ったり、ちょっと調子が悪いと不安になったりがあった。

少し心配性なところがあるので、今日のライブは楽しめるといいけどなと思っていたのだけど、そんな心配は全く必要なく、ニコニコで腕を振り上げていた。小さい頃からライブハウスに連れて行っていたので、ライブを観るときは手を挙げるのが当たり前だと思っているようで、幼い背丈で曲に合わせてこぶしを上げている姿はとてもかわいいと思う。やはり打首さんは老若男女に愛されるバンドであるといえるだろう。

 

換気タイムを終えて、なぜだかステージの上ではJunkoさんがVJ卓の前、そして風乃海くんがベースを担いで立っている。

おお、何だこの演出は。風乃海くんがバンドをやっていたというのは何かで読んだ気がするのだが、それにしても本チャンのライブで演るのはなかなか大変だぞ、でも練習したのかなとか思っていたら、会長が戸惑っている。

いいの?このままやっちゃうよ?とか言ってるし、ええ!?急になの?大丈夫??という空気が一気にフロアから流れるが、当の本人たち(主にJunkoさん)は自信ありげにうなづいている。

 

そうして始まった曲は【布団の中から出たくない】

たしかにこの曲はテンポもゆっくりだし、曲調も優しい感じだ。これなら大丈夫なのかも。そして思ったよりも風乃海くんは頑張ってる…と思ったのもつかの間『ドゴーーーーン!!!!』と謎の爆発音。Junkoさん、どこ押したの????

「ちょっと、止めるよ(笑)」みたいな感じで曲を止めることに。

いやいや、VJなのにベースを弾かなければならなくなった風乃海くんの方はなんとかかんとかやっていたのに、Junkoさんが謎の音を出しちゃって演奏が止まっちゃうって、面白すぎるだろ。

演出も含めてライブの流れをぜーんぶ綺麗に考えて作っているであろう会長と、突然の思いつきで風乃海と入れ替わってみるJunkoさん。いや、もしかすると突然の思い付きではないのかもしれない。秘密裡に練習していたのかもしれないけれど…。

 

次の【はたらきたくない】くらいまで、この入れ替わり失敗の面白さが後を引いてしまったよ。だって『ドゴーーーーン』って音がしたんだよ。

 

【サクガサク】

この曲、ライブで聴いたらめっちゃかっこいい。Aメロのズクズクがいいよね。

疾走感がある曲を丁寧に作ってるところがやっぱり気持ちいいんだろうなと、打首さんのライブを観ると思う。わたし自身、基本的にそういうテイストのバンドが好きだけど会長はキャッチーな曲を作るのがうまいと思う。

 

 

ここでついにペーパークラフトきのこたけのことうまい棒の話が出た。

 

知っている人はこれを見るだけで、あーあの曲かと分かってしまうし、知らない人はいったいこれは何なのかと謎は深まるばかり。

着席ライブに来たら、なんだか謎の物が置いてある。ライブが始まるまでの間に謎の工作をしなければならない、こんなライブがあるだろうか。

しかし知っている人にとってはこれを見た瞬間に2曲はセトリバレしてしまっているということになる。

本当ならここでおもむろにビニール袋を持ったスタッフが前のお客さんに、これを配ってくださいみたいな演出が行われるはずだった。

しかしライブ中に配れないのならば先に配ってしまおうという逆の発想で、座席にセッティングしている。曲に合わせて戦わせることもできる優れものだ。

 

【デリシャスティック】

【きのこたけのこ戦争】

どちらも定番の曲。純然たるきのこ勢であるわたしは「きのこしか作らぬ」と言って、きのこのみを製作。息子がきのことたけのこを2つとも作って、自分のきのこを分けてくれたので、両手にきのこの状態で戦った。WODなんてものは今のご時世御法度も御法度。しかし他のバンドのライブでも鳴り物や何かを振るといったことは行われているので、できる範囲で楽しむ方法を提案してくれるというのはありがたいなあと思う。

打首のライブに行ってうまい棒を振りたい、みたいな憧れってあると思うんだよね。きっと初めてのライブだった人もいるだろうから、それだとうまい棒もらえて振れたってのはいい思い出になると思うんだ。

 

【ああ無性】

この曲、めちゃくちゃカッコいいよね。シンコペしてる曲好きなんだよねー。歌詞はもうオヤツテロでしかないけれど。あす香さんの裏打ちドラムが気持ちいいし、何より、何より3人の歌のハモリがめちゃくちゃ気持ちいい。

難しいハモリなのだけど、すごくきれいにハモってて、音源で聴いてても気持ちいいのに、ライブで聴いても本当に綺麗だった。

 

【TABEMONO NO URAMI】

この曲はヘドバン。ほんとに首が痛いというか、ちょっとクラっとなって、足腰は最近少しだけ筋トレをしていたのである程度立ってても困らないくらい元気だったけど、首はダメだ。普段首を使う機会なんてライブ以外になかったんだなと改めて思った。

 

これ、今回はセトリが全会場同じだって公言されていて、え?セトリって会場によって違うの?みたいな新鮮な驚きを覚えた人もいるだろうってくらい、セトリネタバレ問題ってのはどの界隈を泳いでいるかによってとらえ方が違う。

ただ、もし曲の入れ替えがあったら『ドーナツ歌現象』だったりしたのかなと思ったりしたよ。

 

 

【歯痛くて feat.Dr.COYASS】

今回はCOYASS先生のパートも会長が歌うレアバージョン。音源化も映像化もされていないレアバージョンなのだ。前回のワンマンツアー福岡のゲストがCOYASS先生だったから、久しぶりに会長が歌うバージョンを聴いたなー。これはこれで良いのだよ、新鮮で。

『歯痛かった、歯痛かった、歯痛かった YES!』のYESにめっちゃ力が入ってしまった気がする。わたしが。

 

 

次で最後の曲になりました。という言葉で、時間があっという間に過ぎていたということを知る。そしてステージで何の準備もないのを見て、今回は獄札は降ってこないのだなと思う。

たしかにあれは札束に人が群がるという行為が見ている方もやる方も楽しいので、今の状況では難しいだろう。すごい枚数降ってくるからじっとしてても拾えると思うけれど、やはり拾うことに夢中になって人との距離が密になってはいけないもんね。

 

声を出せない、不自由を強いられている。本来ならこの曲はご唱和くださいと言って一緒に豊作を祈ってスタートするものだというのに、今はそれができない。

だけど、いつかこの状況が落ち着いて、また以前のような日が戻ってきたらまたみんなで大きな声を出しましょう。今日は自分たちができる精一杯の声を出すからと。今日は泣かせるMCが多い。

 

【日本の米は世界一】

この曲を聴かないライブはない。どんなライブでもステージの時間が短いフェスであっても、ほぼこの曲は演奏される。だからきっとフロアから声のない状態での演奏には違和感があるだろう。

わたしたちから観るステージの様子は変わらない。見せてもらうものは変わらないのだ。

 

アンコールの声も出せない「最初から」コールは心の中で鳴り響いている。息子が「最初から、って言えないけどどうするの?出てきてくれるの?」と心配していた。大丈夫だよ、とわたしは言った。

わたしたちには手を叩くことしかできない。でもきっと心の中では皆、「最初から、最初から」と言っているに違いないのだ。しかし確かめる術はない。

 

再びメンバーが出てきた。いつもなら会長が「最初からだとまた〇〇からになっちゃうよ」と言って場を和ませてから、「あともう少しだけやります」と言ってアンコールが始まるのだ。

わたしはこのやり取りがとても好きで、毎回ほっこりしていたのだけど、心の声を拾い上げてそれを言うことはない。

 

会長が話し始める。メモを取るくらいならガン見していたい派なので、ほんと要約というかぼんやりとした記憶だけになってしまうのが残念だ。

 

こんな状況で、色々な制限がかかった状態のこのライブを我々は経験して、これまで当たり前だったことが出来なくなって、初めて知ることができた。この不自由さ、不便さを強要されたという状態を知ったからこそ、これから少しずつ色んなことが解除されていって、少しずつできることが増えていく。今がきっと一番何もできない状態だから、これを知った我々は貴重な体験をして、もうこれ以上下がることはなく、上がる一方だから、こんな不自由な状況のライブに来てくれてありがとうございました。

また次にもっと色んなことが出来るようになって、またライブハウスに遊びにきてください。

 

会長のMCは全体的に、フロアにいるわたしたちもひっくるめて「我々は」と話してくれる印象を受けた。

まるでライブを作るのはここにいる全員だ、と言ってくれているかのようだった。確かにわたしたちも大変だし、今回はチケットの段階から制限も多く、実際に当日もたくさんの制限があった。それは困りごとのようであり、不自由さは否めない。以前のような形であれば、こちらからもある程度の反応をすることが叶った。もちろんライブの進行を邪魔するようなことはできないが、盛り上がったときは声を出し、コール&レスポンスだってできる。

しかし、ツアーを企画し敢行する。キャパの半分とはいえ人を集めて開催する。当日のライブも含めて本当に注意しなければならないことも多いし、ものすごく大変だと思うのだ。だけどひっくるめて、同じように「ライブ」というものを成立させるために必要だと言ってくれているような気がした。

 

【明日の計画】

後ろの映像に気を取られてしまう、可愛いシリーズだ。ここでやることに意味がある曲。

この曲がMV公開になって、もう6ヶ月も経った。あの頃はこれから来る夏のことを考えていたのに、もう2020年が終わることを考えている。

いつ聴いても思うのだけど、この曲って歌詞がすごく普通なんだ。ただ明日何しようって言ってるだけで、特別なことは何も起こらないし、特別な癒しがあるわけでもない。でもこんな普通な歌を聴いて泣いちゃう人がたくさんいるくらい、今の世の中は辛いことが溢れていて、だから願わくばこの曲が大した意味もないただ可愛いだけの歌になってくれるような世界が戻ってくるといいなと思う。

 

そしてラストのラスト、一番最後はこの曲だ。

【フローネル】

先ほどの『布団の中から出たくない』でJunkoさんが間違えて押しちゃった「ドゴーーーーン」の正体が判明する。疲れたフテネコの効果音だ!(今まで一度もライブを観たことがない人には分からない表現)

「君たちは今、疲れている」(ドゴーーーーン)←これ。

これを布団の曲の時に鳴らしたんだから、そりゃ笑っちゃって曲にならんわなと今更ながらに納得してしまったし、この音がした瞬間に「あ!」ってなった人、他にもたくさんいたと思う。

 

そしてこの曲の恒例、Junkoさんどうぞーのコーナー。

 

ホテルでコーヒーをぶちまけてしまったらしいJunkoさん。クリープやプロテインの粉などなど「色々ぶちまける人生」らしい。

この話、最後まで「どうしてぶちまけてしまったのか」っていうのが出てこなくて、それが面白いんだけど、ぶちまけてしまってホテルに帰るのが憂鬱なJunkoさんに、本当に憂鬱なのはそのホテルの従業員さんだよってツッコむ会長も良き。

VRライブハウスの2007年ごろの打首さんがテーマの回だったと思うのだけど、MCの時間に3人でフリートークみたいな感じになっていて、それがすごく良かったのね。

普段のライブだとちゃんと進行表通りに進めてるなって感じがあって、まあJunkoさんが爆弾みたいな人だから危なっかしいというのも理由の一つだと思うのだけど、3人がゆるゆる話してるのとかほんと可愛いから、そういう時間も増えるといいな。

 

そんでまたものすごいタイミングであす香さんのドラムが入るから、Junkoさんも慌ててるし会長も笑いながら弾いてる感じになってたのもすごく可愛かった。ライブだなーって思って、シミジミとあーいいなあと思ってしまった。こういうどこのコンテンツにも載せられない時間って贅沢だと思うんだよね。

 

最後のあたりでくる「自転車」\最高/ 「野良猫」\最高/ のところで、「コーヒー」\最高/ 「プロテイン」\最高/ (もしかしたら「クリープ」だったかも?)ってJunkoさんとあす香さんが歌ってて、会長だけ忘れちゃって「〇×※、なんだっけ」ってモゴモゴしてたの可愛かった。しかし正しい歌詞を歌っても「牛乳」\最高/になるからそれも可愛い。

 

 

最後の曲が終わる。キラキラと照明が光っている。ずっと立ってはいたけれど、パーソナルスペースがいつもの何倍も確保されていて、ずっと景色は良好だった。あす香さんがすこーし見えづらかったけれど、会長とJunkoさん、風乃海くんはよく見えた。

汗をかくこともなく、ただ少し息苦しさを感じながらもやはり生のライブは最高に楽しい。

 

『だらだらしたい』がエンドのBGMだ。「ありがとうございました」と会長が獄バスタオルを広げて頭を下げる。Junkoさんと風乃海くんが仲良く退場していく、あす香さんは両手を振ってニコニコとしている。

今思い出したのだが、今回は集合写真を撮らなかった。やはり1枚に収めるとなると、人の距離が近くなってしまうからだろうか。「せせりコール」も「つくねコール」もできないからだろうか。

 

無料配信ライブの時、ステージの上に上がってもらったスタッフさんたちとの集合写真を撮影する姿も配信されていた。あの時「下はお客さんのものだから」と空っぽのフロアに会長が言うのを聞いて、いつしかまたその景色となるためにライブハウスに行くのだと願っていた。

声を奪われ、動きを制限され、人数だってとても少ない。みんなで写真だって撮れなかった。それでも空っぽだったその場所を少しずつ埋めることが出来るようになった。

ラウドロックのライブなんてとんでもない、という状況から、ようやく少しずつライブができるようになるまでには様々な人たちの努力があったに違いない。先陣を切ってライブを開催したバンド、小さいながらも工夫を凝らして運営しているライブハウス、わたしが知らないもっともっと色んな人たちの力があってのことだろう。国のガイドラインを守り、様々な制限がある中で楽しいことをやる。エンターテイメントはいつも後回しにされてしまうけれど、何も考えないでただ楽しいことが出来る日がまた戻ってくることを願ってやまない。

 

 

この感想を書いている時、ツアーファイナルである『ぴあアリーナMM』の公演が、ライブツアー延長のため2021年5月9日(獄の日)に変更となった。

延期や中止といった選択は嫌なのだという。こんな世の中だ。誰だって嬉しいお知らせだけを聞いていたいものだ。

 

東京都の感染確認者は現在過去最多の記録を更新している。日々感染確認者の数が発表され、増加の一途である。

1月と2月はツアーをお休みし、3月頃からスタートして5月がツアーファイナル。あと半年近く先はいったいどのような世界なのだろうか。ただ、先の予定があることで、人は楽しみを心で温めながら日々を乗り越えていけるかもしれないという期待を込めて。

そして何とか次回来福の際はラーメンともつ鍋を食べて帰ってもらいたいものだ。

 

 

 

次もまたライブに行けますように。