箱日記

ライブに行った感想を細々とつづっています。

2019年10月5日 アシュラシンドローム 渋谷CLUB QUATOROワンマン

あのRSRから1カ月と半分という時間が過ぎた。

ライブの年間本数などが時折話題に上るが、わたしが去年参戦した数はフェスも合わせて12本。均して月に1本のペース。うん、悪くない。決して多い方ではない、と思う。
少ないかと聞かれれば、下を見れば多くの人はゼロなわけだから、比較は難しいだろう。ただ、平均月に1本のペースは生活に支障が出るほどの数ではないと思っている。

ただ、ここに忘れてはいけない問題が1つだけある。日本の南の方に住まうわたしの場合、そのライブのほとんどが遠征になってしまうという点だ。
お盆というハイシーズンに北海道まで行ってしまったわたしの財布は激しく損傷しており、その痛みは決して癒えてはいない。1カ月半という僅かな間隔では失った諭吉は取り戻せない。たとえRSRが素晴らしすぎるほどに素晴らしい時間であったとしても、物理的な問題として無視できるほど大富豪ではない事については心より悔やまれる。

 

しかし10月5日土曜日。わたしは息子と成田空港に降り立った。
今回は台風の心配もなく、あわや発生しかけていたが、知らぬ間に消えていった。
前回の感想でほぼ触れていなかったが、RSRに行きたい、アシュラがRSRのステージに立つところが僕も観たいと泣いた息子は、見送りに来た福岡空港でわたしの搭乗券を奪って逃げようとまでしていた。
そんな息子と次は絶対に連れて行くからと約束したその『次』というのが、今回の渋谷ワンマンなのである。

7月に福岡のライブ会場にて購入した手売りチケット。実際に行けるかどうか分からない状況で購入したのだが、なんとか家族(主に夫)と調整をすることに成功した。
新幹線や高速バスは大人料金と小人料金が設定されている。しかし航空券の場合は、通常運賃の半額が小人料金なため、事前割引の料金よりも高くなってしまう。そのため事実上は大人も子どもも同じ金額を払って乗ることとなるのである。端的に言うと高い。子どもとの2人旅だというのにちっともお得感がないのだ。
こんなに小さいのに。などと思ったところで仕方ない。
ただ、ホテルの方はお値段重視でセミダブルのお部屋にしたけれど、何ら問題なく広々寝ることができてしまった。サイズ感はミニマムである。

成田空港を使うのは初めてのことだ。
何とか費用を抑えたいわたしの苦肉の策なのである。どうせ行くならもっと早くに飛行機の予約をしておけばよかった。いつだってそう思うが、キャンセル料が怖くてビビッてしまい結果的に割高になる。航空券の早期割引のシステムはよく出来ているものである。

とにかくわたしはアシュラのワンマンライブにやってきたのだった。会場は昨年に引き続き渋谷CLUB QUATOROだ。
渋谷のスクランブル交差点は相変わらずの人の多さだった。20代半ばの頃に初めて訪れてからちっとも変わらない。わたしの認識ではいつだってここは若者の街で、田舎育ちのわたしにとって恐ろしい数の人が歩いている。あの1人1人に人生があり、感情があり、事情があるだなんて頭では分かっていても実感が伴わないくらいに無造作に人がいる。

先行物販は16時から。今回はなんとガチャが導入されており、わたしは前日に営業時間内の銀行に立ち寄り両替を行った。
わたしはガチャやクジの類があまり好きではない。あれは何が出るのかわからないワクワク感を買うものだ。わたしは自分が何に対して財布の口を開けようとしているのかということをしっかりと認識したい。納得してお金を払いたいからだ。
一方の息子はガチャやクジが大好きだ。おそらく当たると単純に嬉しいのだと思う。
もしかしたら当たりかもしれない、とドキドキすることにお金を払っている。そこがメインで品物はオマケのようなものではないかと思っているのでもう一回、もう一回と白熱してしまう。

物販オープンの時間数分前に会場に行ってみると、すでにそこには列ができていた。1年ちょっと前に来た時と全体的には変わらない渋谷センター街の街並みも、ビルのテナントは変わってしまっていた。GUだ。クアトロ以外はGUなのだ。ファストファッションを買いに来た若者とすれ違うたびに、この場所にいることに対する温度差にちょっと笑ってしまった。

運営のナイス判断によりグッズ物販とガチャ物販の列が分けられたので息子をガチャ列に放流し、わたしは物販列に並ぶ。
今回のグッズには同日発売の会場限定シングルがある。Tシャツやその他のものは16日の福岡でのライブでもいいのではないかと、給料日前のわたしはそっと思っていたのであった。
しかしながらキャップだけはどうしても欲しくて買ってしまった。いつものバックステージ風パスも購入。日付が入っていないとはどういうことだ。機会があればぜひ10月5日の日付を入れてもらいたいものだ。1枚だけ購入しただむクジはカズマさんだった。

ガチャを楽しんだ息子が、Tシャツ2枚を引き当てるという強運を発揮していた。しかし2枚とも『男が女を唄うとき』の月を模したキャラクターが描かれた黄色のTシャツで、それはいいにしてもサイズがXLとXXLというさすがは在庫一掃らしいと思うラインナップだった。XXLとか未知なるサイズなのだけど、ワンピースみたいに着れたりするのかな?自宅に戻ってきて数日が経過しているが、まだ開けていない。

先行物販の時間は1時間。18時がオープンなので間に合うのだろうかと思っていたが、問題なく終了した。オープンは1時間後といっても入場列を作るので、そこまで時間があるわけではない。久々に会えた方やようやく会えた初めましてのフォロワーさんと挨拶をしたり、荷物をロッカーに預けたりとしていたら、あっという間だ。
エレベータは下の階のGU客と共用なので少し気まずい。ちょっと下に降りてみるかと息子と2人で階段を使うことにした。
階段のところにある壁には隙間が空いていて、そこから先ほどまでの物販スペースが少しだけ見えたのだが、それを見つけた息子が「ママ見て!ナガさんがいる!」と母を呼ぶ。しかし母は大人なもんで盗み見みたいなことは遠慮させてもらった。子どもがやると微笑ましく見えるようなことも、大人になるとなかなかハードルが高い。とてつもなく悪いことをしているわけではないのでいいと思うのだが、もし目が合ってしまったら申し訳ない気持ちになるような気がしたのでやめておいた。
先行だけで売り切れたというガチャが稼いだ500円玉の音が鳴り響いている。ライブの収益の多くは物販の売上が占める。リアル課金の音はまさにリアルすぎるものであったが、それがまた良い。戦えあんたの現実を!と思うのであった。

入口付近にJP青木から花が届いていた。昨年は『サクラ一同』という花が飾られていたように思う。今年はJPなのかと思ったけれど、よく考えたらメンバーの父親から花が届くとはなんともほっこりとしているではないか。ただロックバンドの家族エピソードはいつだってそのギャップが可愛いけれど、青木家の場合はもういろんなものを超越しているので花くらいでは特に驚く要素がない。
写真を撮るか、ということで息子を立たせて撮影したのだけど、RSR限定のバスタオルのサイズ感が非常にちょうどよくて、とても良い写真が撮れた。
どうも息子はライブ前の写真を撮ることにずいぶんと慣れてきているように思う。
こうやって息子とライブに行くようになって1年半ほどだが、ライブハウスの看板前で小さくピースしていたころとは雲泥の差だ。

よく見ると花の送り主が『3A青ばん』となっていることに注目だ。

 

まっすぐ奥に先ほどの物販スペースが見える。そこから楽屋に向かうナガさんが息子を見つけて手を振ってくれた。しかも笑顔で。ほら盗み見しなくてもこうして目線を交わすことができる。アシュラのメンバーは基本いつも息子に優しい。

いよいよ入場列となり待機だ。よく考えれば遠征で同じ箱に来るというのは初めてのことだ。いくつものバンドを追いかけていれば箱かぶりもあるだろうが、わたしの場合はそうではないので何度も同じ箱に来るということは少ない。
昨年のクアトロはその前月に初めてアシュラシンドロームのライブを観て、勢いで決めたワンマン遠征だった。チケットの売れ行きなんてものを心配しながら、それ以外にもいろいろと不安があったりなかったりと思い起こせば懐かしいの一言である。
ライブハウスにはキャパがあり、動員という数字によってバンドの立ち位置であったり規模というところがわかりやすく見えるものだ。もちろんイコール良さであるとは言えない。良さを数値化するのは非常に難しいものだと思う。

期待を灯らせてオープンを待つ。今回は前回よりもチケットは売れたのだろうか。個人的には手売りチケットのことをもう少しステージの上で伝えたほうがいいのではないかと思うのだがどうだろう。
今年5月、ロールプレイング現実ツアーのファイナルの時に今回のワンマンが発表になり、同時に会場で手売りチケットを販売、そしてプレイガイド先行受付が始まったわけだけれど、手売りチケットとプレイガイドでは実入りが違うのかな?
手売りチケットが残っているならそちらを買いたいって思う人多いと思うんだよね。わたしは今回、プレイガイドで申し込みをしたつもりだったけれど、酔っ払っていてできていなかったという体たらくがあり、実際渋谷に行くかどうかを迷っていたので7月28日の福岡でまだ残っていたら買おうと決めていた。
だから物販で探したけど置いてはなくて、もうなくなっちゃったかなと思って一応お尋ねしたら奥から出してきてくれたので買えたんだ。
だからってステージから手売りチケット持ってきてるっていうアナウンスは特になく…。

たしかに福岡から渋谷までライブを観に行こうと思う人は少ないかもしれない。アナウンスしたところで売れない可能性のほうが高いと思う。
でも、ゼロではないし、何よりも「ワンマンをやるんだ」という告知はきちんとして、チケットを持ってきているということはステージの上から伝えたほうがいいと思うのだ。
Twitterで告知することも必要。何事も効率化されていて、面と向かい合わなくても色んな案内の仕方がある。でもやっぱり実際にその場所でその空気を背負って言葉で伝えられたものというのは、そこにしかない良さや惹きつける力があると思う。
地方民はエンタメの中心が東京だということくらい痛いほどに知っている。
だからいろいろ告知されてもすべてに行けるわけではないのだけど、初めて観ていいなって思った人にとっては精力的に活動してるってことはプラスアピールになると思うのだ。

並ぶというよりも集まるという感じで、1番から順番に名前を呼ばれていく形の入場だった。今回わたしたちはAの87番と88番。そこそこな感じだ。キャパ800の箱であることを考えればものすごく良番のはずなのだがどうだろうか。今回は息子が一緒ということもあり、選択肢としては最前列下手側、もしくはバーカウンター前、後ろ、という感じで、その中でもできれば最前列下手が第一希望だった。
わたしはとにかく前に行くのが苦手なので、息子にその役を任せることにした。作戦としてはチケットをもぎってもらったら即フロアに向かい、わたしを待つことなく一人で下手の最前列まで到達せよと指示を出す。必ず行くから振り向かずに行け、行くんだ息子よ。
物販前を通り階段を上がり、フロアへと足を踏み入れる。真っ黒なフロア、ステージの上はすでに整っている。新曲のOver The Sunのイメージアイコンとしてグッズにも使われている太陽をベースにしたオレンジ色のバックドロップが目に入る。赤い太陽という歌詞なのに、オレンジ色なんだなと思ったが、緑を青いというようなものかなとそんなことを考える。
小さくてすばしっこい息子の姿を後ろから追いかけていくと、するするとやってきた下手側の最前列は知り合いのフォロワーさんばかりの空間であった。
「あー!」なんて言葉を交わす。ラッキー、これはラッキーすぎる。
実はこの知り合いばかりで穏やかな空間のおかげで、とんでもない奇跡が起きるのだが、またそれは少し先の話だ。

昨年と同じく、今回のフロアも平和そうだ。前のほうとセンターあたりは人が多くなってきているが、それ以外は比較的ゆっくりしていて、ドリンクを引き換えて座って飲んでいる人なんかもいる穏やかさだった。わたしはあんまり暴れん坊ばかりのフロアは苦手なので、アシュラのライブはこの穏やかさが好きだったりする。

フロアが殺伐としていないのは良い。
息子はクアトロの最前列の柵を掴み、わたしはその後ろ2列目に陣取った。昨年とほぼ同じ場所。ステージは高くてきっとよく観えるだろうと思う。
18時オープンの19時スタートだが、実際のところオープンしてすぐにフロアに入るので、1時間近くの待ち時間がある。打首さんのワンマンはこの時間に特別映像を流してくれるというサービスがありそれもとても楽しいのだが、わたしは何もしないで待つのもとても好きだ。
少しずつお客さんが増えてくるフロア。ざわざわとした音と、聴いたことがある曲ばかりが集められたBGM。期待感が膨らんでいく時間として1時間という時間はちょうどいい。会場に入るまでのドキドキが鳴りを潜め、最後の10分くらいで待つことに飽きてきて早く早くという気持ちになる。ヲタクはよく「待って!」と言うが、もしもオープンからすぐにスタートだったとすれば、待って!心の準備を!!!と言ってしまうかもしれない。わたしはきっと言ってしまう。1時間ぐらい期待感を心の真ん中に置いて何もせずに待つくらいがちょうどいい。

時計を付けた腕を何度も息子に引っ張られる。頻繁に確認すればするほど、時間の流れを感じにくくなるものだ。そもそも時間通りに始まるかどうかも定かではない。客入れに時間がかからなければセッティングは終わっているのだから押すことはないが、実際どうなるかはわからないものだろう。
「まだー?」と息子が言う。彼の1分は大人の十数分に当たるのかもしれない。子どもなんてそんなものだ。退屈な気持ちはよくわかる。

わたしの腕時計が19時ちょうどを指したとき、フロアの照明が落ちてBGMが消える。定刻スタートだ。

SEが流れる。アシュラのSEは二種類聞いたことがあるのだが、数として多いのは今日も流れているこのパルプフィクションのテーマである。
1曲目は何なのだろう。わたしは演ってほしいなという曲への要望は果てしないが、セトリ予測をするタイプではなく、取り出されたものを余すところなく受け取りますをモットーにしている。
メンバーが下手袖から出てくる。ナガさん、ナオキさん、カズマさん。亞一人くんはまだ出てこない。フロントマンはこうしてしばしば入場のタイミングが他メンバーと違うことがある。

アシュラはなんだかんだいっても、亞一人くんを前面に出す形でバランスをとっているように思う。バンドのバランスは各それぞれだと思うのだが、ちょうどよいところを見つけられると観ているだけのこちらも安心するし、当人たちもやりやすいだろうと思う。

亞一人くんが出てくる。これは…ちょうどいいと思った。昨年のワンマンはアシュラのライブを観るのが2回目だったこともあり登場について感想を持つのが難しかった。
あれからたくさんライブを観たことで、今考えれば去年のワンマンは気負いすぎていたように思う。気合いが入っていることはいいことなのだが、それにしても入りすぎていたように思うのだ。
DVD発売の時に公式がツイートした舞台袖での表情はものすごくかっこよかったけれど、当日ステージに出てきた瞬間はめちゃくちゃ気合が入ってるなと思ったんだ。
一段上のキャパの箱に挑戦するというのはやはりプレッシャーも大きかったのだろう。今回は2回目ということもあり比較的リラックスできたのだろうか。真相はもちろんわからない。全部わたしの勝手な妄想である。

今回ステージが始まって一番、わ!って思ったのは、SEからそのままつながるように演奏が始まったこと。なんだこの曲はなんだなんだ?ってなりながらすでに曲が始まっていて、1曲目が何なのかわからないまま演奏が流れる。
アシュラはライブで曲のイントロの前にイントロダクションをつけることが多いように思う。こういうのって一般的なのかな?わたしが行ったことのあるライブではあまりそういうステージがなく、薄い音楽知識しかないが、知る中ではアシュラだけである。

少し前に、打首さんが曲名を言ってから曲に入るのを、初見のお客さんに対する福利厚生が手厚いと表現したツイートがあり、フォロワーさんとの話題に上った。
わたしが知っているバンドは曲名を言ってから始まる形のステージのほうが当たり前だったから、言わない場合があるんだ!と思って驚いたものだ。古いのかな?昔懐かしの始まり方なのか。

「…それでは聞いてください、〇〇」というのはさすがに古めかしいと言われてしまうのもわかるが、激しめの曲だってイントロのところでどーんと曲名を叫ぶみたいな感じであっても、やっぱり先に言ってくれるほうがわたしとしてはしっくりくる。

そんな曲名を伝えるスタンスがさらに進化して…というか、音源バージョンではないイントロを後付けして煽るというパターンをアシュラのライブではいくつか見た。
単純にカッコいいし、盛り上がる。曲のイントロと思えばある程度の制約があるだろうと思うのだ。1曲の楽曲として成立させなければならないし。
でも曲が始まる前の部分なら、とにかく煽りやすい曲調にすればいいし、プラスそこからいつも知っているイントロに入ればうわーーーっとテンションが上がってしまうこと請け合いだ。

まさに今回の1曲目はそんな感じだった。何よりも訓練されたお客さんは、イントロドン的なクイズをやれば秒で答えられてしまう。例えばわたしもボーカルから入る曲の前にキーを合わせるためにギターがひょいと音を出したりしただけで「あ、この曲は…!」などと思いながらカッ!と目を見開いてしまうのだ。しかしこの方法なら、煽りに反応してテンションを上げつつ、何この曲知らない知らないってなっているドキドキ感を味わえて最高である。

そんな1曲目は【Whiskey Coke Brandy Strike!!】
この曲始まりなんだ!と思ったんだ。
今回はちゃんとセトリ写真をもらったのだけど、すでに記憶が曖昧になってしまっている部分も多いので、印象的だった場面を切り取っていこうと思う。MCもどのタイミングで何っていうのは覚えていないので、DVDが発売されたら記憶との答え合わせをしていこうと思っている。

RSRぶりのアシュラなわけだけれど、あの日はとにかくもうものすごくミラクルなステージすぎて、記憶が神々しくなってしまっているが、次がクアトロワンマンだということは本当に嬉しい。

ナオキさんがおもむろに取り出したのはドリル!電気ドリル!往年の!ビリーシーン(Mr.BIG)!!!
マキタ!?マキタなのか!それともパナソニック!!とか思ったりしたのだけど、確認をする暇はなかった。そもそもドリルを見慣れていないのでどこら辺にメーカーが書かれているのかがわからなかったのだ。

ナオキさんのベースプレイをじっくり観る機会も多いなと思う。下手側にいることが多いというのもあるだろう。しかしそれよりもアシュラの曲においてキーマンだなと思うのだ。

最近は3ピースバンドも増えたが、わたしはバンドの標準的な人数といえばやっぱり4人だと思う。そういう意味ではアシュラは形として昔ながらのバンドなのだろう。まあわたしはメタルが好きなので、ツインギターが至高!という思いもあるのだがそれでも、バンドの最少人数は4人が標準という感覚がある。

ナオキさんはソロが光るタイプのベーシストだと思う。上手いの基準はいくつもあって、リズムキープだったり運指の綺麗さ、アタック音の強さとか本当に色々あると思うのだが、ナオキさんの場合はフレーズがとても良いと思う。
派手だもん。ベースは基本地味なイメージが強いと思うが、実は派手めなプレイも多いと思う。そして個々それぞれプレイスタイルがあるので、得意不得意…いやプロの人の場合は好き嫌いと言っていいかもしれないが、派手なことはしないが超絶上手い場合もあれば、派手に目立つ演奏をしているがあれれ、なんてものも存在していまう。まあベースに限った話ではなく、ほかの楽器であっても容易に考えられることである。

そんな中でもナオキさんはぱっと見てすごさがわかる、という点で素晴らしいと思うし、それこそドリルなんてものはパフォーマンスとしてアガるよね。

2曲目は【ロールプレイング現実】
MVのRPGダンスはやっぱり闇に葬られていて、わたしもだいぶ忘れてしまった。この曲は曲名を言わなかったかもしれないな。
戦え!何を!?人生を!のコールをするたびにわたしの頭の中は一度筋少が通り過ぎていくのだが、このコールは楽しい。
横っ飛び(もうなんて表現していいのかわからない)も亞一人くんに左右を誘導されて言われるがまま、狭いながらもなんとかステージの面々に合わせて飛んで、RPGだ。

絶対彼氏以上】
鉄板だ。鉄板の流れだと思う。この曲大好きなんだよな。裏打ちのリズムのAメロが本当に心地よくて、ライブで聴くたびに嬉しくなってしまう。
ナガさんの「手を挙げろーーー!」がいいよね。絶対ここで言うんだって決めてるだろうから、タイミングもとても良い。
この曲はほんとに盛沢山だなと思う曲で、盛り上がって始まる曲なのに最後は少し寂しさ漂う感じで終わるんだよね。そこも好きなんだな。

【BabyDeadSter】
わたしこの曲好きなんだよねえ。さっきから好きしか言ってない語彙のなさが悲しいのだが、この曲は去年の渋谷のワンマンでは聴けなかった。
音源だと『次回予告俺売れ』に入っているのだけれど、まだアシュラの曲を聴き始めて間もない時にこのアルバムを聴いて、あ、この曲好きだなって思ってリピート再生をしてしばらく聴いた。わたしは基本的に頭から再生するのだけど、いいなと思うとそのまましばらくリピート再生をする。
この『次回予告俺売れ』はNEET絶対彼氏が入っているのでそちらに引っ張られそうになるのだけど、ぱっと聴いたときに、いいなと思ったのはこの曲。
でもたしか再録のはずで、曲としては古いので別バージョンがあるのだが、どちらも聴いたがわたしは新しいバージョンのほうが好き。
しかしながらわたしこの音源はCDを持っていないような気がするんだよね。Amazonミュージックのデータだけだと思うのだ。なぜかというと歌詞カードを見た記憶がなくて、歌詞が文字で頭の中で浮かんでこない。
亞一人くんは活舌が良いと思うのだけど、わたしは耳があまりよくないので見たことがない文字を拾うのがあまり上手くない。
2番の歌詞は『冷徹から生まれたって言われても仕方ない』で当たってるかな?『ハラワタ煮えくり返る意味が分からない』で。
聴くたびにどういう状況?と思ってしまうのだけど、単純にわたしの聴き間違いかもしれないと思って、いまだ確かめられていないのだ。
時々とんでもない聴き間違いをしている時があるので少し不安だ。でもこの曲好きなんだよね。イントロがワクワクする。
ライブで初めて聴いたのは、札幌のワンマンだったかな。それから聴く機会が訪れず、ようやく聴けた2回目だ。

そしてキタキタ、てっぺん目指すときたらこの曲。
【山の男は夢を見た】
山男はここかーって思った。これ意外だったのは、今まで山男って場面転換というかわりとキーになるようなところに持ってくるイメージだったのだけど、今回はサラッとこの曲の番になったなって思った。
だから、え、もう山男なのって思ったもん。
始まるときももっと煽りの言葉が入るかなと思ったのだけど、そこまででもなくて、おお何だかいつもと違うぞってそういう違いを見つけていくのが楽しい。
RSR以来のライブなもんだから否応なしに思い出してしまうのだけど、頭の上に山を作ると感慨深い気持ちでいっぱいになる。
亞一人くんの指示でフロアにサークルができた。回る準備ができた面々を少し離れたところから眺める。わたしもやってみたい気持ちでいっぱいなのだが、こう…勇気がでないんだ。
代わりにそのサークルを眺めて、そしてサークルを眺めているメンバーを見る。ステージの上はフロアよりずっと明るい光に照らされている。だから嬉しそうな表情がよく見えた。

知らねえ曲だからってノリが悪くなるとかそんなんじゃないと思ってるって始まったのは、どこかで初お披露目はされたけどほとんどの人が初めましてとなる、本日発売のシングル2曲目【IN THIS...DIE!?】
この曲、カッコいいんだよ。アシュラの曲はイントロがとても印象的で大好き。
発売日であるこの日の日付が変わった瞬間から配信はされていたので、そちらを先に手に入れるべきなのかということも少しだけ悩んだが、結局はライブで先に聴く方を選んだ。

この曲の時にナオキさんがピック弾きをしていたのが印象的だった。なんだろう、ニュアンスかな。普段ずっと指弾きなイメージなので、わー珍しいと思った。
初めての曲は少し構えがちになってしまう。まだ新参者なので聴いたことがない曲ももちろんたくさんあって、それが新しい曲だったり古い曲だったりするのだ。手を挙げるタイミングとかジャンプとか、まだどちらも定まっていなくて、それでも何となくで飛んだり、何となくで手を挙げたり、リズムや歌詞やメロディを追いかけながら楽しむことができる。そう考えると知っている曲も、知らない曲もきっと楽しみ方は同じなのだと思う。

【D×S×T×M】
わたしはこの曲が大好きだ。本当に好き。
アルバムの中の1曲なのでMVなんかは存在しないが、ライブでの演奏頻度が高い。この曲が始まると嬉しくて、いつもひとりで飛び跳ねてしまう。Bメロの雰囲気が好きなんだよ。Aメロはとにかく早口で歌が進んでいくんだけどBメロのチャカチャカギターとベースラインがめっちゃ好き。どうにもこうにも好き。
好きすぎて先日作った本にこの曲の正式タイトルを紛れ込ませたくらいだ。
たしか『Don’t Stop The Music』。
直訳だと「音楽を止めるな」なのだと思うのだが、わたしは勝手に「音を鳴らし続けろ」って訳すことにしている。新しい曲が増えてきてワンマン以外のセットリストが変わりつつあるのだけど、この曲はこれからも聴きたいなーって思っている。

メンバー紹介してもいい?ってちょっと笑いながらナガさんが言ったのはここあたりのMCだったかな。
それはもうぜひに!とばかりに拍手が起こって、「ギターのナガですー」みたいな感じで始まって、まさかメンバー紹介が自己紹介とは思わなかったよ。「ベース、ナオキ!!!!」みたいなやつじゃないのか。そうか。

始まったのは初めて導入したガチャについての話。話したかったんだねえと饒舌に語るメンバーを眺めながらほのぼのとした気持ちになった。

どうやら先行物販だけですべて売り切れてしまったようなのだ。
たしかにガチ勢は間違いなく先行物販からチャレンジするので、フラッと何となくアシュラのライブが演ってるから観てみようかなーくらいの人はラババンやCDなどは購入したとしてもガチャまではやらないかもしれない。
にしても少し驚いた。
ガチャについてはすでに書いたけれど、基本は缶バッヂ。メンバーの顔面がドアップになったもの、メンバーそれぞれがデザインしたもの、アー写とか全体的なロゴデザインのもの、ということで全12種。
それから在庫一掃セール品。少し前のTシャツとかパーカーなど。これだって結構良いと思う。そしてメンバーチェキ。悪くないラインナップだ。
もっとえぐいやり方だってできたと思うのだが、アシュラのガチャガチャはわりと良心的だと個人的には思う。

メンバー各1つ、私物を提供しておりそれが今回のガチャの『当たり』である。ラインナップは以下だ。

・亞一人くん…アシュラの前にやっていたバンド(HASS)のライブ&バックステージ映像DVD
・ナガさん…ギター
・ナオキさん…プロテイン+シェイカ
・カズマさん…ドラムヘッド

わたしはしいて言うならギターを持って帰りたかった。当たりとして手に入れるならギターを狙っていたけれど、残念ながら別の方が当てられたようだった。ライブに行ってギターもらって帰るとかちょっと面白い。

ナガさんのギターの後にナオキさんのプロテインの話になって、わたしはヒントの写真を見たときからナオキさんはきっとシェーカーをくれるんだって思ったので、予想が当たって嬉しかった。
ギターとの格差について責められてたけれど、筋肉は裏切らないし、何より筋肉大事。
シェーカーつけてるよ、と言っていたけれど、シェーカーのちょっとプロテインの粉付きだよって言われてショボい扱いされるのが可愛かった。

亞一人くんの当たり、DVD。
「欲しいぃぃぃいいい!!」とか言っちゃって、めちゃくちゃ何回もガチャに興じるという羽目になるかと思ったが、お宝映像と言えばお宝なんだけど、アマチュアバンドのライブを録画したDVDってもうわたし多分最後まで観られないよ、ほんと、心が痛くて。
どうやらノーカット、ノー編集の品らしく、本当に何も思い出せない対バンバンド(大阪のバンドだって言ってた)のライブも丸々1本30分くらい入っているのだそうな。そんなの面白すぎるじゃないか。でももうその情報だけでお腹一杯だよ、ほんとに。当たって観た人の感想はぜひ聞きたいです。

カズマさんの当たり、なぜか名乗り出てもらえないらしく「もうオレ今日帰ろうかな」って凹みモードだ。完売しているはずだから絶対に誰かが当たりを引いているはずなのに、誰も名乗り出ないとはこれいかに。
今ステージで使っているスネアドラムのヘッドを外してサインを書いて渡そうと思っていたのに、と。なんだそれはすごい良い当たりじゃないか。
ガチャは黒い丸カプセルで、缶バッヂやキーホルダーなど小さいサイズのものはそこに直接入っていたのだが、当たり含むTシャツとか少し大きめの景品については引き換え番号のみがカプセルの中に入っている。
ただ、開演前に未開封のガチャカプセルを袋に入れて「ここに置かせて」と近くの方に頼んでいるフォロワーさんを見かけたので、名乗り出ないというか開ける間もなく始まってしまったというのが正しいかもしれない。
熱量とガチャの価格、出てくる商品、あとは大人なのでわりと後からゆっくり見よう的な人も一定数いたのかもしれない。

なぜ誰も名乗り出ないんだ!ということになり、ついに学級会が開かれることとなった。

「みんな目をつむれ。誰も見ていないから正直に。カズマの当たりを引いたって人」

どうやら手が上がったらしくみんな目を閉じたままホッと息をなでおろした。
無事にお届けされてたらいいな。ライブが終わってから実は俺が引いたぜ!的なツイートは『ナガさんのギター』と、『デザイン案の時には大丈夫だったのにいざ印刷してみたらバンド名が見えないじゃないかバックドロップ』(勝手に命名してみた)のものは見かけた。当たった人がとっても羨ましい。おめでとうです。
バックドロップは本当に色味が文字とバッグの色がうまくかみ合わなかった…のかかみ合いすぎていたのか、カズマさんも「オレの位置からも見えないからね」と言っているくらいに『アシュラシンドローム』の『シ』の字は姿を消していた。グラデーションの罠だ。

もうこれも景品にしたらいいやん、とまさにワンマン当日に決まってあっという間に完売してしまったそうだ。けっこういいお値段だったと言っていたし、事実そうだと思うので当たった人はラッキーだ。
当選者の方がアップしていた写真から推測するに、みんなが心配していたようなワンルームアパート暮らしという雰囲気ではなさそうだったのだが、それにしても自宅にあるときっと尋常じゃないサイズだと思われる。

ワンマンライブではお約束、キーボードのアツシさん。わたしは未だにこの方が何者なのかよくわかっていないのだけど、普段は何をされている方なのかしら?知っている人いたら教えてください。
札幌のワンマンの時、良い感じのピアノソロフレーズに乗せて話すMCは、とんでもなく良いことを言っているように聞こえる、といった遊びに興じていた。
その遊びが今回も始まったかのように、妙に色気のある音楽が鳴り始めて、音源のイントロよりも前にイントロダクションをつける形とはいえ、こんないい感じのメロディで始まる曲があったっけ、何の曲だろう。

「こんな曲が流れてきたら、こういう歌を歌いたくなるよね」と、そうして始まったのは【男が女を唄うとき】
謡曲の味付けをふんだんに濃くして始まった。おー濃い濃いぞーと思う。好き。
ライブに行き始めたばかりのころは、ずっとこの曲が1曲目のセトリ皆勤賞だったのに、今はこのタイミングなんだとそんな風に思う。

そしてその流れのまま中野新橋ラプソディー】へ。
この曲カッコいいよねえ。初聴きが札幌ワンマンだったからということもあって、キーボードが入っているバージョンを聴くことが多い気がする。
この日、ライブが終わったら中野新橋に飲みに行こうと計画していたので、とても感慨深い気持ちになった。

そういえばこの曲の『今宵はアベンチュラ・ミッドナイト雨が降る』という歌詞、最初に聴いたときまず「アベンチュラってなんだ?」と思ってググるスペイン語で「冒険者」って出てきたから、スペイン語冒険者と英語で真夜中という組み合わせ、プラス今宵という日本語っぽい響きから始まるところがとても良い歌詞だなって思ったの。

何もないところからアベンチュラという単語を持ってきて当てはめたということなら、ものすごく好きなセンスだなって思ったのだけど、そしたら中野新橋にある洋風居酒屋さんの名前だっていうことを知って、そういうことかーって思ったよね。

【FinalFight】
やっぱりイントロが印象的な曲が多いな。
わたし今回初めてこの曲の「ハッ!」っていうコーラスに気が付いて、おお!って思ってしまいついつい目が離せなくなってしまった。ナオキさんから。
何回もライブで聴いているのに、今更なことに気が付く自分はなんて節穴なんだって思うのだけど、いつも新鮮な驚きがあるのは素晴らしいことだと思うので自分を大目に見てあげたいと思う。
でもコーラスってそっと何の違和感もなくそこにあるというのがその力を発揮している証拠なので、わたしが気が付かなかったのも仕方がないのでは?なんて自分を甘やかしてみたりもする。

アシュラは思ったよりも楽器隊がライブでもコーラスをちゃんとやるというイメージがある。いやこの曲のコーラスには気が付いていなかったのだけど、でもたぶん抜けてたら気が付く…と思うのだ。音源と違うところがあれば違和感を覚えるのだけど、足りないことは気づけても、過不足なくそこにあるものはスルーしがちだ。
わかった!ハモリコーラスではないから?いやいやわりとハモリコーラスもあるな。
せっかく何度もライブに行くのだからもう少し耳を鍛えたいと居住まいを正すのであった。

【StarLightBlues】
この曲はわりと聴いている気がしたのだけど、あんまり演奏しないって言っている人もいるから定番だけど持ち時間が長い時には入ってくる曲なのだと思う。

そして本日のシークレットゲストの登場だ。シークレットゲスト自らが当日のゲストであると暴露したシークレットゲスト。THEラブ人間の谷崎さん。韓流セレブレイトでも活躍の方でパートはバイオリン。
ラブ人間のほうは聴いたことがないのだけれど、韓流セレブレイトはじっくりとまではいかないが音源を聴いたことがあって、民族っぽい楽曲はこの谷崎さんのバイオリンの音色が一役買っているのだと思う。
バイオリン、思ったより小ぶりに見えた。

今日はワンマンだから、いつもならできないような曲も演りたいし、ちょっと新しい試みをやってみようと思っている、ということでアツシさんの鍵盤と、谷崎さんのバイオリンを残して、亞一人くん以外のアシュラのメンバーは一度袖に引っ込んでいった。
こういうのワクワクするね。
最初から最後までわーーーっと盛り上がっているライブもいいけれど、わたしはこういう緩急があるタイプが好き。とても好き。
ベテランバンドはわりとこういう穏やかな時間を作るし、盛り上げる=激しい曲ではない構図が実力のなせる業だと思うのだ。これはずっと言っているのだけど、ノリが良い=テンポが速いではないのだから。

亞一人くんの声の良さはアシュラの武器だと思うので、わたしはこのアコースティック展開は今後も続けてほしいなって思うし、またぜひ観たいと思う。

満を持して演奏される曲は【行け!ポチ】
これは意外だった。アコースティックで演奏されるイメージが全然なくて、ええこの曲を!?って最初は思ったのだけど、実際すごく良かった。
サビのところ、キーがぐっと高いところがあって、一昨年のワンマンDVDではここが出てないのね。でもしっかり出ていて伸びやかで「おおおお!」って拍手しそうになった。
歌ってて気持ちいいんだろうなーっていうのがものすごく伝わってきて、歌詞は「ポチ」なんだけど、なんだかものすごく壮大な物語を歌っているかのようなポチなんだ。

時々、亞一人くんがバンドではなくてアコースティックや弾き語りでライブハウスに出るという告知を目にするが、そんなの地方から行こうと思えばかなりハードルが高い。ああいうのは仕事終わりにふらりとお酒を飲みに行くのがいいのであって、地方からガッチガチにガチの様相で行くようなものではないのだ。
だからアコースティックを一度でいいから観てみたいなと思っていたけれど、きっと叶わないんだろうなと思っていた。
それがどうだ、観られたじゃないか。しっかりタメてタメて歌う姿をしっかりと堪能した。

そして次の曲。
わたしは本当に去年のワンマンで初めて聴いてから、CDを探し、ライブDVDは何度も同じところを再生し、ほんっとうに誰よりもリピート再生した自信があるのでアツシさんが弾くピアノのフレーズだけで、まだ亞一人くんが曲名を言っていないというのにわかってしまった。この曲だと。

【運命の少女】
どこにも売ってないんだよね。さすが廃盤音源。

去年、ワンマンが終わってから一斉にみんながググってググってようやくわかったのは、TSUTAYAのネットレンタルだったら手に入るということ。でもたぶん全国で1枚しかなくて、フォロワーさんたちが順番に予約してるんだろうなっていうのが手に取るようにわかってとても不思議な気持ちになった。
こんなにいろんなものやいろんな情報が、いとも簡単に手に入る世の中だというのに、どうしたって見つけられないものはある。
しかも届いたCDを再生すると、ライブで聴いたものとは全然違うのだから、手に入れられないハードルの高さを感じた。いつもオンリーワン、その時、その瞬間に出会うことができるから、だからライブに価値があるのだと思う。

鍵盤とバイオリンで始まった曲は、しっとりと静かに始まって。何度でも書くけれど、わたしはこの曲を『人魚姫』の歌だと思っている。
本当はどんなイメージで書かれた歌詞なんだろう。雪の中にたたずむイメージもあるんだけど。ただ歌詞にどこまで意味を持たせているのかはあまり期待できないことも知っている。世の中にはまるで記号のような歌詞もたくさんあるからだ。

今回はアコースティックだったので、本当にドキドキしてしまった。やっぱりいいんだよね歌いあげる曲を歌っている時の亞一人くんは最高だと思う。
俺の歌を聴けとばかりにね、あんな風に今まさに自分が世界の中心かのごとく歌えるってすごいなといつも思うのだ。この曲は中盤から盛り上がるのだけど、その手前でメンバーがそぞろ出てきて、アコースティックからバンド編成になった瞬間はそりゃあもうすごかった。
すごいって言わせるためだけにそうしたよね、そうだよね!!って思うくらいにかっこよかった、本当に。
今回、ステージ照明が全体的にはオレンジとナチュラルカラーが多かったイメージなのだけど、この時は青だったと思う。記憶はポンコツなので間違っているかもしれない。
色のある光の中で歌う姿が本当にかっこよくて、ボーカリストは歌い上げてなんぼだなと思うわけです。そこにめいっぱい尺をつかっていくというアシュラのスタンスも良いと思う。
フロントマンをどう扱うかってバンドの中で重要だと思うのだけど、やっぱりステージの上ではしっかりカッコいいが大正解だってわたしはずっと思っているから、こういうステージ展開は本当に嬉しい。

ただ、ひよこの刷り込みのように、去年のワンマンで初めて聴いた時を超えることはないのかもしれない。今回もすごく良かったのだけど、京都のワンマンで聴けたときもやったー!って思ったのだけど、やっぱり最初に聴いた時の衝撃がすごすぎて、大好きすぎて超えられない。終わった瞬間に今すぐもう一度聴きたいって思ったのは初めてだった。これまで色んなライブに行って色んな曲を聴いたけど、好きとか楽しいとか、カッコいいとかそういうのじゃなくて、曲が終わってしまうのが惜しくて惜しくて、本当に不思議な気持ちだったな。

仲の良いバンドはお客さんがかぶっているので、ライブかぶりを避けるようにしているというのは、前回福岡の打首さんとバクシンの対バンの時の会長のMCだ。
たしかに日程被りはTLもざわつく。フェスも同日は嬉しいのだけどタイテ被りは勘弁してほしいというのが客側の願いだろう。ただバンドの裁量ではどうにもできないフェスとは違い、主催ライブツアーに至っては、日程も白紙の状態から計画を立てるわけだから、情報交換をして被らないように気を使ってくれるのだとしたらありがたいことだ。互いの利が一致している。

10月5日というこの日程、翌日6日は同じく渋谷でバックドロップシンデレラのライブが予定されていた。わたしも息子が一緒でなければ、2泊して参戦したかったくらいだ。
このように遠征組に優しい日程。被ってないじゃないか素晴らしいと思いきや、バクシンは5日、マグロックという静岡県のフェスに初参戦ということで、そちらのライブに行くことを決めたお客さんも多かったようだ。推しバンドがたくさんいるのは楽しいけれどつらい選択もあるものだなとそんな風に思う。
打首さんも『どうでしょう祭り』が北海道で開催されていて、そちらにミュージシャン枠として参加している。仕方ない、1週間のうち2/7しか休日がないのだから、そりゃあどこかで被ってくるものだ。

そんなバックドロップシンデレラの豊島ペリー来航渉さん。昨年はファミチキを買ってこいと声高らかに、見事その役を全うしたわけだけど、今年はどうやら静岡のマグロックステージ終了後、早々に東京に戻ってきていたようで楽屋で先ほどまでのステージを眺めていたのだそうな。

「渉くんが、お客さんは何を見せられてるの?って言ってたよ」とナガさん。このフレーズが気に入ったみたいで、あとからも言ってた。ペリーさんの切れ味は相変わらずだなって思った。ナガさんがあまりに何回も言うもんだから亞一人くんが「長い付き合いだけど、そういうところが本当に嫌い」って。なんだよーワチャワチャしてて可愛いな。

わたしはこういうライブでしかできないような挑戦ってすごく好きだし、なによりチャレンジするのがいいと思う。曲が増えてきて、ワンマンの回数が増えてきて、同じことを演るだけじゃなくて、オーソドックスではない何かを考えてるんだよね。何かをやろう!って試行錯誤しているのってとても良いし、わたしは大好きだ。

しかし余韻たっぷりなのは変わらずで、次の曲に行かないでと思ってしまう。もう少しアコースティックのその余韻を楽しんでいたいのに、時間というのは残酷だ。いつも足りないし足早に駆け抜けてしまうのだから。

【Dvil hand=Trnade(竜巻)】
こんなグルグル回る曲をこんなところに持ってこられると困るわけですよ。いやわたしはグルグル回る様子を見ることしかできないチキンなのですが、それにしても洗濯機で脱水をかけるかのように余韻がちぎれていくような気がして、あ、待って、待ってと思ってしまった。

でも本当は1つのライブで余韻に浸っている暇なんてないのだ。
多分なんだけど、誰よりも早いなって思っているのはステージに立っている人たちじゃないかな。セットリストを決めて何回通しで練習したかはわからないけれど、何回もやる練習とは違って本番っていつも1回。これは何事もそうだと思うのだけど、普段は見えない時間の流れを本当に感じる瞬間だと思う。たった1回やったら終わってしまうから、だからその日はいつだって特別なのだ。

 

今回は感想を書くのが遅くなってしまったのですでに発表になって久しいけれど、販売を一旦中止していた青ばんの復活についてステージの上から、今後はライブ会場での販売ではなく、今後は通販になります、とナガさんから発表があった。
復活は早い段階であるだろうと予測していたけど、通販オンリーになるとは思っていなかったし、会社を設立するとも考えていなかったので、なるほどなーと思ったものだ。

食べ物を持ち歩くというか、バンドワゴンにほかのグッズと一緒にというのは大変だろうと思っていたんだよね。数が少ないとかそこまで遠くまで頻繁にツアーに出ないうちは大丈夫だったんだろうけど、負担も大きくなってきてたのではないだろうか。

しかし販売方法が少し改善されたとしても、青木家の家内制手工業であることはきっと変わらないのだろうから、無理せずゆっくりとまずは足場を固めていってほしいなと思う。
今年も豊作だったって話をしていた。
Caffeineの店長さんのツイートで時々草取りとか収穫の様子を知ることができるけれど、青ばんファーム…近所にあったら絶対にお手伝いに行くのにな。遠いもんな。残念だ。

この話が出るならばもう次はこの曲だ。【ごはんといっしょ青ばん】
ワンマンでしか聴く機会がないこの曲。去年は途中でGoProヘルメットを装着した亞一人くんがステージを降りて、いろんなものを買いにいかされるというイベントが発生していたが、今回はそういったものは一切挟まないはずだ。
ステージから演者が降りられないように、去年はあったはずの階段がない。こちらには来られない仕様になっているなと思ったものだ。
この曲を去年のDVDで聴いたとき、キーボードが入ったらめっちゃかっこいいなと思ったので、今日聴けることを少し楽しみにしていた。
しかし、しかしだ、聴こえないのだ。アツシさんの音が。
わたしの耳が脆弱なせいなのかもしれないが、アツシさんの音がいまいち聴こえず、これだ!という確信がないのだ。アシュラの音のバランスは個人的にはナガさんの音が大きいと思う。

鍵盤が入るとバンドの音ってすごく良くなるイメージがあるのだけど、そう思わせる原因となっているのはどうしたって筋少のサポートピアニストである三柴理(エディ)の影響が大きいのだけど、あのくらいしっかりと音を聴きたいのだ。ただ元々がキーボードのない曲だから仕方ないのかな。ゲストで音が増えるときって、いったいどんな風にするのが正解なんだろう。
わたしにはわからないけれど、もう少しアツシさんの音を聴きたかったなーと思った。耳も鍛えておきます、はい。

ばーんばばばんばーん♪を一緒に歌うのは本当に楽しいので、ワンマンではやっぱり演り続けてほしいなと思う。ライブ会場で青ばんを販売しなくなれば、アシュラシンドローム=青ばんというイメージも徐々に薄れていってしまうのかと思うと少し寂しい。
とはいえこの曲を発表した当初とか、青ばんが発売されてすぐだったりに比べれば、わたしが知っている青ばんも随分とアシュラから離れてしまっていることだろうと思う。
ただこれからも青ばん=アシュラシンドロームは続いていくだろうから、わたしも我が家の在庫がなくなったら通販を利用してみよう。

【Big thunder(雷)】
JP縛りは続く。頭の上に大きな雷を落としてくれるはずのこの曲。
ビックサンダーの後の「かっこカミナリ」はフロアの出番というコールアンドレスポンスがお約束のこの曲。
途中まですごく良かったんだ。JPの歌詞はよくわからないというか、気候についての歌詞が多いのだけれど、曲はどれもかっこよくて、歌詞のことはあまり気にならなくなる。
この曲はラスト近くに半音上がるところがカッコいいなーと思うのだけど、とにかく親父編に入っている曲は最近の曲にしては1曲が4分超えと少し長い。
この感想を書きながら改めて聴いてみているけれど、どの「ビックサンダー」が「ビッ!」ってなったんだっけ?って思うほど、覚えづらいし分かりづらい。

そう、これまでわりとアシュラのライブを観てきたけれど、亞一人くんがわかりやすいほどにミスをした場面に遭遇したことがなくて、それが普通といってしまえばそうなのかもしれないけれど、今回はおお!珍しいと思った。
しかもミスの仕方が盛大で、フロアと一緒に「ビックサンダー」って歌おうとしてた場面だったから、わりと自分に注目を集めてからの、違うところで入っちゃって、わ、間違えたって気が付いての「ビッ!」だったよね。間違えちゃった…って言っちゃうの可愛すぎてずるいぞ。
しかも間違えた後にちゃんとしたところでしれっとは入れれば「おお!」ってなったのに、動揺が大きかったのか入れないまま終わってしまった。

でもね、これは贔屓しているからというわけではなくて、間違えない方がすごいといつも思っている、わたしは。
何より、曲の構成を覚えてるのって本当にすごいと思うんだよ。もちろんそれがプロなんだろうけども。
わたしのように最近の音楽に疎い者からすると、アシュラの曲は構成がややこしくてAメロ→Bメロ→サビ、だけじゃない大変さがあるのではないかなと思う。だからって音楽に詳しくないので今すぐ言語化するのは難しいのだけど。あちゃー見失っちゃたんだな、珍しいと思った。

ラストのラスト、ナオキさんのベースが終わりに向かっていくのにぴったりなフレーズを奏でて、わたしはそれを聴くのが好きだ。すべては「ビッ!」にやられたけども。
これDVDはどうするんだろうか。ナガさんはこの曲については「要検討」と言っていたが、たしかに現場の空気感と映像はまた温度が違うからなと思ったりもする。個人的にはこういうアクシデントはライブならではなので楽しい思い出であることは間違いない。ただ良い瞬間もあちゃーという瞬間も平等に目の前に取り出された瞬間に過去となるライブと違って、映像は繰り返し観られるという点がそのままメリットとデメリットになるので、編集にはちょっと工夫が必要かもしれないなと思った。

【カルディア・オブ・デスポイネ】
デスポイネというよりはサビあたりはメタルっぽい雰囲気を出していると思うこの曲。その匂いがするから、わたしはどういうノリ方をしていいのかがいまいちピンときていない曲。
全体的にヘドバンなのかと思いつつ、たぶん右手こぶしを握り締めて振るが正解かなと思う。Slayerな雰囲気というのを発売当時のどこかのインタビューで話していたように記憶していて、たしかに!って思うところはあるんだ。もう少し優しいけれど。

そういえばナガさんってどの曲弾くときも楽器を替えないよね?
今回はおニューのキラキラしたギターを使っていたけれど、ライブ中にギターを替えないギタリストって珍しいかもしれない。だってギタリストのみなさんは何本もギターを持っていてさ、それぞれ音のセッティングを変えて、曲によって持ち替えて演奏するものだと思っていたので。あ、今気が付いたな。どうしてるんだろう。

まだまだいけるんだろうなって言われて、まだいけるよ全然いけるよと毎回思う。まだまだいきたいんだ、いつだって!
【TM NEET WORK】
赤坂見附にあるお弁当屋さん。ハイソなビジネス街だから土日がお休みなことをすっかり忘れていて、今回は行けなかったのが残念すぎる。
平日ワンマンは遠征するのが大変だけど、お弁当屋さんに行くチャンスがなくなるのはさみしいなと思う。
この曲はジャンプから始まって、クラップ、そしてヘドバンとフロアはわりと忙しい。

パッションツアーというのが今日から始まるツアーの名前だ。アルティメット、ギャラクティカプラトニックという3種類のツアーなのだが、非常に分かりにくい。さんざん分かりにくいと言われたのか、誰かが言っていたのが耳に入ったのか、ナガさんも分かりにくいと言っていた。横文字は覚えにくいのだ。

そして、その中でまだ伏せられていたワンマンツアー(プラトニック)の日程や場所の情報解禁が行われた。東京渋谷から始まって、名古屋、大阪、そして池袋Admで2Days。
そしてAdmの手売りチケットは本日のワンマン終了後に物販で販売という、地方民がいつも悔しさでハンカチを噛む手法での売り出しについて伝えられた。
福岡から来ているわたしが遠く離れた地域に紛れ込んでいるだけだから仕方ないのだが、新しいツアー情報解禁に立ち会っているのに、疎外感をちょっとだけ感じてしまった。でもいいのだ、ステージからの告知がわたしたちが本当の意味でダイレクトに情報を受け取る唯一の方法なのだから。

来年はもっと大きなところで演りたい、というのは亞一人くんの言葉。
夢や目標はちゃんと口に出していこうと思っているって、叶うかもしれないからというのはやっぱりRSRがそうだったからなんだろう。

その流れで【Over The Sun】
わたしはこの曲を聴くのがRSRのステージ以来で。
いやもちろんRSRで演奏されたほかの曲も、それ以来であることに変わりはないのだけれど、やっぱりこの曲を聴くと色々と思い浮かべてしまった。
あの日はRSR当日だったから、OverじゃなくてJustだよとそんなことをつぶやいたけれど、そうなのだ。ようやく超えたのだ。あのステージを超えて今わたしの目の前に立っているのだ。
メロディが難しすぎて、初聴きでいきなりやらせるのは無理があるのではーーー!!と思いながらやったコーラスも、RSRが終わった4日後に解禁されたMVのおかげで、音源の発売日である今日を待たずしてすっかり歌えるようになってしまった。

あの日はミラクルだった。しかし奇跡で飯は食えない。飯を食うなら青ばんの方が現実的である。そうやって進んでいることをただ嬉しく思う。

Sunからの月。【月はメランコリックに揺れ】
世の中は定番でできている気がする。この曲ができる前までは違う曲が本編終了の定番だったのかな。わたしはあーいぇーがすでに存在しているアシュラのライブにしか来たことがないけれど、もっと昔は他の曲がこの役割を負っていたのかもしれない。

RSRではあーいぇーの半分を亞一人くんの語りの時間としたので、ほとんどいつものようなあーいぇーはなかった。でもあの時はそれが大正解だったと思うし、ライブにおける正解は未来にも過去にもなく、その瞬間のみにおいて発生しているものだと思う。

最近は一生懸命あーいえーしすぎて、もう喉がかっすかすになってしまう。どんな表情で会場からの声を聴いているのか、ということよりも自分が声を出すことに集中しすぎていて何も見てないというか、見ていても覚えていない。
フロアが一体となり視覚情報として届けられていく。ドラムのリズムに合わせて歌う声は、その景色と同じくひとかたまりの声となってステージへと向かっていく。

そして最後はいつもボーカリストがフロアからの複数人の声をひとりで全部拾い上げて、自分の歌声に変えてしまう。リズムからメロディへと音が連なって、気が付けば再びわたしたちは聴く人になるのだ。

ここで本編終了。
アンコールの拍手が会場に響く。もう本編が終わってしまったなんて。
まだ数曲目じゃないの?と思ってしまうほどだが、でも短いというわけでもなく、間延びしているわけでもない。流れた時間は理解しているのに、気持ちが追い付いていないだけだ。

ここからがワンマンライブのエクストラ。アンコールの時間だ。
わたしは何となく頭のなかでRSRの『亞一人コール』を思い出していた。
アンコールは…まあある。もともとの性質としては客席からの「終わらないで」という気持ちを反映して行われるとされているが、基本的にはアンコール込みでセットリストが設計されていることがほとんどだ。
聖飢魔Ⅱなどはアンコールが3回くらいある。何回も出たり入ったりしながら、それも含めて楽しめるようにしてあるのだけど、そのあたりのやり方や考え方は主催側次第だろう。

こちらもしっかり楽しむつもりで待っていることが多いので、予定調和についてはいろんな意見があることは時々目にするけれど、打首さんみたいにコール自体に意味を持たせるというのは賢いやり方なのかもしれない。
アンコールに関してはあると思っていたものが無いのは悲しいのだけど、RSRみたいに何もないと思っていたけれど発生するパターンは相当珍しいなと改めて思った。

ステージの中央に設置されるシンセサイザー
これはもしや…と思っていたら、亞一人くんが1人で出てきて満を持してその鍵盤の前に立つ。わたしはTMNETWORKのことをほとんど知らなくて、小室さんのことも本当に世間一般の人たちよりも知らないのだけど、大好きなものを追いかけるのは良いことだと思う。
シンセサイザーから音を出して、なんていうんだっけサンプリング?
きっとTMを通ってきている人たちなら、あ!この曲はなんて思うものが流れているのだろう。しかし亞一人くんのドヤ顔がすがすがしい。
下手側を向いて斜めに設置されていたので、わたしの方からはそのドヤ顔がよく見える。代わりに手元が見えないのが残念だ。シンセサイザーに明るくないので、凄いのか、そこそこなのか、本当に本人が楽しいだけといったレベルなのかさっぱりわからないが、たぶんこの会場でこの人数の前で演るには少し足りないくらいなのだろうなというのは何となく雰囲気で分かった。
でもとにかく楽しそうで、「もうちょっとだけ演ってもいい?」ってアツシさんに言って、一度終わりかと見せかけて続けたのとか、どうぞどうぞあなたの好きにやったらいいじゃないのって、まるで楽器屋さんに息子を連れて行った時の気分だった。
「お客さんは何を見せられているの?」とはまさにここでこそ活きる言葉だろう。
他のメンバーが出てきて、ナガさんはドヤ顔でシンセを操る亞一人くんとスマホで自撮りをしていたが、どこもその映像も画像もアップされておらず残念だ。

そうして始まる曲はもう絶対これしかないよね。Get Wild
ジャンプ→開いて→閉じて→左右に揺れる。しばらくぶりだったのでウツダンスが曖昧で、横にいる人にぶつかりそうになってしまった。
他人の曲がライブの定番というのは、無い話ではないのだろう。
もしかするとこの先、アシュラのライブにTMの誰かが登場してセッションするなんてことがあるかもしれない。そのもしもの日が来ることがあれば、ぜひともこの目でステージを観たいものである。

聖飢魔Ⅱのライブで、「EL.DORADO」という曲があるのだけど、よくライブ(ミサ)では『幸せは歩いてこない…』という語りから始めていて、その流れで水前寺清子さんが本当に出てきて『365歩のマーチ』をセッションしたという回があった。

多分だけどね、本当にオファーを出せば叶ってしまうんじゃないかなって思うんです。メジャーシーンにいる人も色んな仕事をやっているものだし。しかしもしも本当に呼ぶとしたら、自分たちのライブとの均衡性を保つのが少し難しいのではと思ったりする。
なのでそれはアシュラではないところで進めていくのかなと、TMコピーバンドを組んでイベントに出るという告知をみてそんな風に思いました。

アンコール1曲目の定番にしようと思っている。というのは去年のワンマンでのナガさんの言葉なのだけど、あれはすでに動き始めていたZeppSapporoでのVTRどっきりが頭の中にあったのだろうなと今となっては思うけれど、それでもゲワイが始まるとアシュラのワンマンに来たんだなという気持ちになる。

知らない曲でも楽しんでくれって言うから何が始まるのかと思ったら【Mr.paradise】
ミスパラって言われてる(言われてるよね?)この曲は、親父越えの息子編に入っている曲で、「どっこい」から始まるのに、カッコいいんだよ。(どっこいであってるよね?歌詞カードが手元になくて不安だ。もし聴き間違えていたらごめんなさい)カズマさんが練習動画をアップしていた昔の曲ってこの曲かな?と思ってツイートを探してきたけど全然違った。
Heyの掛け声が気持ちい曲で、ベースもいいんだよ。まだナオキさんではなくてサポートベースの方だった頃の曲だったと思うのだけど、そういう時は曲作りってどうしていたんだろうか。
ただどうしたって別の人が作ったフレーズって程度の差はあれど変えてしまうだろう。アシュラは第何期みたいな感じで当時のメンバーが一覧になっていないから、誰がどの曲をというのはわからないのだけど味付けが変わっていくけど美味しいというのはwinwinだなと思うのだ。

そして本当に本当のラスト【Daring Darling】
曲が始まる前に煽りイントロがある最近のバージョンで始まったこの曲は、ラス曲としてほぼ定番だ。
わたしはずっと下手の2列目にいたのだけど、このラストで意を決して真ん中の方に飛び込んだ。わたしの周りはTwitterでよく知ってる方々ばかりだったし、これまでもずっと平和だったのでこれなら大丈夫だと息子を残して走り出す。
ライブは大好きだけど、年齢云々ではなくてライブキッズではないわたしは、ダイブもやったことがなければ、WODはビビッてしまうし、ツーステだって踊れない。でも札幌の時にずっと後ろだったけど我慢できずにアンコールで真ん中のセンターあたりで観たのがすごく楽しかったので、本当に意を決して真ん中あたりに移動した。

人波をくぐり抜けて行くとまた見える景色が変わった。たくさんの頭と肩の間から少しでも視界を広げる。が、真ん中の場合はじっくりゆっくり観るというよりは、人の波の中にひたすら存在しているだけだ。
群衆が右に動けば、わたしも右に、左に行けばわたしも左に。この流動性が楽しい。
そしてサビ、逆ダイブした亞一人くんが運ばれてきた。わたしは担ぎ手になれるほどの強靭な足腰は持ち合わせていないのだけれど、何とか参加したい一心で手を伸ばし、足に力を込める。

土台はすごい。ダイブ(サーフ?)する人を支える人は本当にすごい。わたしはもう少しで倒れてしまうところだった。ライブハウスで転んでしまったことは1回だけあって、その時は最前にいて後ろからの圧に耐えられなくてステージの方に倒れこんでしまったのだけど、あの時みたいに全く予想していない状況から気が付けば膝をついていたということではなく、今回は自分の体幹の限界がそこにあることを自覚しながらだからまたつらい。
諦めたら絶対に転んでしまうし、おそらくそうなればこの集団全体のバランスが崩れてしまう。
そんなことになれば担がれている亞一人くんが落ちるだろう。なんと!わたしのせいで落ちるだと!それは許されない。そんなことだけは避けねばならぬ!!!ならぬぞ!!!という豆腐のような足腰だったが強靭なメンタルを発動して何とか耐えることに成功した。わたしは自分を褒めたい。
少しなりともジムに通っていたことが功を奏したのか、無理をしたけれど身体を痛めることもなかった。むしろアドレナリンは放出されていて、多少の痛みなど無いに等しい。

そのままステージに戻っていく。ナオキさんも最近はダーリンでフロアにいることが多いのだが、今回は無かった。もう少し狭い箱でぎっちぎちに詰まっているときじゃないと危険だと判断したのかもしれない。

ナオキさんとナガさんの位置が左右逆になっているときはよくあるのだが、普段亞一人くんは基本的にセンターをキープしている。
しかしラストだからか上手から飛んでまた運ばれて、そして先ほどまでわたしがいた下手にも移動しているのが見えた。おお!あの位置ならば息子の近くではないか!良かったねえと全く見えないが遠くからそんなことを考えていた。
しかし事態はわたしの予測を遥かに超えており、翌日アップされた公式の写真を見て腰を抜かす事となる。
フォロワーさんが息子を上に上げてくれたというのは聞いていたし、亞一人くんに頭をポンとされたということは息子からも聞いた。しかしながら写真になってると衝撃が大きいものだ。


動画と違って写真は一瞬を切り取るので、たぶん本当に一瞬の出来事なのだろう。しっかりと目線が合っているように見えてとても良い写真だと思う。わたしは身内だから余計にそう思うのかもしれないが、普段ステージの上で見せる殺す目じゃなくて優しさが垣間見える気がして、そこがとても良いと思うのだ。
これはえみだむ氏ではなくて別のカメラマンの作品だった。わたしは絵も写真も全く知識がないけれど、良い意味でえみだむ氏だったら撮らない写真ではないかなと思った。人が人としてフォーカスされているものではなくて、ライブ写真はそこに立つ人もひっくるめて風景だと思っているといった主旨の事を言っていたように記憶している。たしかインスタライブだったかな。自身の専門性を持ち寄りプロの仕事をする。そうしたこだわりの話を聞くのがわたしは好きだ。

最後に記念撮影をした。掛け声は「ビッ!ビッ!ビッ!ビーーーーーーー!」というその日の出来事が濃縮したものがチョイスされた。
最前からフロアの真ん中にきてしまったので、どう頑張っても写真に写ることはない。しかしいいのだ。たとえ形に残っていなくてもわたしはこの場所に間違いなくいたのだから。

ライブが終わっていく。始まったものは必ず終わりがある。
ワンマンライブとはいえ、蓋を開けてみればわずか数時間しかない。
フロアが明るくなり、12月の池袋Admワンマンの手売りチケットを求める人だろう。ダッシュで出入り口に向かう姿を見かけた。
わたしはさすがに12月にまた東京遠征というわけにもいかないので、後ろ姿を見送りながら再び息子がいる下手前列まで戻ってきた。
まだメンバーはステージの上にいる。今日限りで人手に渡ってしまう後ろのバックドロップにメンバーがサインを書く姿を眺めながら、客出しのBGMである『Over The Sun』のコーラスを誰かが口ずさみ始めて、気がつけばわりと大きなコールとなった。
きっとどれほどの長さ、どれほどの曲数を演ったとしても、名残惜しいと感じてしまうのだろうと思う。通し練習の方が長く感じる演者の皆さんと同じように、情報解禁からチケットを購入して、交通手段を確保し宿を取り、指折り数えて待っていた時間はライブが始まった瞬間からイコールになり、そして終わってしまえば現実との狭間に余韻を落とす。

サインを書き終えたメンバーが再びフロアを振り返り、手を振り、頭を下げ、下手の袖からはけていった。誰もいなくなったステージには先ほどまでの時間が置き去りにされている。勝手に拾い上げて持ち帰るためにドリンクチケットをアルコールに変えてしばらく眺めていた。

人もまばらなフロア。総ての騒めきに耳を傾けることは難しいが、きっと先程までの時間について色々な言葉が飛び交っているのだろう。
わたしはいつも騒めきの中の1つをそっと開くつもりで書き記している。

あの夏の日と地続きに在るOverなSunをこの目で観ることができた1日だった。

今回ワンマン後に公式から色んなツイートがあったのだけど、このツイートが好き。ナオキさんが強そう。
実は【中野新橋ラプソディー】の演奏中に、ナオキさんと亞一人くんがぶつかりそうになった瞬間があって、前を向いたままの亞一人くんがひょいっとよけたのを見て、おお!ステージ慣れしてる、カッコいい!と思ったのだけど、まさか食らってる瞬間もあったとは!

 

【おまけ】
ライブが終わってから憧れの中野新橋に行ってきました。
飲み屋のくろちゃんで豚バラのガリ巻を食す!最高の夜!