箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2019年3月30日 アシュラシンドローム 札幌BESSIE HALLワンマン

冬に吐く息は白く、冷えた空気はピリリと固く尖っている。
交差点の角に集められた雪は土混じりで、踏みしめるとジャリっと氷の音がした。

小さなライブハウス。
すすきのの派手なネオンに背を向けて、あの有名な看板の下を通り抜けてから、路面電車を横切ってしばらく歩くと今日の箱『ベッシーホール』に到着した。
先行物販の時間を少しすぎていて、すでに人の列が地下から地上へと伸びている。
わたしも並んでみたがどうやら思ったより人が集まったのか、オープンに間に合わなくなりそうだったようで、残念ながら買えないまま列は解散となった。

 

チケットを片手に今度は入場列を作る。紙チケ派のわたしだったが今回は何を間違えたのかスマチケで取ってしまって、誤造作に怯えながら画面を開いたスマホを握りしめていた。

どこの段階まで自分でやるのか分からなかったが、取りあえず自分の番がきて画面を見せると慣れた手付きで手続きを完了させてくれた。

わたしのスマホをすいすいと操って入場特典のディスクを手渡してくれたその男、岩井。RSRの運営会社勤務のイベンターであり、何より亞一人くんのマイメン岩井。今日はいるだろうなと思ってはいたが、まさかそんな普通に仕事をしているとは思っていなかった。本日の画面の中から出てきたでしょうNo.1は間違いなく彼だろうと思う。

思ったよりイケメンというか『モテそうオーラ』が漂っていて、息子に「マイメンだよ!マイメン岩井がいたよ!!」と興奮気味に伝えてしまった。

わたしはZepp札幌のときの、『支えてくれたマイメン岩井 ARIGATO』のくだりで、その後ステージ上にてドラムを叩くことで頭がいっぱいの、緊張していますな表情が大好きです。

岩井氏の話はこのくらいにして…。
入場してすぐ、物販にてラババンとだむくじ、タオルを買った。
タオルは新しいものだからということもあるが、普通に家から持って来たものをホテルの部屋に忘れてきたのだ。

そしてクロークの列に並ぶ。並んでばっかりだ。フロアは2段階下になっていて、入口からまずは物販がある階に降り立って、更にその下なのである。
思ったよりも人が多い。そりゃそうだ。ソールドアウトなんだもん。キャパにちょうどよい数の人が来るのだから余計な隙間などあまりないのだ。
うっかりしていた。

取りあえず軽装になってから、前の方を目指してみる。

2列目あたりは知った顔も多く、この辺の端なら息子も大丈夫かな?と思いつつ、やはり最前以外だと彼の身長では前がよく見えないのと、周りの人たちが気を使ってしまったら楽しめないのではないかと思って、残念だが後ろまで下がった。
わたしはよく息子とライブに行くのだが、どこで観るのかという判断は誤れないなと思うのだ。
ライブ中の怪我は1番避けなければならないものであり、もちろん自分のためでも息子のためでもあるのだけど、何よりせっかくのツアー初日、故郷凱旋ワンマンライブという華々しい日を邪魔するわけにはいかない。

1番後ろの階段に立ち、ステージを見下ろす。
キャパ250の箱は小さくて、ここからだってよく見える。

そして見つけてしまった、レアな人物。ものすごく近くに立っている長身の年配の男性はよく見るとJP青木氏ではないか。
去年の8月の渋谷でのワンマンライブの時は、わたしはずっと前の方にいたのでそのお姿を見ることはなかったが、亞一人くんのスタイルは絶対にお父さんのDNAなんだろうと思わせる、スラッとしているのにガタイの良い立ち姿だった。

BGMが小さくなり、客電が落ちる。バタバタと位置取りをしていたので時間を確認してなかったが、恐らく少し押していたと思う。暗くなると同時にSEが流れる。

パルプフィクションではなく、一昨年のワンマンライブDVDの時のSEと同じだ。

てっきりなんらかのゲームのピコピコサウンドか、新しいアルバムの5曲目のインストか何かで登場すると思っていたので、少し驚いた。
ほら、これまでのSEがパルプフィクションなのは『男が女を唄うとき』のギターがあのテーマ曲をオマージュしてるからなわけで、だから新しいアルバムツアーに合わせて変えるのかなと。
しかし少し古いものを使うということは、前に進む新しいものと、原点となるこれまでのものとをミックスしていくのだろうか。

そして1曲目は【ロールプレイング現実】

まさかの1曲目に!?と思ったけど、MV解禁から10日ほどの新鮮さは勢いが良いほうがきっといい。
この日のために息子とダンスを練習した。わりと踊れるようになったつもりだったが、やっぱり本番ではなかなかうまくいかない。

いわゆる『恋ダンス』などに比べれば簡単な部類だったが、それでも難しいのだ。
でも飛ぶだけでもみんなでやれると最高だなって思った。

まだまだ初めましてに近いこの曲は、フロアにも少しだけ戸惑いが滲んでいた。
わたしは「戦え!」(何を!?)「人生を!」のコール初体験。元ネタである筋少ライブでは聴いたことがなくて、初めてのこのコールがアシュラでなんて、感慨深いというか、すごく不思議な気分である。

筋少では曲の頭と、ソロに入る前に長くコールしあうところがあるのだけど、この曲の場合はBメロのワンフレーズなので、それもまた違いとして面白い。けど少々頭が混乱する、かな。楽しかったから良いけど。

ど頭で新曲は受け取る方もエンジンをかけるのに少し時間を頂きたいと思うのかもしれない。わたしはMV解禁からものすごく聴いたほうなのだけど、1曲目に新曲って不安だろうなと思うし、こちらも慣れてなくてまごまごしちゃうけど、でも嬉しいよね。
しかし片手を上げてピョンピョン飛ぶ亞一人くんの可愛さよ。MVと同じく斜めになってたよね。

そしていつものライブの煽りが入って、ハーイハーイハイハイハイからの2曲目は【男が女を唄うとき】

この曲、いつも前にいたから聴こえてなかったのか、それともこの箱が良かったのかどちらなのかはわからないが、歌いだしのところのリバーブがきいていて歌声か気持ち良かった。

思わず作詞者であるJP青木氏を眺めてしまう。なぜかライブが始まってからサングラスを装着されており、まあでもわたしは後ろにいるのでどのみち表情は見えない。

息子が自分の作った歌詞に曲をつけてステージの上で歌っているというのはどういう心情なのだろう。
わたしにも息子がいるが、この状況は特殊すぎて想像がつかない。

この曲の最近の楽しみは、最後のサビのベースフレーズ。「あなたの幸せ祈っているわ」の後にくるナオキさんが美しいフレーズを奏でているところを聴くのがお楽しみなのだ。
音源の方には無い(と思う)のだけど、渋谷のワンマンライブDVDでは聴けるので、ぜひ聴いてみてもらいたい。

後ろは本当に良く見えるし、階段にいたから全体を観るのにはちょうどよい広さなんだと思うけれど、ジャンプすると落ちそうになる不安ハンパなかった。
それと周りの方との温度差が少し申し訳なくて。

ライブの楽しみ方って人それぞれだから、中央あたりでモッシュなんかをして楽しみたい人もいれば、そこまでいかなくても手を上げたりヘドバンしたりコール&レスポンスしたりを楽しみたかったりの人もいて、本当に色々だと思う。だから後ろで観ている人はゆっくりじっくり聴きたいって人たちも多いと思うのだ。

わたしは、モッシュなどは所によりだけど、手を上げたりコールなんかは積極的にしたいのでフロアの棲み分けってお互いに大事だなと思うわけです。

そして後ろでアシュラのライブを観るのが初めてだったので、1番違和感を覚えたのが「顔が見えない」だった。

これは結局我慢できなくてアンコールの時にフロアに降りて気がついたのだけど、わたしはステージの亞一人くんの表情を見るのがとても好きだということ。

歌声は聴こえる。演奏もきっと前列で聴くよりもバランスが良い。
でも、見えている景色は断片的でも、今この瞬間、ステージ上の自分が唯一絶対的な存在だって顔をして歌う表情を見上げているのがたまらなく好きなんだとそう思った。

 

【DxSxTxM】

ナオキさんのベースフレーズから始まるこの曲は少しレトロな曲調というか、わたしは本当に大好きなんだよな。歌詞が古めかしいところも曲の雰囲気に合っていて好き。ライブでは早口に言葉が続いてからの『息が続かない』って歌詞のところが好きで、飛べる?って聞かれる前に飛び跳ねながら耳を澄ませている。

 

絶対彼氏以上】

新曲からの始まった流れも、安定コースへ。

いつも同じセットリストだけど、だからこそ本当に安定していて安心して見られるという発見。
すでに語彙を消失しつつあるけれど、この曲は普段のセトリにはほぼ入っていて、でも日によって2曲目だったり、ラストだったり色々だ。盛り上がる定番曲というところなんだと思う。イントロの勢いが良いし、裏打ち気持ち良いし、チャカチャカギターもすごく楽しい。

ナガさんは今回のアルバムでは色んなフレーズを弾いているけど、チャカチャカカッティングフレーズが聴いていてわたしは1番しっくりくる。
前回聴き逃していた『お願い道しるべをちょうだい』の歌詞もしっかり聴けたので満足。
ラストにかけて曲調が変わるので、盛りだくさんな曲だなっていつも思う。

 

中野新橋ラプソディー】

亞一人くんの大好きな場所。
はじめた事をやめたくないってタイプの人がいるのだけど、多分そうなんだと思う。
人間関係も、仕事も、そして生活の場も。
その居心地の良さはその人の生き方と人柄でしかなくて、中野新橋を語るMCではちょっと(ちょっとじゃないのかな?)泣いてたね。

札幌出身の亞一人くんは今日のワンマンには特別な思い入れもあるのだろう。この地に帰ってくるまで9年かかったとそう言った。

MCの記憶が曖昧なので、どこで何を語ってくれたのかはバラバラになってしまうけれど、亞一人くんが札幌の話をステージの上でするたびに、故郷ってなんだろうといつも思う。生まれ育った町を出る。友達がいて、家族がいて、記憶と想い出が溢れる大好きな町を離れることを決める。

わたしも20年近く前に地元を離れた身なのだけれど、やはりそれは春だった。
学校でもなく就職でもなく、地元を離れるのは、後押しする確固たる理由がないということだ。それはやはり心細いものなのだろう。

この日は3月最後の土曜日で、2日後にはただ月が変わるだけなのに1年のうち一番環境の変化が訪れる。

「こんな年度末にやりやがって、って思ってる人」とナガさんに言われてチラホラとフロアから手が上がる。学生さんもわたしのような社会人も、ライブハウスは日常の場所ではなく、今日という日にこの地に降り立つには様々な調整が必要だったはずである。

新しい場所に向かっていくのに今日という日を選んだんだと。今まで居心地のよい場所で温かい空間でただ楽しくライブをやるだけの道で満足することもできるけれど、少し上を目指していこうと、そんな意味が込められたライブに参加出来たことを嬉しく思う。

とにかくこの日のライブはすっかり泣き虫亞一人くんで、感動屋さんだなあと思いながら眺めていた。

ほらZeppの時くらい泣いてくれたら離れていてもすぐわかるのだけど、さすがにあんな人生最上級の号泣はそうそうお目にかかれるものでもなくて、でも本当にすぐ泣いちゃうんだなと。ちょっと距離があったのでよく見えなかったけど、あとから前の方にいた人たちに聞いたら、ポロポロポロって涙出てたと言っていた。

ステージの上での俺が世界一ってなっている顔を見るのが好きってさっき書いたけれど、実はこの感動屋さんですぐ泣いちゃうところはそこと相反する部分ではなく、どちらも自分に対して自信があるからだと思っている。

普通に考えてステージの上にいる人が泣いちゃったら客席は不安になってざわついたりするものだけど、亞一人くんの場合はよくある事だし、むしろ期待されてるところもあるよね。
フロアは声かけも含め、視線も全部、みんな優しかった。

そしてこの曲。音源ではどこかが惜しいと思っていて、好きな感じの曲調だけど少し不安だった曲。
生演奏で聴くと、ど頭のフレーズがめちゃくちゃカッコよかった。
あーこういう曲ものすごく好きって思ったもん。

亞一人くんの声には艶があるから、こういう歌が似合うし、ナガさんのギターもこういうの得意だよねって思うし、ナオキさんのスラップのサムだって光ってる。一真さんのドラムも入りのところが大好きなパターンだし、全体的に好きなタイプの曲なんだけど、もっと落ち着きがあるのに疾走感があるって方が個人的に好みかなって。

ちょっぴり詰め込みすぎてる気がするのと、なんだかとっても慌ただしくなってる箇所があってそこだけが気になる。

特にそこで亞一人くんが手を叩けって指示を出したときに、この曲はこの曲は、わたしは4の裏でリズムに乗りたいって思ってしまった。

Aメロでぐっと落ち着くのに、あの一瞬を8でクラップしてしまうと、切り替えが難しいというか、焦ってしまうんだよね。

音楽的な知識もないので専門的なことはよくわからないけれど、1番のサビ終わりで『ン、チャッチャッチャッ』ってリズムが入るのだけど、そこで一緒に手を叩きたいなって思ったら全体的に4だと思うのだ。

後ろで8のリズムでドラムの音が鳴っていると難しいのだけど、できれば亞一人くんにそのリズムを先導してほしいなって。

セルフライナーノーツではシャッフルで歌うのが難しかったって言っていたけれど、やっぱりこういうタイプの曲はどっしりと構えた演奏でノリが出るのがカッコいいと思う。

うん、全部素人の個人的な意見なので、自分でも書いてて意味が通じているものなのかよく分かっていない。
色んなものが詰め込まれてるほうが勢いがあるのだけど、サビが盛り上がるので、そこまではぐっと堪えてモタらないリズムでノリを出したらきっともっとカッコよくなる曲だなって。

いやほんと、色々書いたけどなんか間違ってたら申し訳ない。知識がないものを文章にするのってとっても難しいです。

 

【DORORO】

たかしとマチコが気になるこの曲はトレーラーのときはそこまで気にしていたわけではなかったのに、フルで聴いたら、あ、これ好きだわってなった曲。

アシュラが作るこのテイストの曲!すごく好き。

ひゅるるーんるんるんって歌詞も絶妙だと思う。

へへへへ、って悪い声で笑うナガさんがいて、ここはナガさんパートだったかと思ったり。「おやんなさい」って言葉の選び方が好き。

あと、ヘドバンポイントがある曲なので、亞一人くんがステージから手を上げて振り下ろす動作で、お前ら頭振れよみたいな煽りをするのだけど、このドSな動きがとても良い。髪の毛掴まれて振り回されるイメージ。わたしにM属性はないのだけど、亞一人くんにはオラオラなステージングが似合うと思うんだ。

 

「これからツアーで色んなところを回るけどここ札幌が1番盛り上がってたって言いたいわけ」という言葉から始まったのは【山の男は夢を見た】

両手で頭の上に山を作って待機する。

「俺の好きな山を発表します」からの「藻岩山(もいわやま)」。観光メインではなくライブメインでやってきた南の民は、藻岩山なるものを知らなくて、あとから調べたら宿泊地であるすすきのからちょっとの距離で行ける山だったようで、知ってたら前日の夜にでも行ったのになーと残念に思う。

頭の上に山を作って、にょきにょきと。サビではいつものように手を当てて左右に振って、ああ楽しい。

最後列よりさらに後ろの階段に陣取っている人たちも、少しずつ手を振っていたのでその盛り上がりに嬉しさを覚えた。

そしてフロアを大きく左右に分けた、これは!8月のワンマンの日に生まれたあれではないか!!と思っていたら、案の定「頂of death」という言葉と共に、期待感を高めたフロアが今か今かとその時を待つ。

あの時みたいに真ん中に君臨するのかと思いきや、フロアがぶつかり合うのを高みの見物と決め込んだ。後ろから見ていたけれど、そりゃあもう盛り上がっていて、あーわたしも混ざりたい、と普段はあまりモッシュとかダイブなどの盛り上がりゾーンを避けがちなわたしもウズウズしてしまったよ。

 

「最近好きになってきてくれる人たちだけじゃなくて、昔から応援してくれる人たちにも感謝の気持ちを伝えたい」

このMCは既視感がある。

わたしはアシュラ歴が短いので、「最近」の人なのだけど、昔からの人たちだって今日はきっとたくさん来ているのだろう。
メンバーが様変わりしても、その変化を楽しめるような、そんな立場にいる人たちを羨ましく思うようなMC。
時間は逆戻りしない。不可逆的な時の流れの中で、味わえない喜びは特別な意味を持ってそこにある。

 

【Devil hand=Tornead(竜巻)】

その勢いのまま回れるのかって、フロアはすっかり出来上がってるのでもう湯気が出てそうな勢いで盛り上がっていた。サークルモッシュの準備は万端。みんな今か今かと鼻息荒い牛のようにその瞬間を待っている。

JPの歌詞は謎に包まれていて、理解は難しいけれどその歌詞をのせる曲の作り方がうまいと思うんだ。お父さんが歌詞を書いて送ってくるって本当に面白すぎるんだけど、メロディが上手くいかないと滑っちゃうもんね。

近くにいるJPに視線を送って。今思ったけどわたしがJPだと思っていた人が別人だったらもうこの世に信じられるものなんてなにもないから、あれは絶対にJPだったと信じるしかない。

 

【Whiskey Coke Brandy Strike!!】

わたしは最近のファンなので、この曲は再録からしか知らないけれど、古いバージョンより新しい方が好き。

メンバーが入れ替わるというのはバンドではよくある事だけど、昔の曲を現メンバーで再アレンジって歴史を感じるし、古いファンも新しいファンも色んな想いが交錯するので、それだけでなんかわーーーって抱えきれない何かを感じてしまう。

音楽というのは記憶と紐付いていることが多いので、ただ聴かせてもらうだけのわたしのような立場であっても感ずるものがあるのに、実際に音源化した過去と現在がどのような折り合いになって存在するのか、想像するだけで何だかもう言葉には出来ないものがあるなと思うわけです。

 

【BabyDeadStar】

わたしこの曲すごく好き。一昨年のワンマンで演奏されていて、その後音源を聴いて、ライブで聴きたかったけれど去年のセトリには入っておらずで、ライブで聴くのは初めてだった。この曲めっちゃカッコよくて、イントロが流れた瞬間に「うわーーー」って鳥肌が立った。ずっと聴けなかった曲を聴く事が出来るワンマンって最高だよ。今回はサポートで鍵盤が入っていたので、どの曲も普通の音源よりもメロディアスになっていて、そこがアシュラの曲の良さをぐっと引き出していて、ホント最高だなって思った。

アシュラ鍵盤加入賛成派としては、ツアーにはずっとアツシさんに帯同してほしいと思っているところ。

わたしはCDを頭から流して、気に入った曲はずっとリピートしてしまうのだけど、この曲は本当に何回も聴いた。大好きだ。生で聴けて本当に嬉しい。

 

そして【Starlight Blues】

落ち着いた曲。照明がとても綺麗で、ふっと緩む瞬間が好き。
盛り上がる曲ばかりではなくて、聴かせる曲だって演奏してもいいよね。

「すたーらい!」って声を出して、わたしがいたのは後ろも後ろ、階段のところだったけど、周りの人の事は取りあえず置いておいて、やっぱりコールを投げかけたい。

ギターソロの前に「しー」って言うところが今回はちょっと聴こえづらかった。ここ、ライブオリジナルなので耳を澄ませてしまう。

ワンマンはたくさん曲を演るので、緩急があるのが醍醐味だよなって思う。

いつもは少ない曲数の中でそれをやるので、短い波を繰り返している感じなんだけど、曲数がおおいとその波を大きく表すことができるから全体の演出としてセトリを組んでいくのかな、なんて思ったり。

フェスや対バンのときの初見さんに向けたものではなくて、ファンに対して組まれたセットリストを味わえるのが、本当に贅沢だと思う。

どこだったのか思い出せないのだけど、亞一人くんが突然「メンバー紹介してもいいか」って言い出して、いいよいいよ、しろよ、みたいな感じで突如始まったメンバー紹介。わたしは古の人なので、ライブバンドのメンバー紹介という場面が好きすぎて困る。

子育て期は好きなバンドのライブDVDを眺めるだけの日々が続いていて、息子が少し大きくなってきたのでまたライブに通うようになって思ったのは、メンバー紹介と名乗りがないということだった。

名乗りという表現で合っているのか分からないけれど、例えばベースソロの時の「ベースナオキ!」ってやつね。

最近は歌がない演奏だけの場面があまり重視されていないのか、ギターソロもすぐに「オイオイ」って煽ったり、手を叩かせたり忙しくて、じっくりと演奏を聴くということが根付いていないのかなって思う場面も多かったのだけど、それと同じくメンバー紹介という制度が継承されていないのか、とにかく演奏中に盛り上げるみたいな場面が多くてそのことに対しては不満を持っていた。

だから亞一人くんがメンバー紹介って言ったときに、テンションが爆上がりしてしまった。

発言の雰囲気からして予定に入っていなかったのかもしれない。ここでメンバー紹介ってたしかに昔ながらのバンドじゃないとあんまり見かけないシーンかなと思う。

「オン・ドラムス、大津一真!」から始まって、「オン・ベース、ナオキ!」そして「オン・ギターナガ(ナガだったか長岡だったか…記憶)」そういう盛り上がりって、アラフォーのわたしには本当に懐かしくて嬉しい。

そして基本はボーカルがリードを取って紹介していくので、全てのメンバーを紹介した後に、さあ誰がボーカルを紹介するのだとなったとき、やっぱりアシュラだとナガさんだよなとなるわけだ。

「オン・ボーカル!」まさか溜めもなくそのまま名前を言うと思わなくて、この瞬間に「ひええ!」と変な声が出てしまったのはわたしです。恥ずかしい…。

「青木亞一人!」という言葉と共にポーズを取る亞一人くんと、フロアからの歓声。これだよこれ!これが良いんだ!とワンテンポ遅れてうおおおお!と声を上げる謎のタイミングになってしまったわたしだったが、それでも満足。やっぱりみんなメンバー紹介やろう。テンションあがりまくるから。もう大好き。

 

ドンドンターンドンドンターンとドラムが聞き覚えのあるリズムを刻み始めたら、ある意味代表的な曲なのに今やワンマンでしか聴けない、謎のレア感を伴った曲【ごはんといっしょ青ばん】

前回のワンマンで聴いた以来だったのだけど、渋谷の時は途中でペリーさんが乱入してお題の消化タイムが挟まれてしまった曲。

いつも10獄では「ばーん」のところを使われていて、ネタっぽく扱われる事も多いし、歌詞も出来た経緯もアレなのでコミカルなネタ曲っぽいのだが、意外とこの曲がカッコいいんだ。お父さんの手作り食品について歌っているという謎の様相を呈しているけれど、特にキーボードが乗るとすごくいい。

途中、再び亞一人くんの指示によってフロアが二つに分けられて、「ばーんばばばんばーん」という「ばん」グループが下手、「あーお」の「青」グループが上手。左右に分かれた二組の塊は、「これから何をやるか、もうわかってるだろうな」という言葉通り、始まったのは「青ばんof Death」。後ろから見ていたら、「ばん」グループの方が、かなり人数が多くて偏っていたけれどそんな細かいことは関係ないのだ。

今度こそ亞一人くんが真ん中に降臨するのかと思いきや、今回もフロアだけがズバーンとぶつかり合う。

フロアはぐっちゃぐちゃでひどく楽しそうだ。アシュラのライブは打首さんや他のバンドに比べてわりと平和なのだけど、この日はダイバーも飛んでいて、危険度が増していた。

どうやら最初の方でフォロワーさんが柵に顔をぶつけてしまって鼻血を出してしまったこともあり、後ろで観るのは本当にフラストレーションがたまったけれど、息子のことを考えれば良い判断だったと思う。

大人なら鼻血だけれど、身長130センチ未満のちびっこには中々ハードだろう。

本当にひどい怪我をしてしまえば、下手をするとライブに支障がでてしまうので、それだけは本当に申し訳ない。わたしが我慢すればいいのだ。そう前に行きたいという欲を必死に抑えて、後ろで飛んだり跳ねたり手を上げて楽しめばいいだけなのだから。

 

【プレリュード・オブ・デスポイネ】

新しいアルバムから、北欧メタル風。
わたしはこの曲がSEになるのかなと思っていたが、ここできた。改めて聴いてみるとSEには少し短いかなと思う。
そして壮大なプレリュードは対になる曲へとつながっていく。

 

【カルディア・オブ・デスポイネ】

わたしはどちらかというとメタル畑で、そしてデスメタルやジャーマンより北欧メタルの方が好みなので、一瞬「お」っと期待してしまうこの曲。

ただ、アシュラはメタルバンドではないので、セルフライナーノーツにある通り、メタルっぽい雰囲気を出しつつも、これはどメタルではない。
どこが違うのかなーと音楽に詳しくないわたしが色々と考えて、ひとつ気が付いた。

メタルはやはりギターの速弾きが様式美。リズムギターリードギターが重なり合うツインギターの音色が美しいところが特徴的なのだけど、それっぽい雰囲気のソロはあれど、メタルの場合はあと一段階スピードが上がるのだ。そこからがもう気持ちよくなるところなのだが、それはナガさんの持ち味とはまた違うところにあるので、これはメタルですか?と聞かれれば、少々違いますとなる。この曲はイントロのギターも同じフレーズを2回繰り返したあとに、スクラッチになるのだが、もう一段階速いフレーズが入ればメタルっぽくなるのにな、と思ってしまう。が、違うのだ、アシュラはメタルバンドではないのだ。

音も重めだが、ズクズクの鳴りがやっぱり少し違う。だけど色んな曲に挑戦して可能性を広げていくのはきっと良いことだし、アルバムってそういう遊びがあっていいと思う。

 

【TM NEET WORK】

この曲も聴けるときと聴けないときがある曲。
亞一人くんはリズム感と滑舌がとても良いと思っていて、これだけ早口で言葉が詰まっているのにしっかり発音していて、歌詞を聞き取りたい派のわたしとしては好きなところである。

ヘドバンポイントがあるので、わたしも必死に頭を振るのだが、いかんせん階段にいるので気を付けないと滑り落ちてしまいそうで上手く踏ん張れない。
後ろからだと、後方2列くらいがフロアにいてもわりとおとなしめで、それよりも前が綺麗に統率のとれた動きになっているのがよく見える。

 

「俺が強くてあこがれていたキャラクターがいて」みたい入りだったと思うのだけど、「〇〇のゲーセンで」とか「〇〇温泉のゲームコーナーで」といった幼少の思い出を語る亞一人くん。地元の人からすると「ああ、あそこね!」みたいな楽しみがある札幌ならではのMC。

「俺の強さの全てはこのキャラクターから学んだと言っても過言ではない」みたいな過言な事を言って入った曲。

【FinalFight】

この曲は前回行った福岡のフェスで初めて聴いたのだけど、今回のアルバムの中ではかなり好きな部類に入ると思う。

1曲目はこの曲じゃないのかと思っていたのだが、ここでくるのかー。この曲はジャンプポイントがあって、先日は上手く飛べなかったけれど新譜を購入してイメージトレーニングをしていた甲斐があったのか、逃すことなくしっかり2回飛べました。

フロアの様子を眺めていたら、やっぱり3回目も飛びたくなるよなーと。だってこっちは何でも4回あるもんだと思っているのだよ。

イントロもソロのベースもカッコいいのだけど、この曲は普通に全体を通してベースがカッコいい曲だと思う。

ふわーっと盛り上がっていくサビが特にいい。さわやかな曲調にサンバのリズムと言っていたベースがぐいぐい入っていくところが聴いていて心地いいし、広がりのある曲でライブ映えする良曲。

「ベースナオキ!」が出たのはこの曲だったかな。

サビを聴きながら、あ、これタオル回したら気持ちいいんじゃない?って思った。今までアシュラの曲でタオルを回す曲ってなかったと思うのだけど、この曲はすごく合うんじゃないかと思う。

最近あんまり見ないけど、そういうのはもう古いのかな。やってみたいなーと個人的にはすごく思う。でも一人ぼっちだと寂しいので、誰かやってくれないかな…。
ほんとアシュラの良いところ詰まった曲。

 

【月はメランコリックに揺れ】

「札幌が一番のあーいえーだったって言いてえんだ」ということで、やっぱりここはもう全員渾身のあーいえー。

今回のライブは後ろで観ていたので、いつもはわたしよりも前にいる息子が一段上からステージを観ている。だからどんな楽しみ方をしていたのかはあまりよく分からなかったのだけど、この時ばかりは後ろから謎の存在感を植え付けてきた。

めちゃくちゃ歌ってて、もうむしろ歌いすぎくらいあるんじゃないかと思ったのだけど、その調整は難しいと思うのだ。

だって、ステージの上では「足りない足りない」「まだ小さい」って亞一人くんが煽っているわけだから、そりゃあ張り切って声を出すよね。息子よ、それでいいと思う。

「階段も見えてるぞ」とナガさんに言われたのはここだったかな。それとも青ばんの時だったかな。

やっぱりみんなで大きな声で歌うのは楽しいし、その声を受けてきっと嬉しそうな顔で笑っていたのだろう。毎回ライブの時に観る事が出来るその表情を、後ろからではよく見えなかったのが残念だ。

ここで本編終了。もうわたしは我慢の限界だった。ステージはよく見える。このサイズの箱で、しかも階段なので遮るものもほとんどなく視界良好だ。

でもここはわたしの場所ではない。一度はけたメンバーを見送ってから、息子に終わってからもここにいるんだよと指示をして、フロアに降りる。

ずっとこの場所にいて危険がないことは確認できた。落ち着いたゾーンに息子を残し、母は母ではないピリオドの向こうに行ってくるぜと、するすると人と人の間を抜けて、ようやくフロアへと降り立つ。

ステージが近づいてくる。暴れまわって汗をかいた人たちの熱が立ち込めるその場所は、同じ空間のはずなのに温度も空気も見える景色も全然違う。

アンコール。ライブ主催バンドだけ許されるそのエクストラな時間。

楽屋につながる階段のそばまでやってきて、また隙間を縫って前から4列目の中央へと移動する。

人の頭や肩に遮られて見え辛くなるステージ。しかし後ろで観るよりずっといい。
扉が開き、メンバーが登場した。わたしのライブはここが始まりといっていいだろう。

 

【Blizzard(吹雪)】

「今日は俺らのライブをあんまり見たことがない人も多いと思うんでちゃんと説明します」と言って亞一人くんが話し始めた。「ある日親父から「Blizzard(吹雪)」と書かれた手紙が来た」と知っていても改めて聞くとなかなかパンチのあるエピソードである。

これはやべえのが来たとそれをツイッターに投稿したら、当時からすればありえない数の反応があってそれに曲をのせた。でもそれがなかったら、今ここにこうして立っていないかもしれない、と。

たしかに普通に考えて父親が歌詞を書いた曲を世に出すというのは、なかなかチャレンジングなことである。青ばんしかり、こんなに事あるごとに「お父さん」が出てくるバンドもあまりないだろう。

JPの歌詞は独特の世界観で、ある意味亞一人くんが書く歌詞よりも特徴があると思う。意味はわたしもよく分からないけれど…。

亞一人くんの歌詞もどこかレトロな感じがするが、JPの歌詞はもう1段階古めかしくて、もう説得力だけの力技で味をだしている。ただ言葉というのは使う人の特徴を多く含んでおり、専属の作詞家がいるというのはある意味で「らしさ」の構築を担うことが出来るのではないか。分からないけど。

やっとこの距離で観られた。
わたしは酸素の薄くなるはずの場所でようやく息をする。
首が痛くなるくらいに見上げて、人の圧の中に身を委ねる。ライブの良さはこの近さにあると思う。
色んな聴き方があって当然だけど、圧倒されるくらいの熱をお互いにぶつけ合うこの距離がわたしは大好きだ。
基本的にモッシュは苦手なのだけど、何曲かなら楽しい。

 

最後の曲【Daring Darling】

音源で聴くとわりと穏やかなタイプの曲なのに、ライブではラストで盛り上がるための定番曲だ。

サビで柵に立った亞一人くんに向かって、フロアから必死に手を伸ばす。届きそうな位置なのに、届かない。それがもどかしくてまた手を伸ばしつづける。
センターではダイバーも飛んでいて、わたしはダイブの邪魔にならないようにだけ注意しながら、慣れた人たちが担ぎ上げては人を転がしていくのを視界の端っこでほんの少し眺める。しかしそんなことは一瞬で、今はそれより、そして曲を聴くというよりも、何を掴みたいのかわからないのに、何かを掴みたくて必死だ。

しかし傍から見れば掴みかかっているようでも決してそうではない。近づきたいけれど演者に無理やり触ってしまわないよう気をつけている。
ここに生まれる矛盾。
きっとむやみやたらに触ろうとしているわけではなく、そこにある無機質な景色の一部として選んでほしいのだろうと思う。
いわば掴みたいのではなく、掴んでほしいのだ。
わたしは他のバンドのライブでこういう状態に陥ったことがないので、この感覚が極ありふれたものなのか、それともちょっと気持ち悪いのかよくわからない。
でもわたしからはその境界線を超えることは許されていないが、ステージの上からならば簡単に超えてしまえる。
その不平等さがとても良いと思うのだ。

ライブ後にアップされる写真の中へ閉じ込められた、何本もの手。そのひとつひとつにある想いは、ギラギラとした色とりどりの光に照らされている。わたしはその像をリアルタイムに観るその時間がとても好きだ。
何度も聴いた曲が今、目の前で奏でられ、そして一気に終わりを駆け抜けていく。

 

演奏が終わってアンコールが終了しても、それでもまだフロアの空気は収まらない。まだ終わりたくないという気持ちが声となり、音となり、戻っていくその姿に強く訴えかけている。

再びがあるかどうか、それは受け取る立場のわたしたちに判断の余地はない。どれだけあともう少しと願っていても叶わぬ事も多い。
最後に退場する亞一人くんが、扉の前でまだこちらを見ている。終わるのか、それともまだ続いていくのか。諦めが漂い始めて少しずつボリュームが落ちていくフロアに、まだ声を出せというジェスチャーで再びフロアから歓声が上がった。

そしてエクストラ。
全員がまた配置に付き、メンバーは楽器を構えた。
「これは完全にエクストラなので、RSRの関係者の人たちは聴かなかったことにしてください」とナガさん。
特別感が漂っていてフロアは嬉しさであふれている。キーボードから流れたメロディ。そんなヒントがなくとも、これから演奏される曲が何かなんてことはみんな分かっていた。
そうだ、まだあの曲を演っていないではないか。誰もセトリバレなんてしていないのに、誰もが満場一致でその曲を思い浮かべている。

「本気で狙ってっから!」亞一人くんがそう言った。8月19日のZepp札幌の映像が収められている10獄放送局。あの回を誰よりも見ているのは俺だと。
憧れの木根さんがくれた言葉を辛い時に再生して、何度も再生して。そこに残る約束を叶えさせてほしいのだと。

「俺はもちろんこれからもアシュラシンドロームでやっていくけど…」というそんな言葉から始まって、一体何を言うのだろうと思っていたら、柵の上に足をかけて乗り出しながら
「俺、TMネットワークに入りてえ」
って、誰も予想だにしていなかったであろうところに願いが帰結して、それだけでも充分おいてけぼり感があるというのに、眉を下げて本気で情けない顔になって泣き始めたから、わたしはもう我慢できなくて笑ってしまった。

何だこの可愛い生き物は。
これは小さい子が「ドラえもんが好きすぎて食べたい」とか理論崩壊してるのに、想いの強さだけが激しく伝わってくる可愛いやつじゃないか。
まさかこのタイミングこの場所で、そんなことになるなんて思っておらず、感情のふり幅がとんでもなく激しくて、それを臆することなく外に取り出せる人なんだなとそんな風に思った。
きっとこういうところがみんなに愛されているところなんだろう。だって面白すぎる。そして決して馬鹿にして茶化しているわけではなく、本気で羨ましいと思った。
わたしにとって『泣ける強さ』は憧れなのだ。

 

Get wild
アシュラのワンマンはこれを聴かなければ終われない。わたしはTMを全く通っていないので、本家には申し訳ないのだがずっとバナナマンの日村さんの曲だったのが、最近ではすっかり亞一人くんになってしまった。

サビのステージングはウツダンス。好きなものを全力で好きだと表明する事は誰にだって許されている。渋谷のワンマンで聴いた時も思ったけど、まさかGet Wildでこんなにテンションが上がる日が来るなんて未だに信じられない。
TMに入りたい亞一人くんの「RISING SUNのラストは『Get wild』が演りたい」って、またものすごく好きが暴走している発言に、「最初に演ろう、最初に」ってナガさんが言って。そんな日が来たらきっとみんな今日のことや8月のZepp札幌のことなんかを思い出して、さすがに泣いちゃうかもしれないな。
そしてそんな場所にもしも全く事情を知らない人が混ざっていたらと思うと、それは非常に居たたまれない。けど、そんなカオスなステージが叶ってほしいなと思う。

曲が終わり、本当に今日のライブが終わってしまった。もう一回、まだ観たい、という声がフロアから投げかけられる。
とりあえず写真を撮ろう、と亞一人くんが言うまで、ワンマンではそういう時間があることを忘れていた。そのくらい「TMネットワークに入りたい」発言はものすごいインパクトで、忘れられないパワーワードだ。

「ばーんばばばんばーん」で撮ろうと言う亞一人くんに「いやここは『ライジングサーン』だろう」とナガさんのナイス提案。最後の最後でいいところを持っていくな、とそう言った亞一人くんだけではなく、みんなそう思っていたと思う。

終わって欲しくない気持ちと、楽しかったという想いをカメラマンのえみだむ氏が記録にする。記憶の端っこをレンズの向こうに託して、今日という日が四角く切り取られて残る。


客電が付き明るくなって、入口でもらったドリンクチケットの存在を思い出した。引き換えたビールで喉を潤しながら、まだ帰りたくない想いを抱えて、ゆっくりとその日を閉じていく。

クロークに預けた荷物を引き取るのに手間取って、一番最後になってしまった。がらんとしたフロアと、通常照明が照らすステージは先ほどまでの熱を忘れてしまったかのように静かだった。
マイメン岩井氏が慌ただしく片づけを始めており、わたしが急いでその場を立ち去ろうとしたとき、ちょうど物販に顔を出していた一真さんとすれ違った。
東京から来たフォロワーさんがいち早く言葉をかけていて、その流れでありがたい事にわたしも握ったこぶしをトンと合わせて、今日は楽しかったとお礼を直接伝える事が出来た。

地上につながる階段を上り、わたしの背中で岩井氏がライブハウスの扉を閉める。名残惜しさを物理的に閉じ込めて、ようやくわたしは日常へと戻り始める。

建物の外に出ると、すっかり冷えた空気はわたしの知っている冬のものだ。ライブハウスの前には一部まだ雪が残り、溶けることなくそのまま地面が凍っている。
ライブがなければ訪れる機会を得られなかったかもしれない北の大地。冷たい空気を吸い込んで歩き出す。

深まる夜。まだ眠る気配もない街の角を曲がって大通りへ。旅の終わりがいま始まり、幸せな夜を飲みこんで現実となった。

 

おまけ:【札幌飲食覚書セトリ】
・いくら丼
・マグロの刺身
・島ほっけ
・ししゃも
・ほたての刺身
・みよしの餃子
・ウニ丼
・たらばガニ、花咲ガニ、いばらガニ、毛ガニ(全て試食)
ジンギスカン
・味噌バターコーンラーメン
スープカレー
・ソフトクリーム2種食べ比べ
サッポロクラシックビール

全部美味しかった。北の大地最高だ!3食じゃたりねえ!お腹がHA・RE・TSU!!

【おまけのおまけ】
息子がとある場面をリスペクトして作った記念メダル。刻んだ文字は「ASURA ONEMAN」