箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2020年5月29日 アシュラシンドロームENCOUNTERツアーファイナル 池袋Adm 無観客配信ライブ

新型コロナウイルスの影響をはっきりと認識したのは、打首さんのツアーファイナルが無観客ライブ配信となった2月29日のことだった。
気が付けば3か月も経過している。
それから様々なバンドが配信ライブを行っているのを知っている。無料から有料、ツイキャスYoutubeとやり方や形態は本当に色々だ。スタンダードというものがまだない。走り出したばかりの不完全さは順応性が試されているような気もちになる。

今回はまだアーカイブも残っているし(2020/5/30時点)、長々とした自分語りはライブと絡めてやっていこうと思う。

 


まず「Zaiko」。聞きなれないこのシステムにチケット購入の段階から一瞬戸惑った。しかしふたを開けてみればなんてことはない、映像も止まることなくTLを眺め見るに、画像も綺麗で音も良いとのこと。投げ銭システムはうまく使えた気がしないのだけど、ツイキャスのような分かりやすさの代わりに上からお茶が降ってくるような感じではない模様だ。
わたしはツイキャスでのライブ配信(生配信という意味ではなく「ライブ」の配信)を観たことがないので詳しくは知らないが、普段のツイキャスと同じなら、あのツールは投げ銭が邪魔である。

始まる30分も前から画面の前で待っていた。客入れがないライブは押すはずもなく、時間ぴったりに画面が切り替わり数分後には池袋Admのステージが現れた。
Youtubeスタジオと化したAdmの水色の幕にはひらがなでバンド名。さながら保育園のような仕上がりだ。
SEが流れる。一人ずつメンバーが出てくる。この久しぶりの感覚。最前列にいるかのような近さだ。

1曲目は【はじまりの唄】
こんかいの新譜を買ったときからきっとこの曲は1曲目に位置する曲なんだろうと思っていた。久々にステージを観て思ったのは、やっぱり亞一人くんがカッコいいなということ。
もうね、曲のなんたらとかはわたしの語彙力じゃ伝わらないからチケット買わなかった、観てなかったって人がいたとしたら今からでも大急ぎアーカイブを観てほしい。1,500円で何度も観ることができるのだ。5月31日までなので早く買った方が回数が観られる(視聴は6月1日までだ)わたしはすでに今日の時点で4回ほど観ているので1回あたり375円である、激安だ!

ENCOUNTER TOUR 2020 ツアーファイナルENCOUNTER TOUR 2020 ツアーファイナル / 2020.05.29 (金) / TOKYO, JAPANasura.zaiko.io 
よくある質問 | ZAIKOzaiko.io 

買い方が分からない人のためのQ&Aも貼り付けてみました。

今回はステージの上の亞一人くんがひたすらカッコよかったことについてただただ書くよ。セトリは最後に載せる。

ライブがなくなってツイキャスとかどこかの配信やらで生存確認的に姿は見ていたし声も聞いていたけれど、やっぱりステージの上は別物だなと思った。
10獄くらいいじられているときはね、もうそっち方面にスイッチ入っているからまたその姿も好きなんだけど、普通の配信だとスイッチが入っている時とそうじゃない時があるんだよね。でもそんなことよりやっぱりライブだよライブ。色んな意味でギャップがあっての魅力だなと思うのです。(積極的に褒めていくスタイル)

MCにもまだ戸惑いがある。そりゃ誰もいない場所に向かって話すのは不安だよねえ。反応って声だけじゃないからさ。うなづきとか笑顔とか、話し手を見てくれる聞き手の存在が全くないステージってライブパフォーマーにはないわけで。

ただわたしは無観客ライブ配信って、大きな箱より小さい箱の方が断然いいと思った。大きい会場だとやっぱり寂しいし、全体を映す引きの映像のときなんかは本当にガランとして見えるんじゃないかなと。もちろん映像を作る側もプロだからそんな風に見えないように撮るんだろうけど、どうしたってアップの映像も映像っぽさが出てしまう気がする。だって大きな会場でそんな近くで観られる機会なんてものはないわけだから。それっていわばライブDVDを観ているのと変わらないのだと思うのね。でも小さい箱だと、自分がその空間にいるという妄想ができるというか、精神的VRのような感覚が持ててしまうかもしれない。逆に言えば大きな会場ならそこに合わせた何かしらの工夫が必要なのかもしれない。あんまり大きな会場に行かないから分からないのだけど…。

亞一人くんってわりと客席を見ているタイプのフロントマンだと思っているのだけど、だからって普通はじっとどこかに目線を固定することはほぼないので、今回みたいにカメラ目線で歌ってる姿は貴重だと思う。
あのねえ…これねえ…破壊力高いよ。普段どんなに最前どセンターにいたとしても、目なんて合うわけないし、むしろ近すぎて見れないんだよ。そんでもってヘタすると足とかお腹のあたりとか、体の部位を凝視しにきましたみたいな視界になるわけ。
だから今まで観てきたライブと全然違うところだと思った。こっち見てる!!!(カメラを見てるだけ)
そりゃあ世の中のアイドルに夢中になる皆さんの気持ちもわかるってものだよ。

今回は気負っていないのか戸惑っているのか時折ニコニコしてるんだよね。わたしは殺す目の亞一人くんが一番好きなんだけど、目の前にいる人たちを何とか楽しませよう反応を引き出そうという部分を持ちづらいからか、少し肩の力が抜けていてニコニコしているゆるゆるな部分もいい。
お客さんに向かって殺す目をしてくるのも本当に大好きなんだけど、おそらくステージから見えるのは慣れ親しんだスタッフさんとかカメラマンさんたちだけという、そのザ・ホームな感じがいつものステージの良さも引き継ぎながら、また違うステージングになってたと思う。

【一目惚れ Love at first sight】は聴けて嬉しかった曲だ。ライブでは一度も聴いたことがなくて、1枚目のライブDVDには収録されているのだけど、あの時は赤飯くんがゲストボーカルで一緒に歌っていたから、オリジナルで聴いてみたかった。
この曲もだけど、【男が女を唄うとき】とか、しっとりめの曲の時に亞一人くんのボーカルにディレイ(リバーブ?エコー?)がかかってて、珍しいなと思った。Admでのアシュラライブを観たことがないのだけど、ここだといつもそうなのかな。わたしがいったことがあるところでは一度も聴いたことがない気がする。
多用すると気になるけど、基本的には好き。早口の曲が多いからなのかリバーブもあんまりないなって思う時があるから、そこはぜひ、しっとりさせてうっとりさせてくれよ。

【山の男は夢を見た】
入りのところで「ライブハウスにいようとお家の中にいようと関係ないのー」って言ったのがめちゃくちゃ可愛かった。何その語彙。初めて聞いたですよ。おそらく文字では伝わりづらいのですが、非常に可愛かった。

亞一人くんがカメラの向こうのわたしたちを「お茶の間のみなさん」と呼ぶのが可愛いなと思った。
テレビがお茶の間にあった世代で、映像をテレビで観るというのが染みついてる世代だよなと思うのだ。これから本当に配信ライブが主流になっていって、それで育った人たちがステージに立つようになったら、様々なデバイスで、色んな場所で映像を見るのが当たり前という感覚で話すだろうから、きっと「お茶の間のみなさん」とは言わないと思う。そんなところも含めて、新しいものを否応なく受け入れざるを得ない環境でもがいているこの状況が面白い。

渉さんが打ち上げでMステみたいに演ればいいって言っていたけれど、Mステもライブバンドの時はお客さん入れてるからなと思いつつ、打首さんがMステに出たときは観客はいたけれど、手も上げられない状態だったと聞いたし、それはそれで目の前にいるお客さんの様子がいつもと違いすぎるのは調子が狂うだろう。
とはいえテレビに出ている人たちはみんなカメラに向かってなんでもやってるんだよなと思うと、どこかで転換期というか、その人なりの馴染み方みたいなのが出てくるんだな、きっと。

わたしは配信ライブが好きじゃない。アシュラのことは大好きだしライブも大好きだ。だから次に配信ライブがあったらまたチケットを買って観る。それは絶対だ。
だけどまだ配信ライブというものに対して、今までわたしがいそいそと出かけて楽しんでいたライブステージの代わりになるとは言えない。
それは『圧倒的な観客不在』によるものだと思う。わたしが観たいステージの上の彼らの姿はある。なんなら普段のライブよりも近いしゆっくり観られるし、何回も繰り返し観ることができる。ありがたい、本当にありがたい。家で声を上げて、手を挙げて画面を見る側としても楽しいことはたくさんある。文明の利器の恩恵にあずかった素晴らしいシステムだと思う。
音楽を聴くことに対して不都合は何もない。しかし音楽を楽しむとして考えたときに、演る側と観る側がそれぞれ一方通行な気がしてしまうのだ。
良し悪しの話ではなく、単純に好き嫌いの話をしている。


CDが売れていた90年代、一部を除いて音楽の楽しみ方は画一的で確立されたビジネスモデルに沿った大きな枠で存在しており、その場合の楽しみ方は一方通行に存在していたように思う。それが「体験にお金を払う」という形が生まれて変わった。完璧に作られた物ではなく不完全な揺らぎや遊びが見える生の体験に価値が生まれたのだ。
そしてまた、そのモデルが崩れてゆく。バーチャルなものを「体験」とする感覚がわたしの中にまだ育っていないということもあるが、きっとこれから今のわたしが思いつきもしないような新しい何かが現れるのだと思う。
バンドブームにもフェスブームにも乗り遅れたわたしは、今ようやくリアルタイムでバーチャル配信へと移行していく音楽シーンを自分のこととして見ているのだ。

配信では獄ヘッドフォンが大活躍してくれた。アーカイブは先月ようやく届いた有線ピヤホンだ。我が家のテレビはAmazonfireStickがぶっ刺さっていて、音は5.1chの何らかをつないでいるので良い方だと思う。
こちらの準備次第でこだわって作ったであろう音をしっかりと受け取れるという意味では、配信は優れている。
わたしだってできれば良い音で聴きたい。そんなのは当たり前だ。しかしそう思いながら耳栓をしている矛盾がライブハウスの大好きなところでもある。

【ジャパニーズマン】
この曲いいよね。スタジオリハーサルの映像の時には、何度も入りを練習していたのが印象的だった。ここはギターソロが好き。今回の新譜に入っている曲はギターが印象的な曲が多い気がする。いつもイントロのギターリフが印象強いのだけど、今回はソロが多いような気がしたなー。ナガさんのギターはカッティングが一番好き。わたしが普段聴くバンドのギタリストってチャカチャカギターじゃなくて、ゾンゾンズグズグギターだから、ナガさんだけなんだよね。裏打ちのドラムも好きだからそういう曲がアシュラの曲の良さだとわたしは思ってる。

今回はえみだむ氏がフロアでカメラを回していたと思うのだけど、やっぱりえみだむ氏が撮影するアシュラが一番カッコいいと思う。カメラワークがとても良かった。上手側からの映像がとても好き。目の前で観たときはカメラワークもアングルも何もなく、中途半端な画になるのだけど、その雑味がなくてカッコよさがが濃縮するんだよね。ここも配信の良さ。

実際の撮影裏側を渉さんがツイートしてくれていた。えみだむ氏はやはり上手側のカメラだった模様。上手からの画が抜群に良いのです。

【月はメランコリックに揺れ】
この曲が一番近いようで遠い気持ちになったかな。カッコいいからこそ尚更。この曲は本当に「あーいえー」の曲だもん。コール&レスポンスはどうなってしまうのだろうと、「あーいえー」とツイートしながら思った。文字のコミュニケーションが動画コミュニケーションになっただなんて言われていたり、音声入力技術がどんどん発達しているのに、たったワンフレーズ「あーいえー」を届けることができないなんてという寂しさを感じたりもした。
ステージの声は届いてる。でもわたしたちの声は届いているのかい?とそう思う。声だけではなくフロアの熱や圧が届くのがライブステージの最大の良さだ。

【Daring Darling】
前回のライブDVDを見すぎたせいか、この曲に入る前のイントロダクションのメロディを覚えてしまった。亞一人くんがステージの境界線を越えてフロアにぐっと近づくこの曲。近い近い。本当はもっと近いというか、フロアにいる人たちがぐぐぐーっと圧の中に入っていく曲。音源で聴いたときと、ライブで聴くときにこんなに印象の違う曲ってないと思う。ちなみにわたしの目覚ましに使っているから我が家では目覚ましソングと呼ばれている。

【ENCOUNTER】
この曲、めちゃくちゃいいよね。アシュラの曲って今まで歌詞について言及したことがないんだけど、この曲は歌詞もいい。「アディオス」ってスペイン語で「さようなら」という意味なんだけど、バイバイ的な軽いノリじゃなくて、「今生の別れ」みたいなさようならなんだよね。
それなのに「100年後にまた会えりゃ 昨日の続きをさ 歌うのも悪くなさそうだろ」って歌ってくれるこの曲が好きだよ。
MVも本当に好きで、三半規管が鬼強いわたしは何回観ても平気だったから、本当にリピートリピートした。大好きすぎるから絶対に生で聴きたい曲だよ。

 


今回は、ちょっとやばい瞬間があって、本当にやばくて、最初に観たときはぶっ倒れるかと思った。アーカイブを見ながら必死にスクショしたのを貼っておくけれど、動画の方が一億倍やばいからぜひ動画で観てほしいところ。一瞬なんだけどね。(※アーカイブが終わったのでスクショ削除しました)

スクショ下手なもんで何回やっても上手く撮れなかったのでほんと動画で観てほしいのだけど、近い近いと騒いでいた気持ちがわかってくれると嬉しい。
そして本当にヤバイのはこの後なんだ。おいでおいでの後に手をかけるのあかんよ…(呼んでいるのはカメラであり、その後手をかけたのはカメラである)

 

ラストは【Over the Sun】
ラストのラストでこれはずるい。もうこの頃になると戸惑ってる感がすっかりなくなって、もうこのままあと1時間くらいやれそうなくらいノッてきていた。
わたしはやっぱりこの曲を聴くと去年のRSRを思い出すし、今年は我が家の都合でいけなかったかもしれないけれど、中止のお知らせをきいたときは悲しかった。
推しは推せるときに推せだとか、行きたいと思ったら行けるときに行けだったり、何もない時はお金を使う言い訳でしかないこの言葉たちが重くのしかかる。きっと真実で正しいのだ。
わたしたちが手を叩く箇所で、亞一人くんが自分の胸を叩く。わたしはこのどこか衝動的に見える動きが好きだ。ハンドクラップはマイクを持っていると難しいのだ。ボフボフって音を拾ってしまうから。(何度もやってたけど)
オーオーオオーオのところでマイクを上に向けて、ラストの方では「声が聞こえてきた気がする」って言っていた。

 

ライブが終わる。時間が押すと配信の時間は決まっているから問答無用で切れてしまうらしい。ラスト6分で6分の曲を演るといって最後にこの曲を届けてくれて、そして残り30秒というぎりぎりで配信が終わった。

また大勢の人たちの前で演るのはいつになるのかは分からない、MCの中でそんな言葉があった。ライブが解禁されるのは果たしていつのことになるのだろうか。
ソーシャルディスタンスを保ってなんて無理なのだ。人と人が一定の距離を保てないのがライブなのだと思う。知らない人とも音を通じて近づいてしまうのがライブなのだと思うのだ。

それでも紙のチケットがデジタルチケットに移行したように、PVがMVに変わったように、少しずつ変わっていくものもあるのだろう。導入されてすぐは違和感を覚えていても、いつの間にかそれがスタンダードになる。
今はどういう形が良いのかを必死に探っているところだ。毎年秋になればパーカーを受注生産で売り出しているバンドマンたちの姿を微笑ましく眺めながら財布を緩めるのと同じように、何らかの形で根付いていくのだと思う。

今回、わたしが確認した時点で400人以上の人がライブ配信を視聴していた。配信の良さはここにもある。場所や時間や事情にかかわらず楽しめるというところ。
地方に住まうわたしはどこでもドアの早期実用化を熱望しているが、あんなドアを使って自分の体を物理的に移動させるという発想こそ、未来的ではなかったのかもしれない。
きっとこうした技術の進歩こそがどこでもドアなのであり、本物のどこでもドアはドアの形などしていないのだろう。
それでも、どれほど便利であったとしても、やっぱりいつかきっとライブハウスでと願わずにはいられない。


【5月29日(池袋Adm) セットリスト】
はじまりの唄
絶対彼氏以上
男が女を唄うとき
Someday Somebody
一目惚れLove at first sight
TM NEET WORK
山の男は夢を見た
ALIVE
FinalFight
ロールプレイング現実
Starlight Blues
中野新橋ラプソディー
ジャパニーズ
月はメランコリックに揺れ
Daring Darling
ENCOUNTER
Over the Sun

自分ではメモっておらずTLの中から拝借してしまった。(ありがとうございます)
どうでもいいのだけど、自分の感想文で場所を「池袋Adm」って書く日が来るとは思わなかった。いつか一度は行ってみたいライブハウスの一つ。

 

ENCOUNTER TOUR 2020 ツアーファイナルENCOUNTER TOUR 2020 ツアーファイナル / 2020.05.29 (金) / TOKYO, JAPANasura.zaiko.io 

そしてなんとこのライブは、まだ観られるのです!(チケット購入は5/31 23:59まで)

アーカイブ配信終了(6/1 23:00)