箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2021年3月18日(木)青木亞一人単独公演『GetWildに魅せられて。』札幌SPIRITUAL LOUNGE(配信)

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まずは3/28までアーカイブが残っているので、読むよりもぜひ映像を観てくださいな。

【購入ページ】

passmarket.yahoo.co.jp

※YahooIDがなくても買えるみたい

くわしくは→ https://blog-passmarket.yahoo.co.jp/archives/guest.html

 

 

年度末は忙しい。社会人も学生も。

年末年始に感じたあわただしさがまだ記憶に残っている間に、再び新しく大きめの区切りをつけているなんて、いったい誰の仕業なのだろうかと文句の一つでも言いたくなるほどにとにかく忙しいのである。

 

ワクチンの目途がたち始めて、まだまだ感染対策に気を抜いてはいけないのは変わらずとも、少しずつわたしたちは楽しみを手放さない生活をたぐり寄せ始めている。

そんな中で、去年は打首さんのライブに参戦することが出来た。2020年を振り返ってみるとわたしのライブは2月と12月に行ったZeppFukuokaの打首さんだけだ。

 

今や主流ともいえるほど多くなった配信ライブにおける良し悪しの中で、一番ありがたいなと思う点は、こんな機会でもなければ観られなかっただろうなというイベントが観れるところだ。ソロのイベントなんてのはまさにそうで、だいたい東京で平日にしかやっていないのだ。それ以外だと今回のように『思い入れのある土地』ということになる。

 

札幌にあるSPIRITUAL LOUNGEで行われたこのライブ、『青木亞一人単独公演【GetWildに魅せられて】』もまさに、こんな世の中になっていなければひっそりと行ける人たちだけが楽しめる空間だったに違いない。

 

配信してもらえるのは本当にありがたい。

こういう普段の活動とは少し離れたちょっとしたイベントって、本当に地の利が全てのイベントなので、配信様様である。

 

といいつつも、悪い癖でいつでも買えるとなる後回しにしてしまうもので、チケットを購入したのは当日の17時を過ぎていた。ライブが18時30分スタートだったのでギリギリもいいところだ。

PassMarketでチケットを購入するのは初めてだった。わたしにとっては懐かしアイテムであるYahooIDでログインをして何とか手続きを行った。

初めてのシステムだったので少し戸惑ってしまったが、実際のライブ配信Youtubeを使っているので、とても観やすいし操作に不安はないので良いと思う。

 

今回は3月28日までアーカイブが残っているとのこと。配信チケットは1,500円。最終的にステージの上は3人になるのだが、非常に可愛らしい3人なので、ひとり500円のビールをおごっている気持ちで買えば安いものだ。

 

 

いやあ、観たかったんだよ。亞一人くんのソロライブ。時々Twitterで告知されて、ちょっとだけ動画が上がったりしてたじゃん。でもいつも遠いから無理だよなあと思っていたんだもん。

 

ピアノアレンジっていいよね。わたしはバンドが好きだけど、ピアノだとしっとりしててそれはそれで好き。

アシュラの時は衣装を着ているけれど、それ以外でステージに立つときは私服、お呼ばれしてるときはTシャツなイメージ。今回はカーキのモッズコートを着たままだったけど、暑くないんかいなと思ってた。しっとりだけどステージの照明って暑そうだからさ。

 

【はじまりの唄】からスタート。伸びやかな声から始まってぐっと心を掴まれる。

【男が女を唄うとき】

【Blizzard(吹雪)】

亞一人くんはいつの間にか札幌に戻っていて、今は拠点をそちらに移している。これって結構な決断だと思うのだけどするりと普通にやってるのはすごいなと思う。

ツアー開催が難しい今だからって感じなのか、それともずっと札幌を拠点にするのか分からないけれど、早くライブに行きたいなと思えば思うほどに、福岡県民としてはそんな日が来るのだろうかと思ってしまうところもあるのだ。

札幌市豊平区月寒…って聞くたびに住所めっちゃ言うやん、ってなる。どのくらいの範囲なのかピンとこないけれど、地元大好きが滲み出ているMCは観に来ている人たちにとっても身近に感じるから良いと思う。

地元でライブができるって特別感があるよね。でもそれは普段地元を離れているからの特別感なわけで。東京が拠点だからこそ、札幌でライブが出来ることに意味がひとつ上乗せされるのだと思う。札幌で生まれたアシュラシンドロームは東京で育ってきたバンドだから、今はこれまでの常識やスタンダードが崩れつつあるその真っただ中で、これからどんな方向に進んでいくのだろう。

 

SPIRITUAL LOUNGE、わたしは北海道とは縁遠いので今回のライブハウスのことはあまりよく知らないのだが、調べてみると小ぢんまりとした、ザ・ライブハウスだ。バンドを初めたばかりの高校生が、友達にチケットを売っても満員にはならないくらいの大きさ。快適さとかとは無縁の過ごし方が似合うこの場所で、いくつもの夜が音とともに過ぎて行ったのだと思う。

 

【行け!ポチ】も良いよね。タイトルからは想像できない良さがある。しっとりピアノアレンジもちょっと激しいアレンジも良いんだこの曲って。バンドバージョンだとイントロカッコいいもん。好き。

しかしこの日の亞一人くんはミスが多かった。歌いだしで2番を歌っちゃった【山の男は夢を見た】、別のところで入ってしまった【StarlightBlues】

ただソロイベントはゆるゆるなのがいいと個人的には思うので、何ならお酒片手でおしゃべりしながらでもよかったのではないかなと。

一昨年(もう一昨年になるのか)中野新橋のお祭りで、商店街でミカン箱のステージに立って歌っていた時みたいにお客さんとわきゃわきゃしながらゆるくやるのがきっと良いのだと思う。とはいえ今はお客さんが声を出せないという縛りがあるので、空気を一人で作らなきゃいけないから、演者は大変だろうなーとコロナ禍でのライブを観るたびに思うのだ。

もちろんお客側がしつこく話しかけたりするのはNGだし、面白くもなんともないのだけど、空気を共に作るという部分において、これまでのステージに慣れている人たちにとってはまだ距離を測りかねているのではないかと思っている。

 

【運命の少女】

わたしはこの曲が聴けたらいいの。この曲大好きだから。

今まで生で聴いたことがあるのは3回かな。初めて聴いた時の衝撃がすごくて、その時のライブの楽しさと一緒に記憶されているから、もう本当にずっと大好きなんだな。

しかし昔の曲をレコーディングすると言っていた話は進んでいるのかな。立ち消えちゃったのかな。『運命の少女』とか『旅人の行方』とかレコーディングしてくれたら買いたいのにな。

 

で、こっからがお楽しみ。

カバー曲タイム!!!!!

もうこれがアコースティックでの良さだよね。これを生で聴きたいんだって!!

 

わたし、世代は亞一人くんとそこまで変わらないのだけど、聴いてきた音楽が違うから、イエモンのこの曲は原曲聴いたことがない。2曲とも。

【SO YOUNG】【パール】

亞一人くんが歌っているところしか聴いたことがないし、ピアノアレンジでしか聴いたことがないのだけど、気持ちよさそうに歌うなーっていつも思ってる。(いつもって言うほど聴く機会もなかったんだけども…)きっと音域がちょうどいいんだと思う。アシュラの曲は割と言葉が詰まっているものも多いのだけど、そうじゃなくて気持ちよく歌い上げている感じ。

たしか中野新橋の商店街の時、ナガさんがTwitterでちょっとだけアップしてくれた動画で聴いたんだったかな。もう記憶も曖昧だけど、カバー曲を聴く機会ってゲワイくらいしかないから、やっぱり貴重だしいつか生で聴いてみたい。お酒でも飲みながら。

 

アニメの曲をやるといって始まったのは【アンバランスなkissをして】

いやもうこれは懐かしすぎる。

幽遊白書じゃん!わたしが中学生の時にめっちゃ流行ってたからアニメも観てた。この頃のアニメソングってまだタイアップではないので歌メロとかめちゃくちゃ難しいよね。一番有名なのが『微笑みの爆弾』でわたしが一番好きなのは『太陽がまた輝くとき』かな。

しかしこのチョイスすごいな。どうしても『強い妖戦士田中』とか『戸愚呂兄』とか頭の中に巡ってしまって曲に集中できない。

アニメの曲って言ったから、ラピュタの『君をのせて』を歌ってくれるのかなと思ったらこっちだった。

 

大好きだという【田園】玉置浩二

もう見えるよね、麦わら帽子でギターを弾いている玉置浩二。…と思って今回MVを調べてみたら、思ったより色んな玉置浩二が見れたよ。わたしは玉置浩二だと安全地帯の『マスカレード』が一番好きだな。こういう昭和っぽい曲が好きなので、いつか歌ってくれるといいなーとか思ったりする。

 

最後は【GetWild】

アシュラのバンドバージョンも良いけれど、アコースティックも素晴らしい。完成っぷりが半端ないよね。亞一人くんの思い入れが半端ないので「令和の国歌はゲワイでいいと思う」という名言もいただきました。

途中で連弾っていうのかな、アツシさんと亞一人くんでワンフレーズくらい弾いたのだけど、やりたいからやってる感じで自由なところが良かったと思う。ステージが楽しいってのが一番なのですよ。

 

カバー曲は以上の5曲でどれも良かった。普段のバンドの曲ももちろんなのだけど、カバーって特別感があっていいよね。カラオケ配信を時々やってくれてたけれど、やっぱりカラオケじゃなくてちゃんとステージで歌っているところの方が観たいもの。ほんと配信してくれてありがとうだよ。

 

欲を言えば、椎名林檎が聴きたかった。男子が女子の歌をカバーするってのが大好きなので。このツイートは思い出したときに見返すことがあるくらい好きなんだな。

 

いつか聴く機会が訪れますように。

 

もうすぐ閉店になってしまうSPIRITUAL LOUNGE。

「札幌に帰ってきたら青ばんばっかり作っているけれど、歌い手として札幌出身バンドマンとして今こそ何かやらなければならないな」ということで、連絡を取って今回のイベントになったとのこと。

こういう地元に根付いたライブハウスが閉店になってしまうのは本当に悲しいなと思う。わたしも若い頃通っていたライブハウスの場所を通りかかるたびに、今はマンションになってしまって面影なんて全くない建物を眺めながら、夜の空気や煙たい喫煙所、ステッカーがべたべた貼ってある重たい扉とかたくさん思い出して寂しい気もちになるから。

札幌近郊では他にも2つライブハウスがなくなってしまったみたいで、そうなるとこれからの若い人たちがどうやって音楽シーンを盛り上げていくのかって確かに大きな課題だよね。

「俺がいる限り、札幌の音楽シーンはつぶれないから安心して」となんとも男前な言葉をいただきました。札幌の皆さん安心だね。

 

ただ、マイナースポーツなんかもそうだと思うのだけど、とにかく場所が大事。今いる人たちの活動場所っていうことももちろんなんだけど、その人たちは何としてでもやり続けたいの元で動くので、県内(道内)や市内に残っていれば少々不便でもどうにかなると思うのね。

問題は新しく入ってくる人がいないってところだと思う。参入のハードルが高ければ高いほどに、その産業は衰退していくわけだから、今は音楽って配信が気軽にできることや、ワンルームミュージックといった新しい形が出来てはいるけれど、やはり生で聴くという体験があまりに一部のマニア化したものになってしまうのも悲しいものだ。

裾野や母数ってのは広く多くしておくことで、演るほうにも観るほうにも様々な選択肢が生まれて、シーン全体が盛り上がっていくものだと思う。

 

そして【DaringDarling】

このアレンジカッコいいね!!入りの部分とか、おおお!って思った。

この曲ってどうしてもライブの時の圧を思い出してしまう。普段はギターのオブリ部分がピアノで表現されてたと思うのだけど、駆け上がっていくようなメロディラインが好き。途中はピアノソロもあって素敵でした。

 

【ENCOUNTER】

アディオスのところ、カッコいい!こっちのバージョン好きだな。

イントロが印象的な曲ってピアノになってもやっぱりカッコいいと思う。大人しめから力強く跳ねてる音がすごく合ってるなーって思った。(語彙がない…)

ちょっとスピードが速かった、かな。亞一人くん活舌いいのでスピードが速くなっても歌にあまり影響ないのだけど、もう気もち程度テンポを落としても良かったのかなって思った。個人的に疾走感のある曲を走り出しそうになるのをぐっと抑えてキープしている演奏って好きなんだ。

 

本編最後の曲は【Over the Sun】

RSRで聴いたのが遠い昔のようだ。それからアシュラのライブに行ったのは2回。最後に観たライブからそろそろ1年半も経とうとしている。ライブに行ってた期間もそのくらいだったから、そう考えるととてもさみしい。

みんなで声を出して一緒に歌うことを前提に作られた部分。埋まる日がまた来るのかな。来ることを願う。

 

 

さてさて、そしてお待ちかねのゲストタイム。

告知されていたのに、いないよなーってずっと思っていたら満を持しての登場だった。亞一人くんのマイメン岩井氏。

『高校の頃一緒にバンドをやっていた同級生で、今は音楽イベントを主催する会社で働いている』

どう考えても存在が漫画だ。設定が盛りだくさんすぎて、フィクションの世界だったら都合がよすぎて変更を求められそうなくらいだと思う。

その彼が、かたや上京してバンドを続けていた亞一人くんと久々に立つステージ。

理由は高校生の頃に組んでいたバンドでライブをしていたライブハウスが、治療薬のない流行性ウイルスが蔓延したことにより閉店することになったから。…なんてB級映画の陳腐なストーリーみたいじゃないか。まったく。

しかし事実というのは圧倒的な平常心を持ってそこにあるもので、必要以上にエモいわけでも感動も呼ぶものではなく、ただ日常とつながっているのだ。

 

「久々すぎるからドラムを叩いてくれというのも酷だと思って…」ということで、一度も叩いたことのないカホンでの参加を促すとはなかなかのハードモードである。

 

【月はメランコリックに揺れ】

ビールを4本ほど飲んで、良い気分の岩井氏。

やっぱりこの曲だよね。この曲は亞一人くんがずっと住んでいたという中野新橋がMVのロケ地になっていたり、歌詞に行きつけのお店「飲み屋のクロちゃん」が出てきたりと、一見、札幌とは縁がないようにも思える。

しかし上京してずっと同じ場所に住み続ける。それはもはや第二の故郷ではないか。

住みやすさとは、行きつけのお店や仲の良い飲み友達、そんな人たちに囲まれて毎日を過ごすということだと思う。

 

短い持ち時間であってもセットリストに含まれていることが多いこの曲。月は夜になればそこに出ていて、どんな場所であっても照らしてくれる。そういう意味ではどこであるか、というのはあまり関係ないのかもしれない。

福岡で、東京で、それ以外の場所でこの曲を聴きながら「あーいえー」と声を出したことを思い出す。また出来たらいいな、どこかで。

 

照明の下でカホンを叩く岩井氏がとてもイケメンなのよ。ステージの照明は人を何割増しかに魅せるものだと思うけれど、彼は10獄放送局に出始めた頃よりもぐっとカッコよくなっている気がするんだ。

初めて叩いたというカホンだけど、すごく良かった。

 

 

そして退場していったのだけど、鳴りやまないコール(拍手)。

アンコールに岩井氏登場のイメージだったのだと思うのだけど、さらにアンコールになってしまった。コールにこたえて出てきたもののしかしながらもう曲がないと。

会社員岩井氏がカホンを練習したのはメランコリック1曲が限界だったとのことだったけれど、泣きのお替りソングとしてここはもう【GetWild】になりました。

 

ノリでよければ、ということだったのだけどカホンめっちゃ良かったよ。ちっちゃいシンバルみたいなのを叩くんだけど、どうやら手が痛いみたいで思わず笑いあってたの可愛い。「すげー指痛い」って曲が終わってから言ってたけど、硬そうだもん、あのシンバル。

急ごしらえに対応するのってバンドマンならまああることかなと思うけれど、岩井氏がやったのすごいなって思ったよ。ビール4本飲んでないとできなかったかもしれない。全国の岩井ファンも喜んだことだろうと思う。

 

亞一人くんがアツシさんのところに近づいて、曲を止めることなくちょっとだけ弾いてたのも良かった。アドリブばんざい!

 

土日に開催されるツアーだと、ゆっくりお酒を飲みながら観る、というのは実はけっこう難しくて。満員になればなるほど飲み物どころかカバンだって持ち込めないくらいに人の圧がある。

だから平日の、お酒を飲みながら楽しむちょっとしたイベントのゆるさに憧れがあった。

今やお酒すらほとんど飲まなくなってしまっているのだけど、今年こそ大人の遊び場に戻れますように。

 

 

 

投げ銭もあんまり参加できないのだけど、できることを少しずつ、と思っている。

 

 

 

 

【青ばん】

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