箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2020年2月16日 打首獄門同好会 獄至十五ファイナルワンマンツアー ZeppFukuoka

キラキラと舞う紙片。わたしは首をひねってステージとは反対方向に視線を向けて、その光景を見た。フラッシュバックするのはあの日の景色だ。どうしてこの瞬間まで忘れていたのだろう、鳴り響く音を前にそんなことを思った。


2月までと言っていた47都道府県ツアーが12月をFinalとしてその全容を現したとき、1月から2月にかけてはきっと何かがあるのだと予感していた。予測を立てることに無頓着なわたしでも分かる。発表されていない何かがあるのだと。
そうして告知されたのは、ファイナルワンマンツアー。これまでの箱とは規模が大きく違う、キャパ1000オーバーの大掛かりなツアー予定である。
ZeppFukuokaは2016年に大人の事情で一度閉館し、2年後の2018年に再オープンした。わたしは大箱にあまり縁がなく、随分と前にブライアンセッツアーの来日公演を夫の知り合いに誘われて観に行ったきりだった。数年前にほど近い場所に住んでいたが、行く機会も特になく、閉館と再オープンどちらも他人事のように知ったクチである。

 

17時オープン18時スタート。10時には家を出て、昼前には到着したい。家族にそう告げて、日曜日だが8時に起床した。
先行物販は何時だろう。TLでフォロワーさんとそんな話をしていたら、タイミングよく会長がお知らせツイートをしてくれた。14時だ。
今回のツアー用に新グッズが発売している。初日の物販販売と同時に通販でも発売が開始されるという新設設計だ。


ワンマンツアー限定グッズといえば、2年前の武道館の時に並べど並べどたどり着けず、オープンに間に合わなくなってしまいそうになったので泣く泣く列を抜けたという苦い思い出がよみがえる。
当日のステージ上で物販をさばききれず、完敗だと話した会長は、そんな思いをさせぬようにと策を講じてくれているのだろう。打首さんの対応はいつだって優しい。

コンパクトシティ福岡の交通網は非常に便利設計で、少し田舎にある自宅から会場までは電車とバスでも何ら問題なく行ける。しかし家族3人での移動ならば、①電車代と②高速代+駐車場代ならば後者の方がお得だった。さらに福岡市内まで毎日車通勤している夫にとって公共交通機関で行くという選択肢はないようだ。

夫と息子がガンプラを見に行きたいというので、少し寄り道して博多キャナルシティにあるガンダムベースという全国で東京と福岡にしかないというガンプラショップに立ち寄った。
すでに獄T、獄パーカー、獄パンツといういで立ちのわたしは、シャレオツな店内を手持無沙汰でウロついていたが、アーノルドパーマーのショップのお姉さんから「打首行かれるんですか?」と話しかけられて、それはもうビックリしたものだ。
ほんの1年前ならなんと物騒な格好をしている人だろうと訝しげな視線を投げかけられていただろうに、つい2日前、ミュージックステーションという老舗音楽番組に出演したバンドは知名度もうなぎ上りである。

気を良くしたわたしはパーフェクトじゃないジ〇ングのプラモを写真に収めて、何やらよく分からない何らかのプラモをそれぞれ購入してホクホクしている家族とともに再び車に乗り込み、Zeppを目指した。


キャナルからホークスタウンも非常に近い。問題は駐車場があるかどうかだ。
なるべく近い場所を確保したいが、ヤフオクドーム…いや今はPayPayドームと名前を変えているが、とにかくドームの駐車場は電車賃3人分往復をもってしても太刀打ちできない価格をはじき出している。
ネットで検索すると、ももち浜という椎名林檎(福岡県出身)の歌詞にも出てくる場所の方面にある駐車場が空いていた。5時間を超えると1000円。ラッキーだ。

前日が暖かかったこともあり、油断していたわたしたちは思ったより薄着で来てしまった。よく考えればわたし以外は2階のファミリー席なのだから、厚着をしても良かっただろうに、ライブとなると温度で着るものを選ばないという突然の漢気仕様となる癖を直したい。


ドームの横を通り抜けて、はてZeppはいったいどこなのだろうとGoogleマップはこういう場面ではあまり役に立たないよなと思いながら、「目的地付近ですお疲れさまでした」という顔をした画面を眺めて迷っていた。

気が付けば先行物販の時間まであと少ししかない。だから嫌なんだ。この焦る気持ちはお昼ごろ到着すれば必要ない感情である。ぼっち参戦の時は、早々に到着して現場を確認したのちに、お昼ご飯でも食べていただろうに、家族とともに移動するとタイム感のズレが逸る気持ちに拍車をかける。

駐車場整理のおじさんに場所を聞いても、角を3つも曲がる指示がでれば忘れてしまう。
とにかくさっさと歩いて歩いて、ニアミスしながら遠回りをしていた自分に悔しさを感じつつ、何とか入口を見つけることができた。
先行物販の列はすでにできていた。通販で買えばよかったと後悔しつつも、吹きすさぶ風の中、列の中にいると、そばに立っている夫が誰かから話しかけられた。
家族でライブに来た時、突然話しかけられるのはいつもわたしの方だった。いつもTwitter上でお話している方とリアルに会う機会があるのがライブだからだ。
しかし今日は珍しく夫が話しかけられていて、え?誰??と思ったら、高校の同級生だった。当時一緒にバンドを組んでいて、夫がボーカルでその人はベースを担当していた。面識があったのに分からなかったのは10年ぶりくらいの再会だったからだ。

どうやら打首さんにハマっているらしく、ワンマン広島にも参戦したのだという。我が家は福岡のみなのでなんとも羨ましい。


懐かしさでつもる話もある2人を置いて、わたしと息子で物販にてワンマンツアーのグッズを購入する。これでようやく一息つける。後回しにしていたお昼ご飯を中華バイキングという少し贅沢な空間で堪能していたら、あっという間に時間は16時を回った。
そういえば高校生以下は学割でキャッシュバックという制度があったことを思い出し、整列前に再び入口に立ち寄る。キャッシュバックを受けるとチケットの裏に押してくれる「獄」のはんこがレアで可愛い。グッズで売ってほしい。

オープンは17時だが、入場整列は16時30分からというお知らせを見て、さあいざ行かんとばかりにスタッフに誘導されるまま海っぺたから吹く強い風の中に立つ。
お揃いのスタッフジャンパーを着たBEAのスタッフが、わたしたちを含む人々をバスターミナルの端っこまで誘導していく。
「ドリンク代600円をご準備ください」という看板と掛け声。それはいいのだが、いったい何番がどの辺に並ぶのかという指示が全くない。ドリンク代のことはもっと入口近くで構わないので、それよりも何番の人はこの辺という指示をだしてくれないだろうか。
BEAのスタッフは前回熊本の時に非常に整列の手際が悪く、腹立たしい思いをしたのだ。あの日はそれでもまだ寒さが緩めだったので我慢できたが、この寒さの中でダラついた整列は勘弁してほしい。

佐賀の感想を途中まで書いて完成させられなかったのだが、佐賀ガイルズのスタッフの誘導は素晴らしかった。さすが老舗ライブハウス。指示も誘導も本当に統制が取れていて分かりやすかったし、入場の際に1人ずつ呼ばれて番号確認をしてから入るなんて初めて経験したかもしれない。そりゃものすごく小さい箱なら可能だが、ガイルズ規模でやってくれると嬉しいものだ。

それに比べてBEAはスタッフの人数はそこそこいるのに、昨日今日このバイトを始めましたみたいな人員ばかりで、非常に使えない。始まる前のワクワクだけを抱えていたいのに、無駄にイライラしてしまうので本当に改善してほしい点である。

入口でもう少し細かく番号チェックします。なんて言っていたが、結局そんなことは誰もしないまま50番単位で(つまり50人単位で)の入場となった。

さあ、ドリンクコインをポッケに入れて、ここからが大変だ。
今日はいったいどこで観よう。
わたしは上手と下手だと、打首さんの場合は下手にいることが多い。風乃海くんかJunkoさんかといえば、やっぱりJunkoさん側で観たいのだ。
これはイメージなのだがVJ卓が邪魔をして見えにくいのではないかという思いも働くようで、つい下手を選んでしまうのだった。

今回の整番は512番。キャパからいえばそこそこだ。ものすごく後ろというわけでもないが、めちゃくちゃ良番というほどでもない。でも前にも行ける番号。
わたしは早歩きで下手の2列目に滑り込む。フォロワーさんが近くにいて、もう少し中央寄りに行けそうだったので、するりするりと見えやすい位置を確保した。
うん、ここはいい。Zeppはステージも高く、最前ではなかったが充分よく観える良い場所だ。


打首さんのワンマンは開場から開演までの1時間、退屈しないようにとスクリーンで映像を流してくれている。武道館ではこれがお遍路(四国フェス)映像だったのだが、今回は獄至十五対バンツアーで一緒に回ったバンドのMVがライブ日付とともに流れていた。
対バンの時はBGMがそれだったのだが、さらにMVまでをも流してしまうとは。こうして出会いを増やしていき、音楽シーンの底上げをしていきたいという気持ちなのだろう。きちんと編集したVTR。対バン相手からも感謝されて愛されるし、そんな良い事ずくしの対応ができるという人柄の良さにファンとしては嬉しくなってしまう。

オープンと同時に流し始めて、ちょうど1時間ですべての対バンのMVを流し終える形で作ってあるということもあり、整番によっては観られない映像もあるが、それは目の前の箱やスマホでチェックするがいいさ、という感じなのだろう。
わたしはアシュラが流れたときを見逃してしまった。MVは別にYoutubeで全部見られるから構わないが、流れたときにフロアがどういう受け止め方をしたのかが観測できず残念だ。


斜め後ろにいた人が、一緒に来た人に解説しているのを聞きながらVTRを眺める。わたしはあまりインディーズシーンに詳しくないので、知らないバンドもたくさんいたけど、むしろバンドじゃない相手もたくさんいてジャンルが幅広くて凄い!と思った。

最前柵の前をスタッフが何やら準備のためにウロウロしているのだが、カメラを抱えた見覚えのある姿が2名。
えみだむちゃんとチダさんだ。どちらも裏方さんなのに非常に馴染み深い。しかもいつもいるとは限らないというところがまたレア感たっぷりで嬉しくなる。

時々振り返りガランとした2階席を眺め見る。あんなに寒い場所にずっと並ばされている家族のことを思い、BEAめ、早くしやがれ!と心の中で悪態をついてみた。
彼らが入ってきたのは気志團のワンナイトカーニバルの頃だったのだが、3月から12月までのツアー順に紹介されているVTRの11月30日での入場なのだ。どれほど遅いかがわかるだろう。
ファミリー席はその名の通りちびっこも多い。整列の時間をずらすなり、先に入場させるなりの策を講じるべきだったのではないだろうか。

カウントアップされていく日付と時計を見比べる。これまでのワンマンライブの時のように、VTRの最後がライブ開始とつながっていたらどうしようと思うくらいの時間になった。おそらくまだ入りきっていない。開演時間は押すはずだ。
案の定18時になっても始まらず、VTRはループ設定になっていたようで、3月7日のPAN、そして同じく3月14,15日のROTTENGRAFFTY。これはもう一回アシュラまで回って観れるかな?と自分に都合よく考えたとき、音量が大きくなる。
あ、始まる…と思った時にはまたボリュームが絞られてそして映像が切り替わった。


VJスクリーンに映し出されるのは、打首さんのライブステージ映像。
「オッケー〇〇遊ぼうぜ」の47都道府県版だ。それぞれの場所で演奏されたフレーズをひたすらつないだ映像は正しすぎるほどにそこにある。
ワンフレーズとはいえ、47回もあるのだから長い。長いのだが誰も長いなんて思わない。わかったから早く始めろよなんてことは思わない。だってワンマンライブだから。打首さんを観にきたお客さんしかいないのだから。

そして日本を縦断して、ワンマンライブツアーの分も上乗せされて時間が早回しで流る。そして今日まで追いついていくのだ。そうして地図が画面に表れてタイトルがつけられる。近隣の県にピンを立てていく映像を見てから気づいた。そう今日は九州ワンマンなのだ。

いつものSEに音が切り替わる。バックドロップシンデレラの「池袋のマニア化を防がnight」。メンバーが下手から現れる。会長が掲げたバスタオルは黒に赤文字で「獄」。
フロアの押しが強くなり会長の煽りを受けてオイオイの声も響く。照明がステージを照らしていて、先ほどまでの装いとは打って変わって、音も光もこちらに刺さりそうなくらい激しくなった。

打首さんのライブの始まり方が好きだ。前も書いたかもしれないが、「それでは始めます打首獄門同好会ですよろしく、トコロテンジャーン」の流れが大好きなのだ。


【こどものねごと】
オッケー福岡あそぼうぜ!から始まる。
今回のツアーは4か所行ったのだが、全部1曲目はこの曲だった。歌の歌詞に地名や場所がある場合、ツアー先の名前に入れ替えられるというのはよくあることだ。とにかく地元で観られるというだけでもテンションが上がるし、ただ地名を言ってくれただけでも嬉しいというのが地方のファン心理というものだと思う。逆に東京だとピンと来ないかもしれないが、外国人アーティストにTOKIO―――!と呼ばれるアレだ。

バンドは面白い。曲はもちろんだが、音や機材にあんなにこだわるくせに、ことライブにおいては音楽を聴け!というよりも遊ぼう、騒ごう、盛り上がろう、楽しもう、と声をかける人が多い。ライブは体験型の娯楽として進化してきているのだと思う。うちの母はライブのことを「コンサート」と言うが、わたしにとってライブとコンサートは何となく違うもののように考えている。実際のところはどうなのか分からないけれど。

【だいたいOKです】
これは久しぶりに聴いた。武道館ぶりかもしれない。掛け声が可愛くて好き。
こどものねごともだいたいOKもサビの部分が16ビート(で合ってるかな?)で、ダイバーが転がるのにちょうどいいように思う。
2番の「だいたいOK だいたいOK Yeah」の何回目からか後ろでギターが鳴り始めるあのちょっと不穏な感じになるフレーズが好き。
「なんでもOKです おそらくOKです あなたが良ければだいたいOKです」ここの部分が、本当にだいたいだし、もうなんでもOKなんだなってのがアリアリ出てる歌詞も秀逸。

【私を二郎につれてって】
定番。思ったより定番なんだよね、この曲。フェスではセトリ落ちしてしまうときがあるけれど、ライブだと対バンの時も高確率で聴ける曲。でも2階席にいた夫情報では、2階はわりと知らないって人が多かったそうな。
あのMVのキャプチャだと、何となく避けがちになるのかな。打首さんのMVって本人たちが出演していないものも多く、「らしいな」と思うけど、「損だよな」と思うこともある。
ただ、こうぺんちゃんや自分ツッコミくまなどのキャラ打ちならではの良さを甘受しているので何とも言えないところだ。

【きのこたけのこ戦争】
この曲が始まったとき、ちょっと探してしまったよね。ペリーさんとキャナコさんを。
今回のワンマンツアーって各会場ごとにシークレットゲストが登場することになっていて、札幌がONちゃんだったり、広島がこうぺんちゃんだったり、仙台が秋田のなまはげだったりと、所縁のある方々とのスペシャルコラボがあるのだけど、前回の名古屋が亞一人くんだった。
あと残っているゲストって誰だろうというのは数日前から色んな所で話題になっていて、ペリーさんとキャナコさんという説はわりと信ぴょう性があったのにな。

分かれるがよい、分かれるがよい…で真ん中から割れて、今回も下手側だったのでたけのこ軍にスパイとして潜り込んでしまった。

Mステの話。絶対に聞けると思っていたけど、やっぱり話してくれると嬉しくなる。「近況報告する?」なんて、もうこの話をしたいがだけの入りだと思う。

我々も子どもの頃から観ていた番組で…って話し始めて、1986年に始まったなんてマメ知識を聞きながらわたしは会長とあす香さんと同じ年だからすぐに計算できるのだけど、小学校1年生の時だ。
もしかすると今、毎週Mステを観て楽しんでいる若い世代の人にとっては、あれが見慣れた姿なのかもしれないけれど、やっぱり大人世代にとっては階段がないってのは驚いたと思う。
会長も「21時台になってから階段がなくなっていた」と言っていて、Mステ出演が決まったときに、あの階段から登場する自分たちの姿を思い浮かべたのだろうか。
Mステといえばミュージシャンにとって憧れの音楽番組であることは間違いない。そして同時にどうバカである会長たちにとっては、まだ全国的には知名度が低かった時代の洋ちゃんが出演した裏側を追いかけた映像なども頭に浮かんだことであろう。ダブルで嬉しい出来事であったに違いない。

そしてあの階段から登場してくる打首さんのはにかんだ顔とかを楽しみにしていたのは、きっとわたしだけではないはずだ。Mステは今すぐに謎のランキングに費やす時間を縮めて、あの階段を復活させるべきである。板付きの登場よりも何倍も味があるではないか。

Mステティッシュを手に入れたときの様子も話してくれた。噂に聞いていたMステ出演者がもらえるという番組名が書かれた箱ティッシュ。楽屋にもなく、どこにもない。きっと階段文化とともに20時台の風習として消え去ったのだろうと思っていたら、帰りにエレベータを降りたらそこにスタッフがずらりと並んでそこでもらえた!ってほこほことした表情で話していたのが非常に可愛かった。

「使えないよね」とあす香さん。「これから花粉の季節だけど、使えない。花粉症にはスコッティを使う」と会長が言っていた。
同じ理由で未開封のバンドグッズが家にあるという人もいるだろう。思い入れが強い記念グッズというのはそういうものだ。

Mステ効果で懐かしい人から連絡があったりしたらしい。老けたなーって言われたらしく、いやあなたもでしょうともっともな話。いやでも正直な話、40代って一気にくる気がする。気がするよ!
納得がいかないのが「太ったなー」って言われたことらしい。いやいやいや確かに体重はここ最近で10キロくらい増えているけど太ったわけじゃないと。

うん、知ってた。別に知り合いじゃないけど知っていたよ会長!たぶんみんな知っているよ!!!と思いながら、でもこの話を本人から聞くのは初めてだなと思って耳を傾ける。
10獄放送局の企画「北海道横断自転車の旅」のために鍛え始めて、実際ライブでツアーをまわるのにも体力がいることに気がつき、そして今。
簡単に言うとこういうことだけど、分かってた。凝り性の会長は鍛え始めたら止まらないはずって思っていたもの。
ライブの写真を見るたびに、どんどん首が太くなっていって、どんどん肩がごつくなって。今のステージ衣装だとあまり目立たないけど、昔みたいにTシャツ着たら、腕とかかなり太くなってるよね。
武道館の時のもじゃもじゃヘアでヒョロリとしてた会長とは別人みたいだと思う。わたしは武道館の頃の姿が「大澤会長」としてインプリンティングされているから、それより前を見れば「若い」と思うし、それ以降を見ると「あ、今の姿だ」と思う。
でも新しい衣装は今の会長に抜群似合っていると思う。色気増し増し仕様で素晴らしい。

筋トレ話は続いていて、3大筋トレのひとつスクワットを披露。そしてフロアにもスクワットの指示が出る。曲中にも練習どおりにスクワットをするのだと言って始まったのが噂の新曲だ。

【筋肉マイフレンド】
初めて聴いたのでうっすらとしか覚えていないのだが、カッコいい曲だったと思う。記憶が確かならタッピングしてたよね?イントロのギター!可愛い系じゃなくてハード系の方の曲だ。糖質制限ダイエットや歯痛くてとコンセプトが同じ方向を向いている曲である。
わたしも筋肉の重要性に気がついて、最近任天堂Swichの大人気ソフトであるリングフィットを購入してちまちまと可能な範囲でやっているから知っているが、途中ででてくる「Victory」という歌詞はゲーム内のステージクリアの決めセリフからきているものだと思う。
みんなでスクワット。前は狭くて大変だが、スタンディングのライブを楽しみ続けるためだけにゆるっと筋トレをしているわたしにとっては最高の曲である。


鍛えたらプロテインだ!タンパク質だ!ということで【ニクタベイコウ】
この曲カッコいいんだよ。新曲って嬉しいけどまだ初めましてで慣れてないので、ほんの少しだけフラストレーションがたまるのだけど、ここで肉。定番の食事みたいにみんな大好きお肉でぐーっとフロアも盛り上がる。
「そうしよう!」のコールがめちゃくちゃいいんだよね。大好き。
それでもやっぱりこの曲でWODが起きなくて、前回の佐賀で起きたのは珍しかったんだなと思った。
MVが参考動画にされていることって多いので、最初のうちはこの曲もきのこたけのこみたいに起きてたんだけど、最近はすっかりなくなってしまって積極的に参加しないくせに寂しい。
この曲のMVは撮影のためのエキストラをTwitterで募集していたのを覚えている。その頃はまだ打首さんのことを知っているだけでハマっていなかったので、もちろん応募するに至らなかったけれど、小学生までのちびっ子を募集していたからいいなー息子連れていきたいなーとぼんやり思ったものだ。今なら応募しないなんて選択肢はないくらいだけれど、タイミングだよなと思う。

そしてタンパク質といえばもう一つ。肉といえばで【ヤキトリズム】
ヤキトリズムは比較的福岡では演奏されることが多い曲だ。このあたりでは焼き鳥がメジャーB級グルメ(日本語として謎)だからだと思う。わたしはヤキトリズムのBメロのギターが大好きで、この曲を聴くときは本当にガン見してしまう。このあたりでシミジミと会長カッコいいなーと思ったんだった。ギターを弾いているその立ち姿が本当にカッコいい。今回の衣装はかなり似合ってると思う。好き。


ヘッドレスギターはメイン機をアベさんにプレゼントしてしまったのかと思うくらい、最近めっきりお見かけしない。
普段から使っているギターを持ち替えることなく、聴いたことのあるフレーズをそっと奏でる。そして「残念なお知らせがあります」とくれば次の曲は決まっている。
【はたらきたくない】
2月の祝日も終わってしまい、そして今日は日曜日。そうなると明日は…月曜日である。とにかくこの曲の入りはいつも会社員の心にずっしり響くものがある。
特にお楽しみの真っただ中でしかもステージから言われるのだ。筋少にも「労働賛歌」という曲があり、こちらは「はたらけーはたらけー」と言われるのでそれもきついが、「はたらきたくないねー」とカジュアルに言われるのも楽しいだけにつらい。
はたらきたくない、のだ。今日今まさにこの瞬間が一番!なんて思ったりする。

「はたらきたくない」という一言で終わる曲。
そして先ほどまでの丁寧すぎるほどの曲振りとは違い、紹介も何もなく次の曲が始まる。聴き覚えがあるという程度の認識が逆にレア曲であることを物語っている。新曲は先ほどすでに聴いているのだから、もはやあの曲しかないではないか。そんな風に思うが確信が持てない。ライブ回数が少しずつ積みあがっていく中でタイトルがぱっと出てこない曲が突然目の前に取り出された時のドキドキした感覚は久しぶりだ。


【もつ鍋が呼んでいる】
きたきたきたきた!!!テンションがぐっと上がるのが分かった。福岡のライブで何度か「もつ鍋と思わせておいてのヤキトリ」を経験した。美味しい食べ物、福岡と言えばという食べ物とインタビューをすれば絶対にその名が挙がるであろう。
あす香さんの歌声が綺麗に響く。とにかくもつ鍋のことを歌った歌で、しっとりとした曲の雰囲気と裏腹に歌詞はひたすらにもつ鍋についての歌である。
やっと聴けた。本当に嬉しい。

曲の後半が「らららーららーららららー」という歌詞がすべて「ら」になる箇所があるのだが、上に伸ばした手を左右に振りながら、ゆっくりと「らららー」と口ずさむシーンは、はたから見れば何やら感動のエンディングのように見える。
ステージの上から「さあ、みんな一緒にっ!」とか「もっともっと大きな声で!」とかそういうちょっと熱い感じで感動が好きな真面目なバンドなんかのライブみたいだなと思ったら、それを「もつ鍋が呼んでいる」というテーマの曲でやっているのが可笑しくて可笑しくて、笑ってしまいそうになった。
そしてそんな時間もつかの間、らららーにお似合いのラップが重なって、あれ、今時のバンドじゃないんだからとか思っていたら今日のスペシャルゲストの登場だ。
お口の恋人と言っても過言ではない。打首さんの歯の主治医子安先生こと「Dr.COYASS」。

ゲスト予想は、ペリーさん&キャナコさん、もしくはコヤス先生、または漁港の森田さん、もしかするとサカムケちゃん!?なんて色々好き勝手言っていたけれど、福岡のゲストはコヤス先生だった。
日曜は休診だもんねーなんて予想していたら、本人からも休診だから来られたみたいな話があった。

コヤス先生を見るのは武道館と打首筋少の時、そしてこの日が3回目。
わたしにとってはレア感がそこまであるわけではないが、多くが九州の人たちのはずであるこのフロアにとってコヤス先生はレアなのだ。

【歯痛くてfeat.Dr.COYASS】
わたしとしては、この曲はコヤス先生がいないステージの方がレアだと思っている。feat.Dr.DOYASSなのにそれが通常バージョンなので、ただの「歯痛くて」の方が音源化や映像化されていないのでステージだけのスペシャルバージョンだ。
とはいえ、コヤス先生はリズムに合わせてお客さんをノセるのはとってもお上手だと思う。
「手あげろ、手あげろ」っていうのは武道館の時も言っていたけれど、この日はそのあとに「歯のある人手上げて」みたいな感じで、上がってないとこらへんに向かって「ないの?」って言って上げさせてたりしていた。
DJ…になるのかな?わたしは詳しくないのだけれど、ラップ自体を聴くことがあまりなくて、思い返せば本当にコヤス先生がステージにいるときくらいだ。そう考えるとわたしにとっては貴重なラッパーともいえる。


【New Gingeration】
ドラムが聞き覚えのあるビートを刻むと、ステージの両端に気が付けばピンクのしぼんだ何かが現れる。
そういえば今日は物販のところに新生姜ペンライトは見つけられなかった。さすがに箱が大きいと貸し出しは難しいのだろうか。それともショッピングモールだったから、早めに貸し出してどこかに忘れてこられたら見つけた人が混乱しちゃうかもとかそういうのかな?
とにかくペンライトが置いていなかった(と思う)ので、素手を振り上げることにした。
会長とJunkoさんが一度袖に引っ込み、ステージがあす香さんだけとなる。この時のコール&レスポンスで「いわしたのぉーしんしょーが♪」というあす香さんのリードがいつも可愛い。のぉーと伸ばすところがちょっぴり上がって可愛いのだ。あと「ありがとうございまーす」の声も。
そうこうしているうちに下手側からはピンクの新生姜ヘッドを持った会長たちが再び登場する。だるまさんが転んだ形式でドラムの音が止むたびに一度立ち止まるのが何かのキャラクターっぽい。しかもピンクのフカフカに縁取りされた顔は真顔である。あす香さんに新生姜ヘッドを渡す会長がいつも雑すぎて笑ってしまう。
熊本と佐賀では対バン相手の岡崎体育くんのネタを取り入れて、楽器を担ぐ場面でナレーションのように「心の声」が流れるという演出があったのだが、今回はそれではなかった。ただ頭(ヘッド)がデカいと楽器を担ぐのが難しいというところはそのまま残っていて、会長はうまくできるのになぜかJunkoさんはうまくできなくてさんざっぱら苦労していた。可愛い。
あの時しゃべらないでマイムになるの何なんだろう。「オレはできるぜ!」みたいなジェスチャーで会長がストラップを両手で持って、得意顔(下向いてるから見えないけど)で頭を通してどんなもんだ!ってなるのも可愛いし、それを受けて頑張ってやろうとするのにちっともできなくて困ってるJunkoさんも可愛すぎる。
結局何度やってもできなくて、下手最前列のお客さんに�� �けてもらって何とか頭を通すことに成功していた。
岩下の新生姜でございますーーーー」と始まるこの曲。気が付けば左右のピンクの物体にも空気が入っておりピンと立っている。異様な空間であるが、特に説明の言葉を用いずとも共通理解が進んでいる空間は心地いいではないか。

この曲はギターソロがあるのだけど、いつもマイクのそばにいなければならない会長が、珍しく前方に歩み寄ってくれてあまつさえ伸びた分の頭をフロアに突き出してくれるという素晴らしいソロタイムがあるのだ。ギターフレーズもとても良い。基本的にMCも会長の仕事なので聞こえるはずがないのに、ソロに入る前に「大澤会長!」という声がどこかで聞こえるような気がするのは、アシュラの渋谷WWWでのワンマンDVDの時の声ががわたしにインプットされているからだろう。わたしは楽器ソロに入るときに名前を呼ぶ瞬間を見るのが好きなのだ。
しかしソロの時の様子を見ながら、そうだったわたしはいつか上手に行かなければならないのだったと思い出したよ。いつか新生姜ヘッドに触ってみたいもんだ。でもきっと本当にその場面になったら、触るというよりもそこから見えるアングルの方が気になってしまう気もした。
ライブって生で観る良さはその不完全なアングルにあると思うんだ。ライブ映像ってやっぱりステージを余すところなく見られて、良いシーンばかりを編集しているのが通常だけど、実際に行くと見えにくいし、前の方だと音だってバランス良くない。でも迫力や躍動感ってものすごいし、生声、生音が聴こえてくる距離ってのは無条件で素晴らしいと思う。

ライブ写真を撮るカメラマン。今回はえみだむ氏だったけれど、最前の柵とステージの間でセキュリティスタッフとごたごたになりながらカメラを構えていた姿はかっこよかったな。チダさんも同じ場所にいて、チダカメラの液晶画面越しに会長やJunkoさんを見るってものすごく贅沢で不思議な気持ちだった。
いつも画面の中にいる人たちが外に出てきて目の前にいる。その姿をまた画面に収めて眺め見るなんて、本当に不思議で面白い。
この馴染み深いカメラマン2名がそろっていた日のライブといえば、RSRのアシュラのステージだ。その時も今回も映像の方はまだ見ていないけれど、写真の方はすでにSNS上で共有されていて、どれも本当に素敵。自分に見えていた景色が同じようなアングルで、プロの手によって切り取られて残るって思い出としては最高ではないのかなと思う。

ツアーで福岡に来た時はあえてもつ鍋をやらなかった。と会長が言っていた。だって夏だったし、2月にワンマンで来ることが決まったからその時にやろうと思っていたとのことだが、イマジンオールザピポーで「なつのうた」を冬にやったり「布団の中から出たくない」を夏にやったりするくせに何を言っておるのだと思ったぞ。

とにかくもつ鍋は冬だろうと思って来たが、今日は暖かいというMC。いや確かに気温としてお昼は暖かかったのだけど、実は極寒だったのですよ、入場整列は。海っぺたなもんで潮風が冷たいのです。
最近の天気は読めないところもあるし、実際曲順を考えてMCを考えてというときに、曲のコンセプトを考えると頼りになるのは気温データだよな、と思った。
これは暗示をかけやすいかもしれない。もしかするとあの曲ができるかもしれない。からイマジンオールザピーポーイマジンオールザピーポーで始めてしまう曲は【なつのうた】
イントロのギターのところの弾き方が可愛くて好き。ボッサノヴァ。うちの息子はもうそろろ大きくなってきてしまったからそこまででもないのだけど、ファミリー席のちびっこちゃんたちなんかは大好きだと思う。こうぺんちゃんシリーズ。
ところで今回、わたしよりも少しセンター寄りという場所の最前に、おそらく息子(小5)よりも少し小さいであろうお子さんを連れた方がいて驚いた。
最前の柵からようやく頭が出るくらい?正式な大きさは把握できていないけど、とにかく小さいお子さんで、いやわたしもアシュラの時は息子を最前に連れて行くので人のことは全然言えないのだけど、危ないんじゃなかろうかとヒヤヒヤだった。
言わずもがな打首さんのライブには圧が高い押しやダイブなんてのもたっぷりあって、大人のわたしですら大分で最前にいたときは死にそうなくらいだった。上を転がってくるダイバーさんたちの挙動に本当にびっくりしたし、柵をお腹で押し続ける形になるので痛いし、でもやっぱり最前って素晴らしいと思うので覚悟を持って臨んだのだ。
ただわたしは大人だしいざとなったら逃げられる。声を上げることもできるし、何より大きさの関係でよっぽどのことがなければつぶされることはないだろう。
それでも分からない。強い押しが万が一崩れるようなことがあったら、下敷きになれば命だって危険だと思う。押しって近場だけで発生� ��るものではなくて、後ろから何人もが押し合ってできるものなので1人が止めようと思っても止められるものじゃない。
そこが怖いのだ。スペースがあればちょっと子どもが転んだり、高めのところから落ちたりしてもすぐリカバーできる。人が密集したライブハウスのフロアはリカバーができにくいというところに怖さがあるのではないかなと思う。
たしかにフロアのいたるところに柵を作って色々危険対策をしているけれど、さすがにあの場所はダメだろと思った。
わたしだって子どもをライブに連れて行く。最前だって息子と行くこともある。でも、怪我だけは誰も得をしないので、もう少し想像力を働かせて逃げられるスペース(この場合、最前柵の向こう側ということではない)を考えておかなければ、もし万が一何かがあったとき、ニュースに名前が出るのはステージの上の人たちなのだ。わたしは推しバンドにそんな迷惑をかけたくない。

「次は猫の映像をご覧ください」から【猫の惑星】
この曲はMVが作られたことで、定番の仲間入りをしたと思う。さすがにフェスの持ち時間では難しいこともあるが、対バンツアーではセトリ入りするようになった。色気のあるビブラートが印象的な曲なので、ばっと盛り上がる瞬発力がある曲ではないが、歌メロの少し切ない感じも、Aメロの重めの音もとても好き。

前回佐賀だったか、最後のギターの余韻までしっかり聴かせてくれたのだが、今回は「続いてはくまの映像をご覧ください」という曲振りと少し被ってしまったので、短かったのがちょっと残念。


次は【Shake it up'n'Go ~シャキッと!コーンのうた~】
この時はJunkoさんが可愛いの。「ノー」ってところでVJ映像の「くま」と「パグ」が首を横に振るのだけど、それと同じタイミングでJunkoさんも首を横に振るんだよね。可愛い。
オノマトペのギター、VJ映像のキャラクターと会長が同じ顔をして弾いていて、これも本当に可愛い。ステージだけ見ているとすごくカッコいいのに、後ろに大きく同じ顔のキャラクターがいるもんだから、非常に可愛い仕上がりになっていてずるいなと思うのです。
打首さんは自分たちをキャラクター化しておらず、どちらかというとキャラクターと共演しているコラボ状態がうまくいってるバンドになっているけれど、自らのキャラクター化に成功しているのは「ザ・リーサルウエポンズ」かなと思う。
どちらもMVありきで曲を発表することが多いけれど、打首さんのMVには本人たち出演がほとんどなく、出てきてもそこまで目立つ形ではない。
あのオノマトペのところ、しょぼフレーズばっかりだったら「やりたいことは分かるけど…」みたいな仕上がりになるのだけど、地味に技術が必要なんだよね。目で見ても楽しいだけじゃなくて、聴いてても良い。面白いことをするにはそれ相応の技術が必要。コミカルってとっても難しくて、技術がないとフザケているようにしか見えなくなっちゃって、文化祭の悪ノリになるので。だから本当の意味でコミックバンドってハードルが高いとわたしは昔から思っています。

定番のうまい棒回せのBGM。福岡らしいものは他に何があるだろう。福岡にちなんだ曲は他に何があるのかと考えたときに、おお、あれがあるじゃないかと、いうことで次は紫色の例のやつが出てくることになった。明太味のうまい棒だ。
これからスタッフが袋に入ったそれを配るので、この会場全部にいきわたるぐらいたくさん持ってきたから、袋を手に取って中身を取ったら、次の人に回していくようにと会長から指示がでる。
この会長の指示、いつも的確で素晴らしいなと思うのだけど、分からないで投げちゃう人がいないようにっていう心遣いにあふれてるよね。
普通は注意から入りがちなんだよね。投げないで、独り占めしないで、焦らないで、っていう感じで。
たしかにその注意点もちゃんと言うのだけど、「たくさん持ってきたのでちゃんと全員分ある」ということと、「袋を受け取って自分の分を1本取ったら他の人に回す」というところをしっかり伝えてくれるところがとても良い。
自分の分がないかもしれない、という不安から早く早くと焦る気持ちが出ちゃうのだから、大丈夫だよちゃんとあるよということを伝えて、さらには具体的にどういう方法で回せばいいのかというところを説明してくれる。地味なポイントなんだけど、相手の立場に立った伝え方が本当に上手だなっていつも思うのです。

ゆっくりやっていいんだ、これからビジネスの話をするからということで、今回のツアーグッズ紹介。この効率の良い流れ、いつも好き。
獄至十五ワンマンツアーだけのTシャツ、そしてタオル。話の趣旨は、ちゃんとツアー名を入れてしまったから、長くは売れないので今だけしか買えないから買ってねということだ。
わたしは今回このツアーは地元福岡しか行かないので、物販で買ってトイレで着替えて参戦した。ツアー初日と同じタイミングで通販で買えるようにしてくれていたので、わたしのようにうっかりしていなければ、欲しい人がちゃんと手に入れられる親切仕様である。
武道館の時に開演時間までに物販列を捌ききれなかった反省が生かされているのだなと思う。

新しいグッズで売れ行き好調なのが獄ポーチ。このポーチというものにいったい何を入れるのかがピンとこない様子の会長。おっさんたちにはどうも分からないけど売れています、と。マスキングテープに至っては、本来の「マスキング」に使うのに柄が入っていることの意味は…?ってなっちゃうの、ハンドメイドDIY野郎である会長らしい。そうなんだよね、塗装するときに塗りたくないところに張り付けてから塗料を吹きかけると、はがしたときが美しいんだよね。「わかるー、って顔をしている人が何人かいるぞ」と言っていたが、きっとうちの夫もそっち側だったと思う。類に漏れずおっさんですがな。
粘着力も弱いし何を貼るの?って発言にあす香さんがメモを貼るとか使い道あるよって。女子2人の意見を採用してグッズ化したらしい商品。
どれも可愛くて欲しいなーって思ってるけど荷物になるのが嫌で、わたしは今回の物販でまだ買ってないのであった。通販で買えばいいのだけど、つい物販で買えばいいかーと思ってしまって、結局荷物になるからって買わずじまいというところ、反省せねばなと思う。

そんな話をしているうちにみんなの手に明太味のうまい棒がいきわたった。後から家族に聞いたら、2階席にもビニール袋を持ったスタッフが現れて、フロアと同じようにうまい棒を回したそうだ。武道館の時はあらかじめ座席に置いてあったようだが、やっぱり一緒に回すほうがワクワクして楽しいよね。

そして始まる曲はもちろん【デリシャスティック】
さすがのワンマンライブはうまい棒を食べちゃおうとする人はいないし、みんなもう当たり前のように手に持って振っているけれど、光景としてはやっぱり面白い。フェスだとショートバージョンになってしまうときがあるけど、しっかり全部聴けるの嬉しいし、何より少し昔の曲はギターソロがあるから好きなんだ。

そして曲紹介なしで始まった【TABEMONONOURAMI】
やった!プリン大好き。うまい棒を必死でポッケに入れて、つぶれてしまわないよう落としてしまわないよう、獄パンのポッケのチャックを閉める。チャックが付いているの本当にありがたい。スマホとかお金とかを落とさないようにってのももちろんなのだけど、打首さんライブの場合はうまい棒を入れる必要があるので、本当に助かるんだ。今回は押しもあったけど比較的スペースに余裕がある瞬間もあって、手を下せないということがなかった。RSRの時だったかな、人が密集しすぎて手を下せなくてずっとうまい棒をポッケに仕舞えなかったので困った記憶がある。都会の満員電車をイメージしてもらうといいのだけど、あまりに人が多いと手のやり場がなくなるものだ。
プリンはヘドバンからの折り畳みになるので、強靭な首が必要だ。

【島国DNA】
始まるときにまぐろについて何か言ったと思ったら、スタッフがポンとフロアに投げたまぐろたん。イントロと同時にまぐろを抱えて出てくるスタッフの人が、少し誇らしげに見えるのは気のせいだろうか。
前すぎるとあんまり触る機会が訪れず、とても近くに飛んでくるのにまだ手が届かないということがよくある。そしてまぐろたんと一緒にダイバーが飛んでいた。withダイバーになっているのを見るのは珍しい気がした。

わたしは今回柵のすぐ近くにいたので、ゴロゴロ転がったダイバーさんたちがまたフロアに戻っていくために目の前を横切っていくということが何度もあった。
ステージをしっかり観ていようと思うのだが、ついダイバーさんの動向にも意識を向けてしまう。転がってきた人は元気そうなライブキッズたちで、男性が多かったけど女性もそれなりにいた。スタッフが抱えながら受け止めてから足を地面につけると、ステージ前のスペースをタッタッタッタと走り抜けていく。
ダイブの問題ってライブに子どもを連れてくるとか痴漢とかとともに、定期的に是非を問うようなツイートがあるが、わたしはダイブ容認派だ。そりゃ飛ぼうと思ってもない人を勝手に担ぎ上げて転がすようなことはダメだと思うし、明らかに人に怪我をさせるようなことは良くないと思うけど、ダイバーさんの見る景色を一度見てみたいなと思うことはある。
大好きな音楽が聴こえている中で、不安定な場所に身を置きながら、視界は天井なわけでしょ。いったいどんな風に見えるのだろう、どんな気分なんだろうとやり切った顔やニコニコと満足そうな表情で駆け抜けていく様を見ながら思うのだ。
足をバタつかせずに少し上げておかないといけないので、腹筋が必要だよね。やっぱり筋肉大事だよ。
まぐろたんのしっぽのところをすこーしだけ触ることができた。

【おどるポンポコリン】
まだ踊れるだろう?で始まるこの曲。前回熊本の時に張り切って踊りすぎて、心拍数を上げすぎて身の危険を感じた曲。
VJ映像が新しくなっていて、ちびまる子ちゃんのシルエットがずっとツーステップを綺麗に踊ってるのを見ているとわたしもちゃんと踊りたいーと思ってしまう。で、実際はツーステをうまく踊れないので、非常にたどたどしい出来栄えになってしまうが、広いところで踊れないのに人がぎゅうぎゅうになっているところで踊れるはずもなく…ぴょこぴょこと跳ねるだけになってしまう。
ちゃんと許可を取ってカバーしているのでシルエットにしなくてもいいのだろうけど、さすが長寿アニメだけあってシルエットだけでそれだと分かるのが素晴らしい。実は途中で一瞬だけ顔が出るんだけど、なんだか目が合った!という気分になって楽しい。ヘドバンポイントではしっかりヘドバンもできたし満足。

そしてそろそろ終盤。【日本の米は世界一】
時期はそれぞれだけど、あともう少しでその季節がやってくる。少し早いけれど日本の豊作を祈らせてください。
「Mステよりも大きな声を出せますかーーー!」という会長の煽りで、会場のボルテージが一気に上がったよね。
Mステ、観てない人はほとんどいなかっただろうと思うのだけど、あの時の観覧って本当に大人しかった。なんらかの大人の事情なんだってのは一目でわかったけど、ライブに慣れている民はあの映像にフラストレーション溜まりまくりだったと思う。会長もそれを知っているからこその煽りなわけで、やっぱりライブに足を運ぶ人達ってテレビでは観られないものを求めて来るものだから、そういうところをよくわかっているなと思ったのです。
米のVJ、Mステの時と同じく稲穂がくるくると動いていて、今までの米粒と米という文字が躍っていたモノトーンの映像よりも少し派手になっていた。今回のワンマンツアーからなのかな。
やっぱりライブで聴くと疾走感がすさまじい。音源とは違って聞こえる不思議な曲だ。この曲が演奏されるのはライブの終盤なのだが、代表曲だけあって演り慣れているし安定感がある。

そして本編ラストはこの曲。【カモン諭吉】
実は福沢諭吉の故郷ということで、大分で久しぶりに聴いていて、それでもやっぱりワンマンとなれば全然違うのだ。
もう最後だけどコール&レスポンスできますか。そう言われて、もちろんだともそのためにある曲じゃないかと思う。そしてあれは一体どんな方法で、とコールしながらも気が気じゃない。
2階の通路に目を向けるも、それらしきものはない。ZeppDVDの時は上の方からだったようなと思い、少し視線を動かそうとしたとき下手のわたしがいる場所から本当に近い場所に、キャノン砲のような黒い筒状のものが設置された。
スイッチが入り、演奏される音楽がどんな風に会場に届くのかを入念に確認して、極力雑音なるものを排除しているはずの空間に、ゴオオオというそれはもう似つかわしくない音が鳴り始めたのだ。
「ここか!?」と驚いてしまって目が離せなくなってしまった。大きな蓋つきの箱…いうなればRPGの宝箱のような箱とスタッフが1人スタンバイしてその瞬間を待っている。
まずは数字の小さい方から呼ばれていく。大分の時もコール&レスポンスをしたけれど、時間は短めだった。
ワンマンのこの尺がこの曲の真髄である。
んだばだんだばだんだばだというVJではなくてキャノン砲の横に待機しているスタッフさんの動きから目が離せない。
カモンカモンカモンの声に続いてコールをする。この場所に参加するために消えていったであろうお三方を、数字の小さい方から必死に呼ぶ。心の叫びだ。みんなの心が一つになる瞬間がたくさん訪れる。打首獄門同好会のライブは魂の叫びを共有する場である。
そしてその時が来た。真ん中のあたりでちょうど上にあがるようにセッティングされたキャノン砲の風に乗って、お札が舞い上がる。延長線上で舞い上がる札束。近すぎる場所にいるわたしたちにはダイレクトにぶち当たる。札が束になってかかってくる瞬間なんて、この場所以外どこで体験することがあるだろうか。
舞っ�� �札がひらひらとまた落ちてくる様子が箱の照明に照らされている。わたしは振り返りその様子を眺めた。張り付くように自身の体で受け止めた札束を手に取り、そうして視界に広がるその光景が一つの記憶を呼び覚ました。
武道館の高い天井、絶対に手が届くはずもない場所から静かに舞い落ちる札束、きらきらとしたその景色は本当に綺麗だった。あの時のことを忘れたことなどなかったはずなのに、思い出してもいなかったことに気が付いて、ゾクゾクとした思い出に気持ちが絡み取られる。

ライブステージとは結局のところ、俺たちの曲を聴けとばかりに開催されるものだと思う。しかし打首さんのライブは俺たちを見ろとは言わない。ステージ後ろに設置された大きなスクリーンが分かりやすくそう伝えている。ステージに表れるピンクの立体も、フロアに向かって放たれる札束も、箱全体がアトラクションのように見て感じて触って配って受け取って、色んな楽しみ方ができるようになっているのだ。
後から聞いた話だが、フロアに札束が舞うのと同じタイミングで、2階席にはポケットに札束を入れたスタッフが現れて「こちらをどうぞ」と手渡してくれたのだそうだ。どう頑張っても2階までは届かず、せっかく同じライブに参加したのに持って帰れるものが少ないというのは残念だからということで、そのように配慮してくれているのだろう。優しい、優しすぎる配慮だ。上から観ていた夫は、札束に群がる下々の者を眺めながら優雅にお札を手に入れるという、これまでもこれからも中々ないだろうという経験をしたと言っていた。たしかに舞い落ちる札束に我が我がと手を伸ばす人々を眺めながら、優雅に札を手に入れるとはなんとも表現しがたいものだったであろう。みんな欲しているのだ、まさにカモン諭吉である。

そうして本編終了。
わたしはステージに視線を戻し、握り締めた札束をポーチにノールックで仕舞うという不思議な行動を余儀なくされている空間が面白くて、思わず笑いが漏れてくる。
メンバーが袖に一度引っ込んでいくのを、名前を呼びながら眺め、そうして足元に散らばったお札をなるべく踏まないように気を配る。
ステージに誰もいなくなり、すぐに聞こえてきたのは「最初から」コールだ。
熊本と佐賀ではなかなか起きなかった打首さんのアンコール。何かを譲り合っているような少し不安な時間が今回はなく、あっという間にフロアは大きなコールで埋め尽くされた。
やっぱりわたしはこのコールが好きだ。楽しい時間をまた最初から味わいたい。アンコールとは帰らないでという意味だと思っているが、さらにもう少し踏み込んで願いを詰めた良いコールだと思っている。いったいいつくらいからの定番なのだろう。とてもフランクなのに賛美以外の何物でもない。打首さんの良さが本当によく表れていると思っている。

少し腰を落として足元のお札を拾い集め、後ろへと回す。前にはたくさん落ちているけれど、実は真ん中より後ろはあまりないのではないか。そう思って少しなりとも届けばという気持ちからだ。うまい棒のように回していけばいいのだが、やはり指示がないとそれは難しいようで、後ろに向かって投げている人がいたけれど、それだときっと届きにくかっただろう。

最初からコールにこたえて再びメンバーがステージへ戻ってきた。コールを引き取ってちょっとはにかんだ会長が最初からやると体力がもう、とかそういう伝え方で「ありがとう」と言ってくれる。
そして「もうちょっとだけやります」という言葉からアンコールステージの始まりだ。
夏の暗示をかけて「なつのうた」を演ったので、まだ暗示にかかっている人がいるかい?という言葉に、フロアからは「はーい」と手が上がり、「夏だよ」みたいな声もかかる。福岡はノリがいいなあと会長は言うが、きっとみんなそんな風にこちらに向かって話しかけてくれるのが嬉しいのだろうと思う。
お子様からの声が聞こえて、それに会長が少しだけ反応したのだけど「今癒しの声が聞こえて、(自分の声を)かぶせてしまったのが悔やまれる」って言っていて、可愛いなと思った。

夏から冬に戻ってくるその曲は【布団の中から出たくない】
この曲がバズってから打首さん周りが盛り上がってきたように思う。「あっさ目が覚める~♪」と一時そう歌っていたけれど、最近はまた「朝 目が覚める~♪」に代わっている。最近は寒かったり暖かかったり、でもそれに対してどちらでもイケるMCを用意しているところが素晴らしいと思う。
寒いー寒いー寒いーのあとの「さむ」で「いー」が聴こえてしまうところろまた良き。新しい人たちがフロアに増えているのはとっても良いことだとわたしは思っている。
今回も入場列に並んでいるときに、ライブハウスが初めてでスタンディングのライブに初めて来たのであろう人が同行者と話している会話を微笑ましく聞いてしまった。
佐賀の時に本当にスタンディングどころかライブハウス自体が初めてという方が、整列前にスタッフの方に、この番号で順番に入るんですか?って聞いていて、入ってからどうすればいいのかなどをお尋ねしている姿を見て、そんな右も左も分からない状況でライブのチケットを取って、ここに来るのはどれほどの勇気がいったことだろうと、本当に嬉しくなった。
熊本で体育くんを初めて見ると言った時に、体育くん好きのフォロワーさんから初めて体育くんのライブを観られるなんてうらやましいと言われた意味を本当の意味で実感した。初めてのライブが打首獄門同好会だなんて羨ましすぎるじゃないか。

そして最後の最後はやっぱりこの曲【フローネル】
風呂入ってソッコー寝る計画!をみんなで言うのが気持ちいい。最近打首さんのブログがヤプログのサービス終了によりアメブロに引っ越しになったけれど、このフローネルが生まれた瞬間ってたしかこのブログに書かれていたと思うんだ。(確認してないので記憶違いだったらすまん)
わたしは打首さんのアマチュア感漂う初期の頃を眺め見るのが大好きなんだけど、インディーズに対してのアンテナが高くないので、知ったころにはもうずいぶんと大きなバンドになっていたと思うんだ。
後追いで昔を知る、それが叶うのがインターネット黎明期に生まれて、ネットの発達とともに歩んできたバンドである打首さんの良さのひとつであると思っている。(黎明期がいつからというのは諸説あるけれど、わたしにとっては個人ホームぺージが身近になってきた2000年くらいのところからだということで)
Bメロのところが数少ないMCの全てを持っていく形で存在していて、今回はゲストがコヤス先生だったのでラップタイムとなっていた。フローネルはJunkoさんどうぞーの時間があるので、1番の時からアワアワしている様子で、スタッフのところに耳打ちしに行ったりする様子が目の前で繰り広げられていて、わたしもいったいどうするのだろうとドキドキしながら眺めていた。
慣れていないとラップって難しいよね。リズムと韻を踏むことに持っていかれるし、会長は器用なタイプだから難なくこなすけれど、Junkoさんの不安はそりゃあもう分かりやすいほどに伝わってきていた。

事故るよ、事故だよと言いながらなんとかリズムに乗って話そうとするんだけどうまくはいかなくて、それはそれで味が出て良いのだけど、演る方はそりゃあ困るよね。
コヤス先生が助け舟を出していくけれど、とにかく大変そうだった。さんざん泳がせた後に会長から助け舟が出たけれど「じゃあ俺の後に落ちを言って、テレビも無え、ラジオも無え」の続きが「マイクも無え」で大爆笑。「あす香ぶった切って、ぶった切って」って本当にテンパっていて可愛かったな。

曲が終わった後に「俺たちどこまで行ってもインディーズのノリなんだよね」というようなことを会長が言っていて、変わらない俺たちというアイデンティティを感じた。
変わらないということに良さを感じるということは、周囲の状況が変わっているということだ。変わらない価値は、周りに変化があるからこそ活きるのではないかとわたしは思う。
打首獄門同好会は本当に大きなバンドになっていて、たった2年ほどしか知らないわたしにとっても知名度の高まりを感じずにいられない。

Mステに出場しても、根幹にあるやりたかったことや大事にしていることは変わらない。目まぐるしく変わっていく日々の中で守り続けることと変化すること、そのバランスに翻弄されているのではないかと思うのだ。それでも15年というバンド生活の中で、多くを過ごした「売れない時代」において考え続けていたことや、感じたことを言語化してきたその日々が、今を支えている。だからわたしは打首さんが大好きなんだと思う。
Zeppワンマンツアーをやってのけ、さらには47都道府県ツアーもそのすべてがソールドアウトという偉業を成し遂げたとしても、きっと今年の梅雨将軍では小さくてゴメンねと言いながらもキャパ150の池袋Admでライブをやるのだろう。

演る側だけでなく観る側の気持ちも掬い取って、日々の活動の糧とする。言葉では簡単だがやってのけるにはしっかりとしたバックボーンが必要だ。

ラストのラスト、みんなで「せせりコール」と「つくねコール」で写真を撮った。えみだむ氏がまるでくのいちかのごとくカメラを操り、その瞬間を切り取っていく。
そして客出しのBGMでしかない「だらだらしたい」をワンコーラス歌い終えて、その日のライブはすべて終了した。

外に出るとすっかり冷えていて、海っぺたの潮風が容赦なく冷たい空気をこちらに届ける。拾い上げた札束を数えると、家族が手にした2枚を加えてちょうど59枚、獄であった。ミラクルを抱きしめて帰路につく。幸せは人それぞれ、楽しい時間は何物にも代えがたくそこにあった。