箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2019年6月29日 打首獄門同好会 獄至十五ツアー 大分DRUM Be-0

行くぞ大分、と数日前に福岡でライブを楽しんだ余韻を引きずり、仕事をしているようでしていなかったブランクを経て、わたしは1泊2日の荷物を持って最寄駅から電車へ乗った。

生れも育ちも九州な人たちは、九州内の移動に対してあまり構えていないという印象を受けるが、移り住んできた身とすれば福岡~大分へは旅である。

最寄駅から大分への行き方は二通りあって、一つは最寄駅から直通の特急に乗っていくという方法。そしてもう一つは新幹線で博多まで出てそこから特急に乗る方法だ。

本数を考えれば博多から出ている特急の方が多い。しかし乗り換えは面倒だし、距離もある。何より高い、ということで地元の駅から乗り換えゼロで行ける道を選択した。

 

 



驚くほどに山の中をひた走る特急列車。湯布院にたどり着いた時には「おお!」と謎の感動を覚えた。九州内なら車で行ってしまうことが多いので知らなかったが、これは思ったよりも近い。

九州屈指の温泉県である大分。いつかのんびりと湯の旅もいいななどと思いつつ、最近旅といえばライブ遠征なので、その機会が訪れるのはいつになる事やら。

 

先行物販は15時30分からだが、13時過ぎには大分駅にたどり着く。

遠征ルールに準じてお酒を片手に旅を楽しんでいたわたしは、目的地である大分駅に着いたとたん、会長のTwitterで見た『まるで温泉のようなトイレの入り口』からトイレに駆け込むこととなった。トイレ大事。

 

宿泊先のホテルは駅から歩いて10分ほど。何を思ったのかライブハウスとは反対方向に宿を取ってしまい、一度荷物を預けてしまえば、もう着替えに戻る事もできないという地味な遠さである。

仕方がないのでチェックイン前のホテルに荷物を預けて、狭いトイレでライブ用の洋服に着替えることにした。新しい獄パンは赤をチョイス。漂うプロレス感を気にせず、わたしは大分の街を歩いた。

これが都会ならば、誰がどんな格好をしていようと気に留め� ��人は少ない。東京は人を人だと思えば生きていけないくらいに人口が密集しており、田舎暮らしのわたしから見ると電車の中も街もとにかく無機質なのだ。

しかしここは大分。イベントが行われる機会も回数も限られており、獄至十五Tシャツはわりと目立ってしまっている。通行人がなんとなくチラッと視線をこちらに向けて、どういうことなんだろう?という疑問を心に抱く様子を感じながらもライブハウスまで歩いた。

 

大分DRUM Be-0。まだ独身の頃に一度だけ来たことがある。その時はたしか知り合いのバンドのイベントで、リハ終わりにみんなでとり天を食べたという記憶が残っている。ライブの記憶はあまり残っていないので箱の思い出もとり天の美味しさと共に飲みこんでしまったのだろう。

過去のことを思い出す時、息子の存在の有無を考えるとどのくらい昔なのかが分かりやすい。記憶はすぐに改ざんされてしまうことが多く、ちょっと前とか思っていてもうちの子は現在10歳という事実をもってすれば、軽く10年以上は前なのだから、一昔前だ。

 

その頃は大分Topsという名前のライブハウスだった。

今回47都道府県全ての県でツアーをやると打首さんから発表があった時に、九州ならあそことここと…といった風に簡単に箱の予想が出来てしまう。というかどの地方もツアバンが来る箱はだいたい決まっているものだ。東京や大阪のような大きな都市でもそうなのだろうか。知らない土地のことはよくわからないが、東京はライブハウスが山のようにあるというイメージです、はい。

 

とにかくTopsだなと勝手に思い込んでいて、場所をググると思っていたところとは全然違うやたらと大きな箱が出てきて驚いた。何が起きたのかは分からないが、とにかく旧Topsは現在Be-0というらしいということが分かった。

福岡、大分、長崎、熊本はDRUM系列で、佐賀はGEILS、鹿児島はキャパルボ、宮崎はよく知らないというわたしの中のラインナップである。ちなみにキャパルボは鹿児島に住んでいた頃によく前を通っていたが一度も行ったことがないライブハウスである。

 

さて、本日の箱の前に到着すると、物販の準備が行われていた。看板にも大きく本日のイベント名が書かれている。しかしあまりに人がおらず、そのわりにガッツリと全身フルに獄姿なのが少し恥ずかしくて、スルーしようかと思ったが、せっかくなので写真だけそっと撮らせてもらった。

ありがたいことにフォロワーさんとお会いすることに 成功して、お互い特に何かやる事もないので話しながら時間をつぶすことになった。

 

雨が降ったり止んだりというあまり良いとはいえない天候の中、時間をつぶすのは中々骨が折れる。フェスはダイレクトにそうだが、良天気に恵まれることは何よりもありがたいことなのだろう。まあ今日は雨だが仕方がない。

 

つい数日前に物販でしっかりと買い物をしたので、先行物販で買うものがなく今回は物販を見送った。オープンは17時30分。土日はオープンスタートが平日に比べて早い。

大箱の場合はもっと早い。Zeppなどは16時30分オープンだったりする。ちゃんとチェックしておかないとうっかり間違えてしまいそうだ。発券したチケットはいつも整理券番号ばかりに注視してしまうので、箱と日付、そしてオープンスタートについてはきちんと見ておくべきである。大事なことは全てお手元のチケットに書かれているのである。

わたしはあまりやったことがないのだけど、取り置きというシステム。20代の頃は知り合いのバンドのライブばかり行ってたので、メンバーに直接連絡をして、それでも入口で箱チケを受け取っていたものだ。それから数年間のライブブランクを経て、久々にそのシステムを活用したらチケットの部分が省略されるようになっていて驚いた。そうだよね、ひと手間省けるしね。
しかも今はあんまり箱チケットってないもん。手売りチケットってやつもほとんど買ったことがないけれど、あれもプレイガイドの見た目なの?
しかし現物がない取り置きシステムは、日にちとか時間とか場所とか色々間違えちゃいそうとか思ってしまう。チケットを忘れないというメリットはあるけれど、いざ行ってみたら取り置き連絡したはずなのに忘れられていた、という悲しみもあるとチラホラ聞く。チケットって手に入れようと思ったら、手数料たくさんかかって何だかえらい金額になる時あるので良いとは思うのだけど、個人的には半券を残しておきたい派だったりします。

わたしは� ��んなに数多く参戦するわけではないので覚えているけれど、たくさん行く人だとどこかに書き留めておかないと忘れちゃうような気がしてる。忘れちゃわなくても記憶がごちゃごちゃになりそうだなとそんな風に思った。

あ、でも看板を撮影して「本日はここ」ってツイートすればあとから辿れるのか。なるほどTwitterすごい。

 

そんなこんなで大分の整理券番号はなんと18番。初めての二桁に発券時からにんまり。これは最前を狙えてしまう番号ではないですか。前回の福岡では息子がいたので一番後ろで観ていたが、出来れば近くで観たいという気持ちもあり、だから大分は1人参戦することに決めたのだ。その番号が二桁なんて神様本当にありがとう。

打首さんを前で観たのは、Zeppダイバーシティと鹿児島のフェスだった。どちらも大きな会場だったので、近いけど遠い。今回はキャパ350の箱、それはもう近いのだ。対バンは『魔法少女になり隊』。以前も打首さんとの対バンで観たことがあったが、そんなに激しいイメージは無く、これなら最前でもきっと頑張れる、そう思っていた。

 

入場は10人ずつ。11番から19番の中にわたしは並んでいたのだが、わたしの前には3人ほどしかいなかったので、実質14番めくらいに入場することが出来た。

ドキドキしながら入場すると、最前の柵前はまだ空きがある。運よくフォロワーさんを見つけてその横に滑り込んだ。大分の方なので箱には慣れていて、色々お話を聞かせてもらった。激しめのライブも経験豊富な方だったので最前の圧やダイバーさんが発生したときの回避方法などをレクチャーしてもらう。

目の前にはましょ隊のセッティング。さあどうなるかと思いながらしばらく時を過ごし、そして始まった。

 

結果から言うと、ましょ隊のライブは激しかった。お客さんが。

え、ここで飛ぶ!?ええ、圧すご…と、とにかく目の前にスタッフが現れたら後ろからダイブしてきているから注意と教えてもらっていたのだが、� ��めて頭の上にダイバーが現れた時には間に合わず、柵で額を強打するという洗礼を受けた。

それから先は颯爽と現れるスタッフを見て、頭を下げるを繰り返し、少しずつ避けるのが上手くなっていったように思う。本来は運んであげなければならないのかもしれないが、それはもう少し色々上達してからで勘弁してほしい。スタッフが伸び上がってわたしたちの上を転がっていこうとする人を捕まえては下に降ろしてを繰り返していく中でライブが進んでいった。

 

途中、メガネを落としてしまった人がいたようで、転換中に「メガネ!」という声がかかって、みんながそれぞれ足元を見てメガネを探すという団体芸も行われた。無事見つかって拍手喝采という不思議な連帯感に包まれた空間はまたライブの楽しみ方の一つなのであろう。

 

上手奥に階段があり、そこから2階に上がっていくとドリンクカウンターが設置されていて、今回は打首さんを観に来ているちびっこたちがそこからステージを見下ろしていた。それがいい。ちびっこたちには危険すぎるぜ、と後ろ頭にガッツリ一発入れられたわたしは首を撫でながらそう思った。

 

 

福岡では転換の時めずらしく幕が引かれたのだが、今回は幕なしのセッティングで、普通にメンバーが出てきてセッティングを行っていた。近い…非常に近い。丸見えだ。

遮るものが何もない最前でのセッティングは、もうライブ中よりもガン見できる時間である。

どセンターではなく、ほんの少し下手寄りにいたのだが、目の前があす香さんだった。普段ドラムは頑張ってもなかなか見え辛いのだが、今日は本当によく見える。

セッティングを見るのが本当に大好きだ。ライブ=彼らの仕事であることは間違いないのだが、ライブ中とはまた違う「仕事してる!」という印象が強い。

VJのスクリーンをセットするところなど、もう何の時間なのかよく分からないのだが、それはそれで本当に面白いし、できることならずっと眺め�� �いたいものである。贅沢だ。

 

メンバーがはけ、スタッフも姿を消し、ステージに誰もいなくなった。まだBGMは流れている。

しかしもうあとは始まるのを待つばかりだ。

BGMが大きくなり、そして音が下がってSEが流れる。今日もバックドロップシンデレラの『池袋のマニア化を防がnight』。

 

メンバーが出てくる。会長は獄バスタオルを掲げて現れる。各々が楽器のそばに立ち、自らの愛機を手にしていく様を掛け声をかけながら視界に入れる。

そしてライブが始まった。

 

1曲目は【こどものねごと】

今回は「オッケー大分遊ぼうぜ」だ。音が鳴り始めた途端に後ろからの圧が強くなる。先日福岡で観た時と同じ、1曲目からみんな嬉しいみんな楽しいという始まり方は本当に良い。

 

しかしどうも見え辛い。これ照明が足りないんじゃないのかなーと思った。顔のあたりがすごく暗かったのだけど、前から当たる照明が点いていなかったのでは?と思っているのだが実際どうだったのだろう。

 

そして2曲目はパ…と思わせておいて【カモン諭吉】だった。

われらが福沢諭吉先生は大分出身。あと数年で他の人に変わってしまうという衝撃発表があったことに触れて、しっかりと呼びましょう「カモンカモンカモン」ということで、わーこれは久々聴いた。カモン諭吉は武道館以来じゃないかな。どこかのフェスの音出しで聴いたかな? 

大きい会場で札束を降らせるために本編ラストに持ってくることが多いこの曲。諭吉が降ってこないカモン諭吉、逆に貴重だと思う。

この曲の途中で会長のギター演奏がすこーしだけ怪しいところがあって、あ、へみってる!って思いながら見てたら、その時ちょうどあす香さんの方を向いて弾いていたんだけど、音だけ聴いたあす香さんが気づいて「ん?」て顔をしたのね。会長が「やばいよねー今俺やばいよねー」みたいな風に少し笑ってたのが可愛かった。

 

大分こそセトリも順 番も記憶の彼方に落っことしているので、もうどう足掻いても取り戻せない。印象だけでバラバラと語っていこうと思う。

何がすごいってとにかくダイバーの衝撃がすごくて、顔を上げていられない時間が多かった。セキュリティのために立ってたスタッフさんの隙間から必死に顔を上げて、何とか眺め見ていた感じだ。

しかしたしかに近い、だから一番これが見られて良かったと思ったのが、【Shake it up 'n' go 〜シャキッと!コーンのうた〜】

会長がひたすらにギターを弾いて弾いて弾きまくってくれるのだ。後ろではずっと可愛い絵柄になって「ティーティーティティロリロ」とかカタカナになっているのだけど、今日はもうそれに目もくれず、本物の姿を目に焼き付けるように見た。

わたしは手フェチなので楽器を操る指先が本当に好きなんだ。左手の小指が使っていないときは薬指と連動しているのだけど、弦を押さえるときはしっかりと仕事をしていて、あー良い、ものすごく良い、こんなに近くで見てもいいのだろうかと思いながらずっと見てしまった。多分ずっと見ていられると思う。

 

MCでは初めて大分に来た時の話をしていた。東京のバンドが大分に来る機会なんてそうそうないだろう。だから2014年って言ってたかな。2016年だったかな?どちらにせよつい最近じゃないか。

去年はヤバTのツアーで来ていて、たしか鹿児島のフェスの翌々日だった。鹿児島フェスに行くために仕事の休みを取ってしまったのでわたしは泣く泣く断念したのだけど、そもそもヤバTだけでもチケットが取りづらいところに、一般発売前に打首さんがゲストだという発表があって、あーこれはムリだーと思ったのだよ。

フォロワーさんに聞いたらどうやら当日券が出ていたらしく、並んでいた人はみんな当日券で入れたらしい。そうだったのか。

 

昔来た時はフェリーで荷物を運んだらしく、三半規管が強い会長がフェリー係になったそうで、ひとりで船に乗ったっていう話をしてくれた。大分は四国からフェリーで渡ることもできるという日本列島の不思議。

地方は機会も少なければ移動手段も限られているので、地方から地方という移動が難しい。どこに行くにも何らかの公共交通機関があるというわけでは無いので、難しいんだよ。

この日の翌日も宮崎でのライブだったけれど、大分から宮崎!?いったいどうやって移動するんだと。同じ九州内でも宮崎は陸の孤島と言われていて、何で行く にしても遠い。

 

今回はなぜか大分のホテルがとんでもなくリッチだったらしく、入口でホテルマンが待ち構えているような高級ホテルだったそうだ。
「お荷物お預かりいたします」った言われて「いやいやいやいや自分で持っていけます」った答えたっていう会長が可愛いぞ。
部屋に上がれば、1人ひと部屋なのにツインルームという贅沢さ。そんな話をするもんだから、どうしたんだ、LD&K!何があったんだ!とわたしも思った。
まあでも恐らくだけど、今の打首さんは会社の稼ぎ頭なのだろう。めきめきと知名度が上がってきていて、スタッフの数も増えている。わたしはまだ1年しか知らないからそこまで感じないけれど、数年前からのファンの人ならその違いは明確なんだろうなと思う。
ただ急に大分だけホテルがグレードアップする理由はわからないけれども。
 

【布団の中から出たくない】はイマジンオールザピーポーイマジンオールザピーポーと唱えながら、これ魔法じゃね?と。この日は基本的に魔法しばりがきいていた。
そういえば福岡で聴いたときもだけど観に行ったライブではしばらく「あっさ目が覚める♪」って歌っていたのに、変わっていた。「あさ目が覚める♪」って小さい「っ」は入れなくなったんだなーと思いながら聴く。

【はたらきたくない】のAメロの『あーあー』ってところ、低すぎて声が出ないからオクターブ上げて歌うことにしていたり、会長の歌メロへのこだわりはライブで丁寧に聴かせるではないところがギタリストだなあというイメージ。
だってきっと思ったよりライブで弾くのが大変だったからってギターフレーズを変えたりはしないと思うのだ。


これ聴けるんだ!!と思ったのは【HAMAMATSU】
ライブの数日前にテレビで浜松祭りの様子が放送されていて、わたしは見逃してるのだけど、その話題からとても分かりやすく丁寧に説明をしてくれた。公式からプレゼントされたという法被も着込んでさすが大使!「ちょっとやってみようか」� ��いう練習時間もあり、しかも風乃海くんが提灯を持ち、その手を掲げるとお祭りが始まるという合図付きだ。

例えばWODとかね、ある程度の暗黙の了解でいけるものならばちょいと曲中に手でヒョイヒョイと合図したり、簡単に伝えればできると思うんだ。
でも複雑だったり他にはないものだったり、ここでこうしてほしいみたいなものって、やっぱり丁寧に説明しないといけないと思うんだよね。
会長は非常に丁寧だし、説明が端的で聞きやすく分かりやすい。こういうところって地味なんだけどすごく大切だと思うのだ。

わたしはあんまり色んなライブに行かないので、初見のバンドを観る機会が多いのだか少ないのだか分からないのだけど、ここのコントロールが甘いライブはわりと辛い。
手を上げるのか振るのか叩くのか知らんけども、もう少し教えてくれないかと思うことあるもん。
やってもやらなくても良い場合は別にわたしがズレるだけなので全く問題ないが、時々本当にお客さんが一緒にやる前提で作られてる曲なんてのもあるじゃない。
そういう時は丁寧に説明してからにしてほしいし、見本となるべくフロントマンの皆様にはぜひやり続けててほしい。だってお手本それしかないぞ、ってなるのですよ。

ちなみに先日フォロワーさんとお話していて、フロアコントロールが抜群に上手いと話題になったのは四星球です。確かに。
まだ発表されていないけれど、四国の対バンは……という感じで気になる存在。

やっぱりステージに立つ人の人心掌握の力ってとっても大事。もちろんそれだけが全てではないけれど、大事な要素だと思うし、会長はその辺をきちんと押さえていると思うのです。
これってある程度は経験に基づいた訓練の賜物だと思うのだけど、一定以上になると結局はその人のパーソナリティーによるところが大きいかもしれない。

作品と人は別だというけれど、わたしにはやっぱりそうは思えなくて、作品がどれだけ良くても取り出す場所に人がいるのならば、やっ ぱりそこにある人と成りは大切だよな、と個性あふれる打首さんたちが織りなす音を聴き、目の前でライブを観ながら思うのです。

簡単に言うと、大好きですってことだな。うん。

【YES MAX】この曲はMVの衝撃が強くて、曲になかなか心が追いつかなかったのだけど、ライブで聴くとオーソドックスでかっこいい。

わたしは会長のギターを弾く姿が本当に好きだ。低すぎず高すぎないポジションがよく似合っている。めいっぱい贔屓しているので、少し高めだろうが低めだろうが肯定的なことしか言わないだろうと自分でも思っているが、好きな人のことは絶対的に贔屓したくなるものだから仕方ない。
低すぎればビジュアル系を思い浮かべてしまうし、高めのポジションはベテランフュージョンバンドのようだと思ってしまう。
どちらもだからどうだというわけではなく、○○みたいという注釈なく身体の一部かのようにギターを構えている姿をずっと眺めていたいと思う。
ちょんまげがまるで前髪かのように額のあたりで揺れるのを見ながら、後ろからの圧に負けないようにと必死に顔を上げた。

Junkoさんの聖水を浴びたのはどの曲だったかな。思い出せない。わたしの心のカメラは情報収集精度が著しく低く、後に再生するといつもぼやけている。

今回のデリシャスティックは納豆味を引き当てた。福岡ではめんたい一択であったが、大分は様々な味が袋に用意されていたので前回はスタッフの方々の仕事が1つ増えていたのだなと思った。ありがたいことだ。
古めの曲にはちゃんとギターソロがあるのだけど、このとき会長が前にきて弾いてくれて、もうそれって目の前なわけで、あんなに近くでギターを弾く会長を観るのなんて初めてだし、貴重すぎて本当に本当にカッコよくて死ぬかと思った。あの瞬間は時が止まったし、また寿命が縮まってしまったよ、ときめきで!!!


とにかく後ろからの圧がものすごくて、あともう少しで柵にめり込んで同化してしまいそうだった。最前でのこの出来事を考えたとき、わたしは満員電車で座っている人を思い出す。
最初は座れてていいなーと思っていたが、乗車率が上がるたびに目の前に立っていたこちらの体重が膝のあたりにエグいくらいにめ ちゃくちゃかかって気の毒なくらいだった。
最前も視界を遮ることなくステージを観るという良さがあれど、とにかく腹が押されて痛いのだ。わたしは自慢のお肉のおかげでまだマシな方だが、もしも華奢という毎年年始に掲げる目標を達成していて肉のない身体だったならばもう全身アザだらけになっていただろう。
しかしそんな危険を持しても、やっぱり前で観るというのは貴重な機会であることに変わりはない。だって息を飲むほど近いのだ。生音、生声が聴こえるのだ。それはもう生肉くらいどれだけでも差し出してしまうだろう。それは整理券番号次第であるし、そうそう何回も行けないのだから、チャンスはぜひとも手にしたいものだ。


【日本の米は世界一】今回も豊作を願う。さすがアンバサダーである。打首さんの肩書きが増えていくのが明後日の方向すぎていて面白い。
めちゃくちゃダイバーが発生していたのではないだろうか。わたしの頭の上をたくさんの人が乗り越えて行く。隣りのフォロワーさんが慣れない初心者のわたしをそのたびに守ってくれて、トゥクン…ってときめいたよね。ありがとうございました。


本編が終了してアンコールの声がかかる。「最初から!最初から」とオーソドックスなコールに会場が包まれる。

「最初から」のコールに答えてメンバーが再び現れた。
「最初からだと、また後ろにスクリーンを設置するところからになるよ」と、VJバンド仲間であるましょ隊とはその苦労を共有しやすいのだと言う。今日もまず箱に入ってどこにスクリーンを設置するのかということについて「あそこはどうか」「いや俺はあそこがいいと思う」といった感じで吟味するところから始めたと言っていた。


そして最後の曲は【フローネル】
福岡ではバクシンバージョンだったけれど今回はどうなるのかなと思っていたら、ネコはトイレで「魔法が使えたらな…魔法が使えたらバイト行かなくていいんじゃね? あれ、俺、魔法使えるんじゃね?」ってバイトが休みにな� ��魔法(だったかな?)という非常に地味な魔法を会得していた。
『仕事だと思って起きたのにそれは勘違いで、実は休みだった』って幸せを歌っているはずの2番が、最近はずいぶんと『はたらきたくない』に引っ張られていて面白い。いや、気持ちは分かる。

そして大分のJunkoさんどうぞーだが、Twitterでも呟いたけれど、抜群に面白かった。

初めて大分に来たときに地獄めぐりをしたってエピソードだけでも可愛いのに、その時にワニの地獄に行きたかったJunkoさんとあす香さん。
「本当はワニの地獄に行きたかったのね」って言ってて、ふむふむということは…って思いながらこちらも聞いていた。なんかステージの上からというよりもただの会話みたいな感じで話すから、ついそのつもりで聞いてしまう。

「バジルちゃんに聞いたんだけど…あ、バジルちゃんは喋れないからテレパシーで聞いたんだけど…」って言いながら、両手の人差し指を合わせてツンツンツンツンってやる仕草が可愛くてな。それがテレパシーなのだな…ってみんなが思っていたと思う。

そのカオスになりかけた空気を会長が引き取って「テレパシー?使えるの?もしかして魔法少女なのかな?」って言ったのね。だって今日は魔法しばりだったからね。フテネコも魔法少女になってバイト行かなくてもよくなったってくだりがあったからね。

そしたらJunkoさんが「魔法少女? いや、私は魔法少女じゃなくて…魔女だよ」って言った瞬間にあす香さんのドラムが入って曲に戻ったもんだからまあ大変。
Junkoさんの慌てふためいた動きが唐突に出てきたわりに驚きを表すのに的確すぎて、めちゃくちゃ良い動きだった。そりゃ会長も笑ってしまって歌えなくなるよ。
会場も大爆笑だった。スタッフさんが動画撮ってたけど、アップされなかったのが残念すぎる。

あれはあす香さんにどういう指示が出てるんだろう。良きところで入ってくれってふんわり感漂うものだったとしたらグッジョブすぎる。
Junkoさんのあのパートは恐 らく打ち合わせなしでやってると思うのだ。打ち合わせててあの行き当たりばったり感を出せるとしたら天才だもの。

特にカッチリやる必要がないパートであり、逆にカッチリやりすぎると良さが消えるようにも思う。MCを万遍なくやるタイプのバンドではないので、唯一のJunkoさんタイムとして設けているのだろう。わたしはライブでのMCタイムが大好きなのだけど、そこはそれバンドのカラーがあるものだ。
おしゃべりが苦手なメンバーの事情と、でも声が聞きたいと思っているお客さんの気持ちとのバランスを上手に取った巧いやり方だと思っている。

どうでもいいのだけど、ワニ地獄に行きたかったその話の続きは一体何だったんだ!途中で曲に戻ってしまったから結論を聞けないままだった。
これ多分、一生聞けないやつだ。気になるなあ…。

その話の続きは…というわたしの疑問はすくい取られることはなく、ライブが終了した。最後の最後ですっかり楽しくなっちゃって、打首さんのライブは、新品開封したマヨネーズとか歯磨き粉を使い切っても最後の最後まで絞り出すような、逃さないぜ的な楽しさがある。

約1時間という限られた時間の中で、どれだけ楽しめるのか。フェスも良いけれどやっぱりわたしはライブハウスでのライブが好きだ。
ドリンク引き換えの列に並び、階段で2階に上がって下を見下ろす。改めて見ると思ったよりも小さなステージと狭いフロア。ライブが終わってしまえばただ余韻だけを残して、ずいぶんと小ぢんまりとして見える。
大箱の時は逆なのだ。誰もいないフロアは広く見える。
しかしキャパ400程度の箱は、あんなに盛り上がっていたのか、このスペースで、と思ってしまうのだ。

ステージからはどんなふうに見えるのだろう。そんな事を考えたところで、わたしには確かめる機会はないのだけれど。


外に出ると雨が降ったり止んだりの相変わらずな天気。先行物販や入場の時はわりと厳しめだったスタッフの方(多分箱のお偉いさん。まぐろたん�� �泳がせてるときめっちゃ良い笑顔でフロアを見ていた)も、終演後は心持ち優しかった。

打首さんはお疲れのところ出てきてくれて、わたしは武道館のDVDにサインをいただけたのが本当に嬉しかった。
1年前、気まぐれにクラウドファンディングに参加したのが全てのきっかけだったから、その返礼品の現物にサインをもらえるなんて信じられないくらいの宝物だ。こっちは保存用にしてもう1枚買おうかな。



お土産付きの夜。わたしはまた大好きな夜を1つ数えた。


次は……RSR…だ!!